ボトックス注射は打つ場所によって効果が違う!?部位別の効果まとめ

抗加齢学会専門医/麻酔科認定医
コッツフォード良枝:監修

公開日:2019/09/20 更新日:2020/07/16

ボトックス注射は、病気の治療や美容とさまざまな場面で使われています。
負担が大きい手術とは違い、注射を打つだけなのでボトックス注射を打つことを考えている人は多いでしょう。
ボトックス注射は打つ場所によって効果が異なるため、自分がボトックス注射を打ちたい部位にどのように効いて、どのように見た目が変わるのかを理解しておく必要があります。
この記事では、ボトックス注射の部位別の効果や使用するうえでの注意点、メリット・デメリットなどについて紹介します。

美容目的の施術が注目されている!ボトックス注射はどんなもの?

美容目的の施術が注目されている!ボトックス注射はどんなもの?
ボトックス注射は毒素製剤のひとつです。
ボトックス注射では、ボツリヌス菌が作るボツリヌストキシンというたんぱく質を薬として使用できるように加工されたものを注射します。
「ボトックス」という名前はアメリカのアラガン社が商標登録をしており、ほかのメーカーが発売しているボツリヌストキシンにボトックスという名前を使うことはできません。

ボツリヌス菌といえば、乳児がはちみつを食べることで発症するボツリヌス症を引き起こすイメージを持っている人もいるでしょう。
しかし、ボトックス注射ではボツリヌス菌自体を打つわけではないため、ボツリヌス菌に感染するおそれはありません。

ボトックス注射では、筋肉を司る神経に注射をします。
注射によって神経を麻痺させることにより、過剰な緊張が原因で固まってしまった筋肉を弛緩させることができます。
ボトックス注射はエラやシワなどへ美容目的の施術で注目されています。
眼瞼痙攣や片側顔面痙攣など、医療の現場でも使用されている施術でもあります。

打つ場所や症状によって異なる!ボトックス注射の効果

打つ場所や症状によって異なる!ボトックス注射の効果
ボトックス注射は打つ場所や症状によって効果が異なります。
そこで部位ごとのボトックス注射による効果を解説します。

エラのボトックス注射の効果

フェイスラインにある咬筋が発達していると、エラが発達しているように見えてしまいます。
そこで、ボトックス注射を咬筋に打つことで、筋肉の動きを抑制して咬筋が委縮し、エラが小さくなるので小顔に見えるようになります。

しかし、咬筋は食べ物を噛むなどして発達します。
毎日飲み物を飲むだけで一切食べ物を食べずに生きていくことは不可能です。
したがって、毎日の生活において咬筋を一切使わないということはできません。
咬筋の発達を防ぐことは不可能なので、永久的な効果は期待できないことを理解したうえでエラのボトックス注射を行う必要があります。
また、咬筋が発達していることによってエラが発達し、顔が大きく見えている場合はボトックス注射による小顔効果を見込めますが、脂肪が原因で顔が大きく見える場合にボトックス注射は高い効果を見込めません。
この場合は別の方法を使って脂肪を溶かす必要があります。

おでこや眉間のシワのボトックス注射の効果

顔のシワの大半は顔の筋肉を連続して動かすことによってできます。
したがって、顔のシワはができるのは笑ったり顔をしかめたり日常生活における表情の変化が原因と言えますが、シワができないように無表情で毎日を過ごすことはかなり難しいです。
そこで、表情の変化が原因でできるシワにボトックス注射を打てば、エラに打つ場合と同じように筋肉の動きを抑制し、シワの軽減を期待できます。

しかし、無表情のときに出来るシワに対してはボトックス注射による効果は見込めません。
このタイプのシワの原因には加齢による乾燥や肌の水分量の低下、女性ホルモンの低下などが原因として挙げられます。
そのため、ボトックス注射によってシワの周りの筋肉を弛緩させても意味がありません。
この場合は低下した肌の水分量の低下などを解決する必要があり、ボトックス注射ではなく、ヒアルロン酸や脂肪注入による施術を行います。

鼻のボトックス注射の効果

理想的な鼻は、目のあいだの幅と同じ程度の幅、かつ丸みや張り出しが少ないうえに、大きすぎず鼻の穴が目立たないことといわれています。
しかし、この理想的な鼻を生まれ持っている人は少ないです。
そこで、鼻にボトックス注射を打てば、小鼻を外側に引っ張る筋肉の動きを抑制し、小鼻の広がりを押さえる効果を期待できます。
人によっては笑ったときに小鼻が広がる人もいます。
この場合もボトックス注射を打てば笑っても小鼻が広がりにくくなります。
また、ボトックス注射は鼻の穴を大きく開く筋肉の動きを抑制することも可能なため、小鼻が張り出したり、鼻の穴が大きくならないようになったりすることも期待できます。

ただ、鼻のボトックス注射はあくまでも鼻の周りの筋肉を緩めて広がりを抑えるものです。
したがって、鼻そのものを小さくしたり形を変えたりすることはできません。
この場合は別の施術を行う必要があります。

ガミースマイルのボトックス注射の効果

笑ったときに歯茎の大部分が見えてしまうことをガミースマイルといいます。
ガミースマイルの原因は、笑ったときに上唇が上がりすぎることが原因であり、これを防止すればガミースマイルを改善できるでしょう。
そこで、上唇の上げ下げを司る上唇挙筋群という筋肉にボトックス注射を打てば、筋肉の過剰な収縮力を抑制し、歯茎の過度な露出を抑えることでガミースマイルの改善が期待できます。

ガミースマイルは手術により改善することも可能です。
しかし、この方法を選んだ場合は上唇の内側と歯茎を密着させるために縫合することから、術後に腫れや痛みが生じてしまいます。
したがって、手術で改善する場合は腫れや痛みが引くまでに時間が必要であり、仕事などに影響が出ないようにボトックス注射を選ぶのが一般的です。

ワキガのボトックス注射の効果

ワキの皮膚の下にはアポクリン汗腺とエクリン汗腺という2つの汗腺が存在します。
なかでも、ワキガの原因となるのがアポクリン汗腺です。
エクリン汗腺から出る汗はにおいがないのが通常です。
それに対し、アポクリン汗腺から出る汗は白く濁っていて水分だけでなく脂質やタンパク質も含まれています。
これが空気に触れて細菌となることでワキガ独特のにおいを発します。

エクリン腺から出る汗はワキガに関係ないと思われがちですが、エクリン腺から出る汗はサラサラとしており、アポクリン腺から出る汗と一緒に蒸発すると周りににおいが届きやすくなってしまいます。
そのため、ワキガのにおいが気になるならアポクリン腺だけでなくエクリン腺への処置も必要です。

そこで、エクリン腺にボトックス注射を打てば、エクリン腺を麻痺させて汗の量を抑えられます。
エクリン腺から出る汗の量を抑えればワキガのにおいが拡散してしまうのを防ぐことが可能です。
ワキガの治療法には手術するという方法もありますが、ボトックス注射なら注射を打つだけなので傷跡が残りません。

しかし、ワキガのにおいそのものの原因はエクリン腺ではなくアポクリン腺です。
ボトックス注射によってアポクリン腺の働きを抑えることは可能ですが、汗のにおいを一切なくすということはできません。
においを一切なくすには、アポクリン腺を取り除かなければならないため、別の施術を受ける必要があります。

多汗症のボトックス注射の効果

先ほど紹介したように、汗が出る原因はアポクリン腺とエクリン腺という2つの汗腺です。
ボトックス注射をこの2つの汗腺に打てば、ワキガだけでなく多汗症を改善することも期待できます。
多汗症の部位にはワキや手のひら、足の裏が多いです。
ボトックス注射をこれらの部位に打てば、アポクリン腺・エクリン腺の働きを抑えることができます。
多汗症のボトックス注射も手術が必要ないため、傷跡が残りません。

ボトックス注射の効果の持続性はどのくらい?

ボトックス注射の効果の持続性はどのくらい?
ボトックス注射の効果が出るのは、打ってから2~3日後程度で、徐々に効果が出てきます。
また、効果の持続期間は3~4カ月程度が目安です。
先ほど紹介したように、ボトックス注射はボツリヌストキシンによって神経を麻痺させることによって効果を得られます。
しかし、日常生活を送っていると神経が徐々に再生していくため、効果を持続させたいなら再度ボトックス注射を打って再生した神経を麻痺させる必要があります。
したがって、ボトックス注射を利用する場合は3~4カ月に1回の頻度で繰り返して打たなければ効果を持続させることができません。

また、ボトックス注射の主成分はタンパク質となっています。
稀に体内でタンパク質に対抗できる抗体ができてしまうことがあります。
この場合はボトックス注射の効果が弱くなってしまうので注意が必要です。

施術前に知りたい!ボトックス注射の副作用

ボトックス注射には副作用もあります。
先ほど紹介したように、エラや顔のシワにボトックス注射を打つ場合、筋肉の動きを抑制することになります。
この場合、急に筋肉のバランスが崩れるため、頭痛を引き起こす可能性があります。
また、ボトックス注射に限らず、注射を打った場合は内出血を起こすこともあり、目立ちやすい部位にボトックス注射を打つ場合はこの点にも注意が必要です。
また、稀ではありますがボツリヌストキシンに対してアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。
軽い症状だと肌のかゆみや発疹、症状がひどい場合だと息苦しさを感じたり、頭がぼーっとしたりするので、この場合はすぐに担当医に連絡しましょう。

ただ、内出血や肌の赤みなどといった副作用は時間が経過すると気にならなくなる場合が大半です。
そのため、ボトックス注射を打った翌日は仕事を休むなどして対処しましょう。

ボトックス注射を打つメリットは?デメリットもチェック

ボトックス注射を打つうえではメリットだけでなくデメリットも理解しておくことが大切です。
紹介したメリット・デメリットを比較し、ボトックス注射を打つかどうか決めましょう。

メリット

ボトックス注射を打つメリットとしてまず挙げられるのが手術と違って傷跡が残らない点です。
特に顔など目立ちやすい部位を手術する際、傷跡を気にする人は多いでしょう。
しかし、ボトックス注射なら注射を打つだけです。
注射を打ったことによる内出血を引き起こしてしまうことが一時的にあるものの、1週間~10日程度で落ち着くことが多いです。
また、手術をした場合はダウンタイムが必要となります。
ダウンタイムとは施術を行ってから回復するまでの時間のことをいい、ボトックス注射の場合は注射を打つだけなのでダウンタイムも数日程度と短く、施術を行ったその日のうちに帰宅できます。

ボトックス注射は施術時間も短いのが特徴です。
15分程度で終わることもあり、何時間も長い手術に耐える必要がありません。
それにボトックス注射は費用も安めです。
そのため、自分の見た目で気になっていた部分を手軽に改善できます。
ワキガや多汗症など医療目的でボトックス注射を打つ場合は保険も適用されます。

デメリット

ボトックス注射にはメリットだけでなくデメリットもあります。
まず挙げられるデメリットが、稀に副作用を起こすことがある点です。
ボトックス注射は注射を打つだけなので、手軽に外見に変化を与えることなどができる点に魅力を感じる人が多いでしょうが、確実に施術が成功するわけではありません。
先ほど紹介した副作用を引き起こし、生活に支障が出てしまうリスクがゼロではない点を理解したうえで利用する必要があります。

また、ボトックス注射を顔に打つ場合は、表情が乏しくなってしまう可能性もあります。
ボトックス注射では、顔の筋肉を弛緩させることによって顔のシワを改善しますが、顔の筋肉はすべて影響し合っています。
そのため、ボトックスを注入しすぎることによって顔の筋肉のバランスが崩れ、笑ったときに不自然に眉が吊り上がったり表情が乏しくなったりしてしまうおそれもあります。
したがって、ボトックスを注入する場合は医師と注入量や注入する部位をしっかり相談しなければいけません。

それに加え、先ほど解説したようにボトックス注射の効果の持続期間は3~4カ月です。
したがって、効果を持続するためには定期的にクリニックに通う必要があります。
ボトックス注射の費用は1回につき5万円程度といわれています。
3~4カ月に1回ボトックス注射を打ちにクリニックに通うとすると、維持するのに年間20~30万円が必要です。
ボトックス注射は、効果の維持のためにお金がかかることも理解したうえで利用しなければいけません。

ボトックス注射は信頼できるクリニックで

ボトックス注射は信頼できるクリニックで
ボトックス注射は打つ場所によって効果が異なり、注射を打つだけなので手術と比べると手軽に悩みの解消を期待できるのが特徴です。
ダウンタイムも短く、仕事などへの影響も少ないことからボトックス注射を打つことを考えている人もいるでしょう。
しかし、ボトックス注射は副作用の危険性も伴うため、できる限り信頼できるクリニックで施術してもらうことが大切です。