ボトックス注射直後にマッサージは厳禁!その理由とは?

抗加齢学会専門医/麻酔科認定医
コッツフォード良枝:監修

公開日:2020/02/21 更新日:2020/07/21

ボトックス注射はボツリヌス毒素の麻痺作用による筋肉の緩和を用いて、顔面痙攣や斜視の治療に使われていました。
日本では1996年に厚生省の認可を受けています。
ところが、この筋肉の緩和によって、顔のしわをなくすなどの整形治療に効果があることがわかり、美容整形にも用いられるようになりました。
日本でも美容整形・美容医療が一般的になり、2017年の施術数は190万件に達しています。
特に外科手術を伴わない「プチ整形」といわれる小規模の施術が85%を占め、ボトックス注射による施術も気軽に受けられるため人気があります。

しかし、注射するだけとはいえ神経麻痺作用を用いた医療行為ですので、ノーリスクではなく、あらかじめ注意すべきポイントを抑えておかないと思わぬ結果につながりかねません。
この記事ではボトックス注射の効果と留意すべき点について説明します。

しわができるメカニズム

しわができるメカニズム
まず、しわが何かというと皮膚の表面にできた筋目です。
通常肌は筋肉の動きや、外部からの圧力などで一時的に筋目が生じても、皮膚が弾力を持っているので元に戻り、筋目は消えてしまいます。
しかし、皮膚が弾力を失うと元に戻りにくくなり、次第に消えないでしわとなって残るようになります。
しわの原因は色々ありますが、3大原因といわれるのが乾燥・紫外線・加齢です。
しわの症状も大きく分けて3種類あり、乾燥じわ・紫外線じわ・表情じわと呼ばれています。
では原因と症状はどう関連しているのでしょうか?

まず乾燥ですが、皮膚は上から、角質層、表皮、真皮、皮下組織という順で構成されています。
角質層は表皮の新陳代謝によって押し出された古い細胞でできていて、頻繁に置き換わっています。
これをターンオーバーといいますが、このお蔭で角質層は弾力のある新しい状態を保持していて、しわができにくくなっています。
しかし、肌の乾燥が続くとターンオーバーで置き換わる前に角質層の弾力がなくなり、ちりめん状の小じわが生じてきます。
これが乾燥じわで、放っておくと大きなしわにつながります。

次に紫外線です。
真皮はコラーゲンと弾性のある繊維からできていて肌の張りを保っていますが、表皮のように新陳代謝が速い組織ではありません。
そのため加齢にともない徐々に弾力が失われていくのですが、紫外線には光老化といって、皮膚の老化を早める働きがあります。
紫外線のなかでも波長の長いUV-Aといわれるものは皮膚の奥のほうまで届いて、真皮の張りを保つ成分であるコラーゲンやエラスチンを壊してしまいます。
肌の中で日の光に当たる部分の老化の80%は光老化によるというデータもあり、これらが原因でできるしわを紫外線じわと呼びます。

最後の加齢ですが、どんな人でも年齢とともに皮膚の老化は起こります。
生活習慣によって個人差はありますが、基本的には止めようがありません。
このような加齢(光老化も含む)により弾力が失われた皮膚に、笑ったり、顔をしかめたりする表情によってできるしわが残ってしまうのが表情じわです。
特にお年寄りで同じ表情をする癖があると同じ部分にしわがよるため、しわができやすくなります。

顔が大きく見える理由

顔が大きく見える理由
「顔が大きく見える。小顔になりたい。」と悩む女性は少なくありません。
なぜ顔が大きく見えるのでしょうか?主な原因は4つあります。
1つ目は太ってしまった場合です。
人は太るときには顔から脂肪がついていきます。
顔全体に脂肪による贅肉がつき、二重顎で更にたるんで見えるなど、太ってしまうと実際に顔のサイズが大きくなります。
食べ過ぎには注意しましょう。
2つ目は顔のゆがみです。
よく頬杖をつく人、歯のかみ合わせが悪く片方の歯でかむ割合が多い人は、顔の骨格がゆがみやすいといわれています。
左右のバランスが崩れ、顎が片方にずれてしまうため、顔が大きく見えます。
軽い崩れなら生活習慣を正しくすることで修正可能です。

3つ目は顔のむくみです。
水分やアルコールを取り過ぎる、運動不足による血行不良などで起こり、顔が腫れぼったくなってしまい大きく見えます。
これも生活習慣の見直しである程度対処できます。
4つ目に咬筋の発達があります。
咬筋は物を食べるときに咀嚼するための筋肉です。
歯ぎしりなどの癖があったり、ストレスで歯を食いしばることが多かったりすると、この筋肉が発達して厚みがでるため、エラが張り出したようになり、顔が大きく見えます。
無意識にしていることが多いので対処は難しいですが、歯を噛みしめているのに気づいたらゆるめましょう。

この4つ以外にも、顔のパーツが大きすぎたり、小さすぎたりするために、実際には平均的な大きさなのに顔が大きく見える人もいます。

ふくらはぎが筋肉質に太くなるのはなぜ?

ふくらはぎが筋肉質に太くなるのはなぜ?
女性でふくらはぎの太さを気にする人は多いでしょう。
ふくらはぎが太くなる原因は筋肉をつけてしまう場合とそれ以外に分かれます。
筋肉をつけてしまう場合ですが、アスリートの人はどうしても足に筋肉がついて太くなります。
ふくらはぎは足のなかでも筋肉の割合が多い部位ですので、特に太くなりやすいです。
そもそも筋トレで筋肉がつくのは仕方がないことなので、細くしようとするならトレーニングを少なくするしかありません。
エクササイズなどの有酸素運動はむしろ太い筋肉を減らすので、健康のために運動をしている人はこちらをメインにすることも考えられます。

また、特に運動をしていなくても、歩く距離が多い人などは自然と筋肉がついてしまいます。
あまり気になるのであれば、やはりエクササイズなどの有酸素運動で体を引き締めましょう。
次に筋肉以外でふくらはぎが太くなる原因として、むくみがあります。
足のむくみを経験したことがある人は多いでしょうが、病気によるものでなければ、1番大きな原因は血行不良です。
特に立ち仕事の時間が長い人は、重力の影響で血液が心臓に戻りにくくなり、むくんでしまうことがよくあります。
また、運動不足で足の筋肉が弱くなっていると血液を押し戻す力が弱くなるので、やはりむくみやすくなります。

足の運動やストレッチなどを日常生活に取り入れるとむくみを減らすことができます。
マッサージを受けることも血行をよくするので効果的です。
最後の原因は脂肪のつきすぎです。
食べ過ぎは脂肪がつく元ですので要注意です。
むくみも脂肪がつきやすくなる原因ですので、むくみが出ていたらむくみ対策も行ないましょう。

ボトックス注射で期待できる美容効果とは

ボトックス注射で期待できる美容効果とは
ボトックス注射は、ボツリヌス菌が持つA型ボツリヌス毒素を抽出して毒性を取り除いたボトックス製剤を注射する治療法です。
日本では1996年に米国のアラガン社が厚生労働省の認可を受けています。
承認を受ける条件として、リスク管理や温度管理、使用医師は講習・実技セミナー参加医師に限るなど厳しい条件をクリアしているのが特徴です。
ボトックス注射は元々、眼瞼痙攣や顔面痙攣などの筋肉の痙攣が原因で起こる病気を、ボトックス製剤の神経麻痺成分で筋肉の動きを抑えることにより治療する用途に使われていました。

しかし、筋肉の活動を抑えるという効果から、ふくらはぎの筋肉に注射することで、筋肉の運動量を下げてふくらはぎを細くなるようにしたり、しわを作る表情筋を抑制することでしわをできにくくしたりといった、美容整形の分野でも用いられるようになりました。
現在美容効果として多くのクリニックがメニューにしているのは、小顔効果、しわ取り効果、ふくらはぎを細くする効果、発汗を抑える効果などです。
そのほかに、肌のハリやきめを整える効果もあるといわれています。

気をつけたいのは、日本で認可されているのはアラガン社のボトックス製剤だけなのですが、美容クリニックでは海外で使われている他社のボトックス製剤を使っているところもあります。
これらの製剤には、アラガン社が行なっているような厳しい管理は期待できないとされています。
また、ボトックス注射による治療を行なう医師は、施術する部位の筋肉の働きについて精通している必要があります。
アラガン社が認定する施術資格を持った医師がいるクリニックを選びましょう。

日本は世界3位の美容整形・医療大国!ボトックス施術数は?

日本は世界3位の美容整形・医療大国!ボトックス施術数は?

日本では「親からもらった体に傷をつけてはいけない」という風潮があるため、美容整形に対する拒否感のようなものがありますが、実際に数字を見ると、国際美容外科学会が2016年に発表したレポートでは2016年に美容処置が行なわれた国のトップ3は1位アメリカ、2位ブラジル、3位日本となっており、日本は世界3位の美容整形・医療大国となっています。
特徴としては、外科手術を含まない施術数が全体の85%を占め、世界平均の56%をかなり上回っています。

参照:国際美容外科学会(The International Society of Aesthetic Plastic Surgeons、略称「ISAPS」)

また、世界の美容整形は体のさまざまな部位が対象になっているのに対して、日本では顔と頭部の治療が92%と集中しています。
特にまぶたに関する治療が全体の6割を占め、二重まぶたに対するこだわりの大きさも見せています。
日本が美容整形・医療大国になったのは、美容整形でメスや手術を伴わない、注射やレーザー治療などを「プチ整形」と呼び、それほど大きな治療ではなく気軽に受けられるイメージがついたのが要因といわれています。

つまり「親からもらった体に傷をつけてはいけないけど、体に傷をつけないのは大丈夫」という考え方に変わってきたということなのでしょう。
美容医療の技術が進歩し、手術をしなくても多くの要望に応えることができるようになったのも理由のひとつと考えられます。
2019年2月に日本美容外科学会が発表した2017年の美容医療の施術数の調査では、非外科的治療(1,625,391件)の2割弱がボトックスとなっています。
1年でおよそ30万件のボトックス施術が行なわれたことになります。
非外科的治療のなかでは、脱毛に次いで2位となっており、人気の高さがわかります。

ボトックス注射が人気の理由とは?

ボトックス注射が人気の理由とは?
ボトックス注射が人気の理由は、施術時間が約10分と短いこと、メスや麻酔を使わない「プチ整形」なこと、数カ月で効果が消えるためやり直しがきくことなどが挙げられます。
また、ダウンタイム(施術してから回復するまでの期間)が少なく、1週間ほど(小顔は3~4週間ほど)で効果が現れることも人気の理由と考えられます。
ただし、数カ月で効果が消えるのは、定期的に施術を受けないといけないということになり、デメリットでもあります。
日本では「美容整形で大きなリスクはとりたくない」という考え方が主流なため、たとえ定期的に施術する必要があっても、やり直しがきくメリットのほうが大きいのでしょう。

また、ボトックス注射はアメリカでも人気があり、2017年には施術数が150万件を超えています。
ノースウェスタン大学の調査によると、人気の理由は美容のほかに「幸福感や自信の強化など心理面でのプラス効果のため」という人の割合が70%近くありました。
また、約半数の人が「健康のため」と答えています。
日本でも将来はこのような理由でボトックス注射を受けるようになるのかもしれません。

参照:なぜ美容整形手術を受けるのか、初の前向き観察研究

ボトックス直後はマッサージを控えたほうがいい理由

ボトックス直後はマッサージを控えたほうがいい理由
ボトックス注射を打ったあとに、一定の期間を空けずにマッサージを受けるのは止めるのが無難です。
ボトックス注射は、期待する効果(しわ取りなど)を得られると予測できる部位に打って、その部位の筋肉の動きを抑えます。
もし注射した部位の周辺にマッサージを行なうと、その部位に投与したボトックス製剤の効果が拡散してしまい、期待していたほど効果が出ないおそれがあります。
部位への製剤の固定が重要なので、定着するまでのあいだはマッサージだけでなく、激しい運動や長時間の入浴、飲酒なども避けたほうがよいでしょう。
3~4日、できれば1週間は控えたほうがよいといわれています。

効果が出ないだけならまだしも、ほかの部位に拡散して思わぬ症状が出るおそれもあります。
たとえば、あるクリニックで額のしわを取るための注射をしたのち、フェイシャルマッサージを受けたために、まぶたを上げる筋肉に拡散して、まぶたが上がらなくなったという事例があります。
このような場合、効果がなくなるまでのあいだ(3~6カ月)は修正することは難しいといわれています。
効果がなくなればやり直しができるのは安心ですが、せっかく受けた施術を無駄にする可能性がある行動は避けましょう。

いつからマッサージできるかは医師に相談を

いつからマッサージできるかは医師に相談を
ボトックス注射は打つ部位によって定着期間や効果が現れるまでの期間が異なるので、いつからマッサージできるかは施術をした医師に確認しましょう。
アラガン社の日本における公式サイトには「治療から約2週間後に、医療施設で治療効果のチェックを受けてください。
また、何らかの異常が現れた場合には、直ちに医師にご連絡ください。」と書かれています。
マッサージについては、施術を受けたところで治療効果のチェックを受けるときに聞いてもよいでしょう。
もし、何か違和感があればすぐにでも医師に連絡したほうがよいです。
せっかく受けた施術の効果を無駄にしないためにも、施術した医師とのコミュニケーションをしっかり取りましょう。