幹細胞注射で若返りが実現できる!若返る仕組みや安全性を解説

抗加齢学会専門医/麻酔科認定医
コッツフォード良枝:監修

公開日:2020/07/17 更新日:2020/07/03

美容クリニックで注目されるようになってきた幹細胞注射は若返りを実現できることが知られています。
しかし、どのような技術なのかがわからず、不安に思っている人もいるでしょう。
幹細胞を使った治療は医療現場でも活用されている実績のある技術です。
元気な幹細胞を注射すると若返ることができる仕組みや安全性について紹介します。

幹細胞注射で若返るってどういうこと?

幹細胞注射で若返るってどういうこと?
幹細胞注射で若返ることができると言われてもどういうものなのかイメージできない人もいるでしょう。
幹細胞注射は人を代表とする生物がもともと持っている再生力を活用する技術なのが特徴です。
人を構成している細胞の中でも最も再生力が高いとされる幹細胞を使うことにより、衰えてしまった細胞を活性化することができます。
これによって医療では難治性疾患に対する臨床試験が広く実施されてきました。
美容においても老化などによって衰えた細胞を活性化する効果を期待できるため、幹細胞注射がクリニックで実施されるようになってきています。
つまり、幹細胞を使って生き生きとした新しい細胞を生み出すことで若返るというアプローチなのです。

そもそも幹細胞とは

再生力が優れていると言われる幹細胞はそもそもどのような細胞なのでしょうか。
人の体を構成している細胞にはたくさんの種類がありますが、その全ての細胞の源泉となっているのが幹細胞です。
幹細胞は様々な細胞に分化する能力を持っている細胞のことで、生物の成長や恒常性の維持に欠かせないものとなっています。
幹細胞も他の細胞と同様に分裂によって増えることができますが、同じ幹細胞を生み出す増殖と、幹細胞とは異なる性質を持っている細胞への分化という二通りの経路を取れるのが特徴です。

ただし、幹細胞にも種類があり、必ずしもあらゆる細胞に分化できるとは限りません。
代表的な分類として胚性幹細胞と体性幹細胞があり、近年になって人工多能性幹細胞も登場してきました。
これによって幹細胞を使った美容技術が開発されてきたという経緯があります。

幹細胞治療は幅広く使われている!

幹細胞治療は幅広く使われている!
美容分野では幹細胞注射がよく行われるようになっていますが、もともとは医療のために幹細胞を使用する技術が開発されてきました。
その臨床試験も活発に実施されてきていて、既に臨床応用が進んで治療例も増えてきている幹細胞治療が多数あります。
代表例について簡単に内容を理解しておきましょう。

関節、脊髄周囲炎

関節や脊髄の周辺で起こっている炎症の治療として幹細胞が用いられています。
幹細胞は抗炎症物質を放出することが知られているため炎症抑制ができるからです。
さらに損傷のある部位を再生するのにも寄与することからも有用性が示されています。

関節、脊椎症

関節症や脊椎症も炎症による障害がおこるのが問題なので幹細胞によって放出される抗炎症物質が有用です。
欠損してしまった部位の再生にも効果を発揮することから広く利用されています。

肝臓の再生医療

肝臓の修復を目的とした再生医療にも幹細胞が応用されています。
肝臓の修復を促す物質を分泌しつつ、肝臓の細胞へと幹細胞が分化することで効果的に肝臓の再生をすることが可能です。

脳の再生医療

失ってしまったら再生しないと言われていた脳細胞についても幹細胞を使うことで再生できることが示されてきました。
脳の再生医療においても再生を促す物質を幹細胞が放出し、さらに脳を構成する脳細胞や神経細胞へと分化して脳の再生を実現しています。

自己免疫疾患の医療

自己免疫疾患は治療が難しい病気として知られていて関節リウマチやクロレラ病、網膜変性症などたくさんの疾患が知られています。
対症療法でしか対応できないものが多い状況が続いていましたが、幹細胞治療によって状況が変わってきました。
免疫系の活動を調節する機能も幹細胞が有していることがわかったからです。
自己免疫反応によって傷ついた組織も幹細胞によって修復されることから、自己免疫疾患の治療によく活用されるようになってきています。

「幹細胞注射で若返る」の仕組み

「幹細胞注射で若返る」の仕組み
ここまでの説明を読んでくると幹細胞注射で若返る仕組みについてもイメージができてきているでしょう。
幹細胞は増殖によって幹細胞を増やす能力と、他の細胞に分化することで各組織の機能や形状を維持する能力とを兼ね備えています。
幹細胞がしっかりと働いていれば各組織の機能は維持されますが、加齢などによって幹細胞が増えにくくなると幹細胞が正常に働かなくなり、組織の機能も低下してしまいがちです。

このような状況に抗うのに有用なのが幹細胞注射です。
幹細胞注射では培養して元気になっている幹細胞を注射するという特徴があります。
その結果として注射した組織にはよく働く細胞が多くなり、本来持つべき機能や形状を維持できるようになるのです。

幹細胞注射・点滴の流れ

幹細胞注射・点滴の流れ
幹細胞治療は注射または点滴によって行われますが、実際にはどんな流れなのかが気になる人もいるでしょう。
順を追ってどのような手順で治療を進めていくのかを紹介します。

1.診察、事前検査、問診

最初に幹細胞注射・点滴の全体的な流れについての説明をします。
不明なところがないように詳しく説明した上で疑問点などについてのカウンセリングもするので不安をなくしてから実施するかどうかを決めることが可能です。
そして、診察と問診をして体調などを確認した後、事前検査として採血をしています。

2.腹部から脂肪細胞を採取

問診と事前検査の結果として幹細胞注射・点滴が実施できると判明したら腹部から脂肪組織を採取します。
カニューレと呼ばれる細胞採取用の医療機器を用いています。

3.幹細胞を抽出

採取した脂肪組織からクリニックの方で幹細胞の抽出を行います。
抽出した幹細胞は分けて凍結保存し、注射や点滴の計画に合わせて使用できるようにします。

4.幹細胞を培養

抽出された幹細胞の一部を使用して培養を行い、注射や点滴に必要な量の幹細胞を確保します。
一般的には四週間程度の期間が必要です。

5.幹細胞を点滴または局所注射にて投与

幹細胞の用意ができたら注射か点滴で幹細胞を実際に体内に投与します。
幹細胞を投与してから修復が進むまでには3ヶ月程度の期間が必要というのが通例です。
効果が得られるまでの期間も考慮して注射や点滴の時期を決めて実施しています。

幹細胞注射って安全なの?信頼していいの?

幹細胞注射って安全なの?信頼していいの?
幹細胞注射は効果がありそうだと感じても、本当に安全で信頼できるものなのかと疑問に思う人もいるかもしれません。
基本的に治療の安全性には十分に考慮していますが、副作用のリスクは存在することは確かです。
また、安全性や信頼性という観点から病院やクリニックの選び方も重要なので、何を判断材料にすべきかを説明します。

副作用について

注射や点滴による幹細胞治療は医療でも使用されていることから安全性に配慮されたやり方が確立されています。
治療は安心して受けてもらえるようにするのが基本なので、安全性に考慮しているのは確かではあるものの、副作用などのリスクがあることは否めません。
例えば、脂肪組織を採取するときには局所麻酔薬を使用し、皮膚を切って脂肪組織を採取することになるので副作用のリスクがあるのは事実です。
皮下出血や術後瘢痕のリスクがある他、感染症やケロイド、術後疼痛などが起こる可能性があります。
また、薬物の副反応が起こる、局所麻酔薬への中毒が発生するといった危険性もないわけではありません。

一方、副作用ではないものの、脂肪細胞の採取を終えられたのに治療を中止するケースもあります。
幹細胞培養をした結果として予定細胞数を確保できなかった場合には治療効果を期待できないので中止するのが基本です。
また、無事に培養が完了したとしても搬送中に事故があって容器が破損するなどの問題が発生すると中止することになります。

投与時にもリスクはあり、脂肪由来間葉系幹細胞と呼ばれる脂肪組織由来の幹細胞が無事に調製できた場合でも完全に安全な治療だと言うことはできません。
注射をするので針を刺した部位での痛みの発生や感染のリスク、投与によるアレルギー反応の発生、肺塞栓などの合併症が起こる可能性があるということは理解しておく必要があります。

病院・クリニックの選び方

病院・クリニックの選び方
幹細胞治療はリスクを伴うことや高い技術が求められることから、一定の基準を満たした病院やクリニックでしか行えない仕組みになっています。
正しい方法で細胞の採取と培養を行えるような基準を満たしている病院やクリニックを選ぶのが最も重要です。
厚生労働省は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を定めていて、行政による許可や認定がなければ幹細胞治療をすることはできません。
厚生労働省は認可した病院やクリニックをオンラインで公表しているのでウェブサイトで確認してみましょう。

また、いかに法律で定められている基準を満たしている病院やクリニックだったとしても幹細胞治療はリスクを伴うことに変わりはありません。
治療中や治療後のサポートが優れているところを選ぶのが安全策です。
特に治療後の経過観察や緊急時の対応、健康被害補償制度もサポートされているのを確認しておくと安心して治療を進められるでしょう。

幹細胞注射の他にもある!若返りの美容医療

幹細胞注射の他にもある!若返りの美容医療
幹細胞注射は若返りの美容医療として大きく注目されていますが、他にも美容クリニックで受けられるアンチエイジングの方法があります。
代表的な美容施術として知られているのがPRP皮膚再生療法とボトックス注射です。
どのような美容医療なのかを確認しておきましょう。

PRP皮膚再生療法

PRP皮膚再生療法とは血液から採取した血漿を用いる再生療法の一つで、濃縮することで高濃度の血小板を含む血漿を作り出して使用します。
高濃度の血小板を含有する血漿のことを他血小板血漿(PRP)と呼び、注射をすることでアンチエイジングが可能ということが示されています。
PRPは注入することによってコラーゲンやエラスチンといった皮膚組織を作り上げている重要な成分の生成を促進できるのが特徴です。
シワやタルミ、くすみなどの老化に伴って発生する肌のトラブルを改善するのに効果的なのがPRP皮膚再生療法です。
PRP皮膚再生療法では自身の血液を使用してPRPを調製するためアレルギー反応などの副作用のリスクが低いことからも注目されています。

ボトックス注射

ボトックス注射はA型ボツリヌス毒素を有効成分とする注射を使用する若返りの美容医療です。
ボツリヌス菌と呼ばれる細菌が作り出している筋弛緩作用のある毒素を使用するのが特徴です。
ボツリヌス毒素による食中毒は昔から知られていますが、症状の発症には30,000単位以上の毒素が必要とされます。
美容目的で用いられているのは1回に50~100単位程度のため危険性はほとんどありません。
ボトックス注射は表情ジワやふくらはぎ、エラなどを小さくする目的で行われるのが一般的です。
これはボツリヌス毒素が筋肉と神経の結合部に作用して局所的に筋肉の動きを弱めることで筋収縮を抑制するからで、筋肉に関連する美容トラブルによく用いられています。

幹細胞と「幹細胞培養液」との違い

幹細胞と「幹細胞培養液」との違い
幹細胞と並んでよく用いられているキーワードに幹細胞培養液があり、幹細胞培養液を使うとアンチエイジング効果があると言われています。
しかし、この二つには大きな違いがあるので注意しましょう。
幹細胞培養液は幹細胞を培養したときに使用した液体部分のことで、幹細胞培養液自体には幹細胞は含まれていません。
ただ、幹細胞が増殖する過程で作り出した物質が幹細胞培養液中に含まれています。
代表的なのが成長因子と呼ばれる細胞の増殖を促進する物質で、幹細胞自身が増殖や分化のために産生しています。
成長因子などの有用成分が含まれている影響でアンチエイジング効果を示すのが幹細胞培養液なのです。

幹細胞と「線維芽細胞」との違い

線維芽細胞も再生医療でよく用いられているキーワードですが、やはり幹細胞とは異なる細胞を指しています。
線維芽細胞は幹細胞が分化してできる細胞の一種で、皮膚組織の機能を保つ役割を果たしているのが特徴です。
皮膚が損傷したときに活発に活動し、修復する役割を果たすのが線維芽細胞の特徴です。
線維芽細胞は皮膚組織を構成する重要な成分であるコラーゲンやヒアルロン酸などの産生することで良好な性質の皮膚を再生するのに寄与しています。

幹細胞治療は医療現場でも使われる信頼性のある技術!

幹細胞治療は医療現場でも使われる信頼性のある技術!
幹細胞の注射や点滴による治療は美容だけでなく医療でも用いられています。
再生医療の現場で幅広く臨床応用されるようになっていることから、実績もあって安全性についての知見も豊富です。
信頼性のある技術なのは確かですが、安全に実施できるのは厚生労働省によって認められている病院やクリニックだけだということは念頭に置いておきましょう。