幹細胞治療でアンチエイジング!そのメカニズムと安全性は?

抗加齢学会専門医/麻酔科認定医
コッツフォード良枝:監修

公開日:2020/07/26 更新日:2020/07/03

美しさや若さを保つことは、多くの女性の理想です。
こちらの記事では、幹細胞治療でアンチエイジングをする方法や、具体的にどのような効果があるのか解説して行きます。
また、安全性の高さやリスクについても詳しく説明しますので、幹細胞治療に興味がある方や、治療を検討している方にとっても、有益な情報になるでしょう。

幹細胞治療とは

幹細胞治療とは
幹細胞治療とは、患者さんの血液から幹細胞を採取して培養し、再び体内に注入する治療法です。
幹細胞は、脳、皮膚、臓器などを修復することができるため、事故、病気、美容などの幅広い場面で活躍が期待されています。
幹細胞が注目されている理由の一つが、再生力です。
では、具体的にどのような効果があるのか解説していきましょう。

幹細胞の再生力に注目

幹細胞は、再生力を持つことで注目されています。
組織や臓器になる前の「未分化」の細胞で、失った細胞を複製して補充する能力と、損傷を受けた細胞を修復する機能を併せ持っています。
幹細胞には、脊椎や臓器などに変化する「多能性幹細胞」と、皮膚や脂肪などを作り出す「組織幹細胞」の2種類があります。
「組織幹細胞」には、赤血球や血小板などを生成し、常に一定量の血液を作り続ける役割を担うものもあります。

幹細胞治療は、もともと人間に備わった「多能性幹細胞」の再生力に着目し、さまざまな疾患や機能障害の治療に役立てる最先端の医療技術です。
また、幹細胞の持つ再生力には、細胞の活性化を促す効果もあるため、病気や事故で損傷した組織や臓器の回復、後遺症の改善のほか、アンチエイジングを目的とした治療にも取り入れられています。
こうした再生医療は、質の高い技術と安全性を保つため、法律により厳しく管理されています。

医療・美容ともに活躍

医療・美容ともに活躍
幹細胞治療は、医療と美容の両方で高い効果を発揮しています。
医療では、幹細胞からの成長因子の放出により、組織や臓器に分化させることで肝臓、脳、関節などの損傷を受けたさまざまな部位を修復し、回復を促します。
美容では、幹細胞の再生力と皮膚への分化を促進させ、顔のシワ、シミ、陥凹などを改善します。
特に、幹細胞の培養液を直接注射するアンチエイジングは、持続性が高いことに加え、細胞治療よりもコストパフォーマンスが良い治療法です。

また、幹細胞の一つである間葉系幹細胞には、免疫機能を調整する性質があるため、慢性関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患にも効果があります。
さらに、他人の幹細胞を注入した場合でも拒絶反応が起こらないことが証明されています。
医療と美容は、いっけん別物のように捉えられがちですが、事故や病気などで損傷した臓器を修復することと、老化で衰えた皮膚を若返らせることは、どちらも再生させることです。
そのため、再生能力を持つ幹細胞を使った治療は、医療と美容どちらにも有効とされ、幅広い現場で取り入れられているのです。

幹細胞治療とアンチエイジング

幹細胞の再生力を使ったアンチエイジングは、質が高く、持続性のある治療法です。
では、幹細胞治療とアンチエイジングには、どのような繋がりがあるのでしょうか。
こちらでは、幹細胞治療がもたらす具体的な効果について解説して行きます。
実は、アンチエイジングを考えている方にとって、嬉しい効果があるのです。

幹細胞治療がアンチエイジングに繋がる仕組み

幹細胞治療がアンチエイジングに繋がる仕組み
幹細胞治療は、病気や怪我などで傷付いた細胞を修復したり、補充することができる幹細胞の特徴を活かした治療法です。
また、さまざまな組織や臓器を生成する「多能性幹細胞」の機能は、アンチエイジングにも活かされているのです。
幹細胞治療は、患者さんの幹細胞を採取し、培養したものを注射することにより、他の幹細胞と同化させます。
活発な幹細胞を何万倍にも増殖し、生きた状態のまま注入するため、年齢に関わらず、細胞分裂を促進し老化を抑制する効果があるのです。

それに、自身の持つ幹細胞を使うため、安全性が高く拒絶反応も起こりにくい特徴があります。
さらに、幹細胞は冷凍保管することが可能なため、今ある肌の細胞を数年後の自分の治療に役立てることもできます。
このように、幹細胞治療のアンチエイジングは、体質や年齢による制限もなく、誰でも受けることができる質の高い治療法なのです。

特に深いシワに悩んでいる人におすすめ

幹細胞治療が注目を浴びる以前は、ヒアルロン酸を注射して肌にハリを出したり、ボトックス注射で表情ジワを抑える治療が主流でした。
また、腹部や太ももなどの皮膚を、シワが気になる部位に移植する方法も行われていましたが、移植した細胞がうまく適合せずに、元の状態に戻ってしまうことも少なくありませんでした。
しかし、幹細胞治療によるアンチエイジングは、患者さんの脂肪幹細胞を注入して、体内から改善するため、シワに対しての効果も高く持続性があります。
また、脂肪幹細胞注射と脂肪組織移植を併せて行うことで、さらに効力を倍増させることができます。

シワの原因には、老化や乾燥などさまざまありますが、深いシワの場合は、肌が折り畳まれることで起こります。
特に、眉間や目尻のシワなどは、表情のクセが影響していることが多く、老化などで肌が弾力を失うと、元に戻りにくくそのまま定着してしまうのです。
幹細胞治療では、内側から肌を活性化させるため、表面的な治療では効果が現れにくい深いシワに対しても、特に高い効果を発揮します。

幹細胞治療の流れ

幹細胞治療の流れ
幹細胞治療では、まず治療方法や効果について詳しく説明をします。
患者さんからの同意が得られれば、疾患の有無や体調についての簡単な問診があります。
もし持病がある場合には、治療している医療機関の関連資料をお持ち下さい。
特に問題が無ければ診察を行い、採血をします。
この血液は、検査の他に細胞培養にも使用します。
そして、局所麻酔を用いて、腹部より脂肪組織を10~20gほど取ります。
もし痛みに弱い方は、鎮痛麻酔を使うこともできます。

採取した細胞組織から抽出された幹細胞は、患者さんの投与回数に応じて分割され、必要な分をシャーレで培養し、残りは保管されます。
培養には4ヶ月程度かかります。
培養された幹細胞は、点滴もしくは注射で体内に注入します。
幹細胞が全身に行き渡り、効果が現れるまでに約3ヶ月かかるので、長期的な治療が必要です。
そのため、治療の間隔やタイミングは、医師と相談しながら行う必要があります。

幹細胞治療の安全性について

幹細胞治療の安全性について
幹細胞治療は、患者さんの幹細胞を利用するため、安全性が高く、副作用が起きにくい治療法です。
ただし、幹細胞治療が安全な理由は、治療法だけではありません。
こちらでは、幹細胞治療を行う医療機関の安全性と、まれに起こりうる副作用についても説明して行きます。

幹細胞治療を安全に受けるには?

幹細胞医療を行う医療機関は、厚生労働省が認可した特定認定再生医療等委員会の審査に合格する必要があります。
その項目は、妥当性、安全性、医療体制、そして細胞加工管理体制と多岐にわたっており、全てが一定の基準を満たすことで、初めて運営することができます。
つまり、幹細胞医療をおこなっている全ての医療機関は、審査基準を満たす安全性が確保されているのです。

中には、患者さんに副作用が生じた場合に備えて、保険に加入し、サポート体制を強化している医療機関もあります。
また、治療終了後に経過観察を行う医療機関もあり、治療前の健康状態と比較することで、自分では分かりにくい体調の変化にもいち早く気付くことができます。
幹細胞医療は、安全性が高い治療法ですが、最先端の医療技術のため、サポートに力を入れている医療機関も多いのです。
ですから、より安全性を重視するのなら、治療後の補償があるクリニックや病院を選ぶことをおすすめします。

幹細胞治療の副作用

幹細胞治療は、安全性が高い治療法ですが、副作用を起こす可能性があります。
まず、脂肪組織を採取する際には、腹部をわずかに切開するため、出血や感染症、術後疼痛、まれに合併症を引き起こすことが考えられます。
また、アレルギー体質の場合には、傷が残ったりケロイド状になる可能性があります。
それに、局所麻酔を使用しますので、まれにアナフィラキシーショックや楽物中毒を引き起こすことが考えられます。
さらに、幹細胞の投与は、注射もしくは点滴で行いますので、痛みやアレルギー反応を起こすリスクがあります。
時には、肺塞栓といった重い合併症の引き金になることも全く無いとは言え切れません。
もし、アレルギーや持病など、心配な点がある場合には、必ず治療前に医師と相談して下さい。

幹細胞治療の他のアンチエイジング治療

幹細胞治療の他のアンチエイジング治療
幹細胞治療の他にも、いくつかアンチエイジング治療があります。
では、詳しい治療方法や効果について説明して行きます。
実は、幹細胞治療とは大きく異なるものが多いのです。

PRP皮膚再生療法

PRPとは、Platelet Rich Plasmaの略で多血小板血漿のことです。
PRP皮膚再生療法とは、まず採血をし、血液から抜き出した血漿や血小板を濃縮したあと、再び体内に注入する美容法です。
血漿や血小板には、自己再生機能やコラーゲン・エラスチンなどの生成を助ける成長因子が含まれており、シワ、たるみ、くすみなどの老化による肌の劣化を回復させる効果があります。
40代以降のハリやみずみずしさが失われた肌に、弾力や潤いを取り戻すことで、若々しい見た目を甦らせる効果が期待できます。
特に、目の周囲の小じわや乾燥が気になる方、やせていて肌に弾力が無い方、ほうれい線や口元のしわが気になる方などにおすすめの治療法です。

水光注射という手法で、注射専用の精密機器を用いるため、針の深さや注入するPRPの量も均等になりやすく、顔全体に効果が期待できます。
また、施術前に麻酔クリームを塗布するため、痛みをほとんど感じることなく治療を受けられます。
さらに、患者さん自身の血液を使用するため、副作用やアレルギー反応などのリスクが低く、安全性が高いのが特長です。

ダーマローラー治療

ダーマローラー治療は、約200本の極細の医療用ステンレス製針がついたローラーを肌の上で転がし、表面の角質と真皮に微細な穴を開けることで、肌の生まれ変わりを促進する美容法です。
肌は傷付くと、治癒するために多くの成長因子を分泌します。
成長因子は、肌の再生力を高めるため、毛孔性苔癬、ニキビ跡、毛穴開きなどの肌表面を滑らかに生まれ変わらせます。
それに、コラーゲンを分泌するので、シワ、くすみ、たるみなど、老化による肌トラブルにも内側から働きかけます。

さらに、皮膚再生因子を使用し、成長因子を補充することにより、コラーゲンが増殖して優れた美肌効果を発揮します。
またダーマローラー治療は、やや痛みを伴うため、施術前に麻酔クリームを塗布します。
それに、無数の針を刺す治療法なので、術後に出血や内出血を起こす場合もありますが、ほとんどは1~2週間ほどで回復します。
ただし、術後は肌が敏感になるため、化粧水と乳液でしっかり保湿をする必要があります。
また、日焼けをしたり、患部を強く摩擦をすると色素沈着を起こしやすいので、なるべく直射日光を避け、洗顔をする際は強くこすらないようにしましょう。

ボトックス注射

ボトックス注射とは、ボツリヌス菌から抽出された「A型ボツリヌス毒素」を主成分とした有効成分を注入することで、筋肉麻痺を引き起こし、表情ジワを抑制する治療法です。
一般的に、ボツリヌス菌による食中毒は30000単位以上で発生しますが、ボトックス注射に使用される量は50~100単位ほどの微量のため、中毒のリスクはほとんどありません。
それに、もともと眼瞼や顔面痙攣などの治療にも使われていたものなので、医療技術としては歴史があります。

ボトックス注射は、神経伝達物質アセチルコリンの分泌を妨げるため、部分的に筋肉の動きを鈍くします。
そのため、笑いジワ、額や眉間のシワ、顎の梅干しジワや口を突き出した際の縦ジワなど、表情を動かした時にできるシワを抑制する効果があります。
また、目元に注射することで、目の周りの筋肉を固定して目を大きく見せたり、下がった口角に打つことで、口元が引き上げられて表情が明るくなるなど、顔の印象を改善することも可能です。
他にも、エラ張りを目立ちにくくする効果もあります。
通常は、注射をしてから1~2習慣ほどで効果を実感でき、約3~4ヶ月持続します。

幹細胞治療は深いシワにもアプローチできる方法

幹細胞治療は深いシワにもアプローチできる方法
幹細胞治療は、特に深いシワのアンチエイジングに効果があり、たるみや陥凹などの改善にも有効な治療法です。
また、自分の幹細胞を使うので、安全性が高く、副作用などのリスクが少ない特長があります。
それに、年齢や体質に限らず誰でも受けることができ、体の内側から改善するため、質の高い効果と持続性が期待できます。