薄毛予防

乾燥で抜け毛は起きる?頭皮の乾燥を防ぐ10の対処法を解説

監修者 阿部有寛(院長)

「冬になると肌の乾燥に悩まされていたが、最近は頭皮の乾燥もひどい」「鏡で生え際や分け目を見ると、頭皮がカサカサしている」といったことはありませんか?
無意識に頭皮をかくほどのかゆみがあったり、肩にカサカサとしたフケが付いていたりするのを気にしている方もいるでしょう。周りの人にも不潔に思われたくないと心配する方もいるはずです。

また、最近抜け毛が増えて髪のボリュームが少なくなったのは、頭皮の乾燥が原因ではないかと不安に思う方もいるかもしれません。もし乾燥によって抜け毛が起きているのであれば、どうにかして対処しなくてはと思うでしょう。

結論から申し上げますと、頭皮の乾燥のみで抜け毛が起きる可能性は極めて低いと言えます。しかし、頭皮が乾燥することでフケやかゆみが発生し、間接的に髪に悪影響を与える可能性はあります。

そこで今回は、頭皮の乾燥のみで抜け毛が起こる可能性が極めて低い理由や、頭皮を乾燥させないための具体的な対策について詳しく解説していきます。現在頭皮がカサカサに乾燥していても、毎日の生活の中で頭皮の潤いを保てるような対処をしていくことで、頭皮環境を整えることはできますので、乾燥による抜け毛が気になる方は是非参考にしてください!

頭皮が乾燥するだけで抜け毛が起きる可能性は極めて低い

頭皮が乾燥するだけで抜け毛が起きる可能性は極めて低いと言えます。
なぜなら、抜け毛は一定期間で髪が生え変わるヘアサイクルが乱れることで起こりますが、ヘアサイクルが乱れる原因は様々なことが考えられるからです。

一方で、頭皮の乾燥によって髪が丈夫に育ちにくい環境になったり、髪が成長していくのを邪魔したりすることはあり、乾燥が間接的に抜け毛が起こる1つの要因になっていることは考えられます。

ここでは、乾燥だけで抜け毛が起きる可能性は低いと言える理由や、乾燥が髪に与える悪影響について解説していきます。頭皮の乾燥と抜け毛の関係性について、しっかりと把握しておきましょう。

抜け毛の原因と乾燥の関係性

一口に「抜け毛」といっても、抜け毛の原因は様々だと言われています。そのため、頭皮の乾燥も抜け毛の原因の中の1つの要因に過ぎないと言えます。
私たちの髪は、毛根にある毛母細胞が分裂し増殖することで、太く丈夫な毛が育ちます。そのためには、毛の土台となる頭皮に潤いや弾力があり、健康な状態であることが欠かせません。

しかし、頭皮が乾燥すると水分や弾力がなくなってごわつき、外からの刺激を受けやすくなることで炎症を起こすことがあるのです。そうすると、毛が育ちにくい環境になってしまい抜け毛が増えることもあります。

一方、抜け毛は乾燥だけではなく、食生活の乱れ・睡眠不足・運動不足・過度なストレス・男性ホルモン・遺伝など様々な原因によって起こり、これらは髪に必要な栄養が足りなくなることや血行不良などによって、頭皮や髪に悪影響を与えます。

現在抜け毛が増えており、頭皮の乾燥が気になっていたとしても、他の要因により抜け毛が引き起こされている可能性も考えられるため、乾燥は抜け毛が起こる1つの要因と言えるのです。

乾燥がフケやかゆみといった形で髪に悪影響を与えることはある

頭皮が乾燥することでフケやかゆみといった形になり、髪に悪影響を与えて抜け毛を引き起こす要因になってしまう可能性があります。フケが起きることによって毛穴が塞がり、かゆみにより頭皮に刺激が加わることで、健康な髪の成長を物理的に阻害し抜け毛を引き起こしてしまうとされています。

頭皮には外部の刺激や細菌の侵入を防ぐバリア機能という役割がありますが、洗髪のし過ぎなどの誤ったヘアケアや生活習慣の乱れによってバリア機能が低下すると、水分を保ちにくくなり乾燥が進みます。そして、乾燥によって、頭皮の細胞が生まれ変わるターンオーバーのリズムが崩れるとフケが出るのです。フケが大量に発生して毛穴を塞いでしまうと炎症が起こり抜けやすい毛となる「ひこう性脱毛症」になる場合もあります。

また、バリア機能の低下によって頭皮が乾燥し、外部からの刺激に弱くなるとかゆみがひどくなり、無意識のうちにかいてしまうこともありえます。こうして頭皮をかきつづけると傷がつき、髪の根元を引っ張ることで髪が抜けてしまう「牽引性脱毛症」を引き起こす可能性があります。

多少の乾燥であればこのような症状は起きにくいですが、乾燥が悪化してフケやかゆみなどが進んだ場合は、抜け毛が増える可能性があるので、ご自身の頭皮の状態をしっかりと把握しておくことが大切です。

頭皮に炎症が起きていない場合はAGAなどの脱毛症を疑う

頭皮に炎症が起きていない場合は、AGA(男性型脱毛症)などの他の脱毛症を発症している可能性が高いです。乾燥による炎症で赤みやかゆみなどの症状が出ていない場合は、乾燥が悪化していない可能性が高く、抜け毛の原因は他にある場合が考えられるからです。

男性の脱毛症に多いAGAは、生え際の後退や頭頂部の薄毛などの症状が起こり、じわじわと症状が進んでいく進行性の脱毛症です。20代で約10%、30代で約20%で40代で約30%、50代で約40%の男性が発症すると言われており、一般的に年齢が上がるにつれて発症する人が増えていくとされています。

他には、皮脂の過剰な分泌により抜け毛が増えてしまう「脂漏性脱毛症」や、円形に髪がごっそりと抜けてしまう「円形脱毛症」など、乾燥以外で抜け毛が起きる抜け毛は沢山あります。

頭皮の乾燥による炎症が起きていない抜け毛の場合は、このような脱毛症を発症している可能性も考えられます。脱毛症をご自身で判断するのは難しいので、薄毛治療が診療科目にある皮膚科やAGA治療専門クリニックの医師の診察を受けてみると良いでしょう。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

頭皮を乾燥させないための10の対処法

頭皮が乾燥するのは、生まれつきの体質や空気の乾燥、誤ったヘアケアなど様々なことが考えられますが、しっかりと対策することで潤いや弾力のある頭皮へと育てていくことはできます。
ここでは、頭皮を乾燥させないための10の対処法を紹介します。
日々の生活の中で誰でも簡単に取り入れやすい対処法ですので、是非参考にしてくださいね!

保湿系シャンプーを使用する

頭皮を乾燥させないためには、保湿系シャンプーを使用しましょう。
シャンプーには洗浄成分が含まれているため、余分な皮脂や汚れを落とせますが、バリア機能が低くなり乾燥している頭皮に洗浄力の強いシャンプーを使用すると、さらに乾燥が悪化することがあるので注意が必要です。

保湿系シャンプーは通常のシャンプーに比べて潤い成分が多く含まれているので、頭皮をマイルドに洗うことで乾燥を防げます。
これ以上乾燥を悪化させないためにも、「モイストタイプ」「モイスチャーシャンプー」と記載された保湿系シャンプーを使用しましょう。

【オススメの保湿系シャンプー】
花王 キュレル シャンプー
頭皮に必要なセラミドを保ちながらマイルドに洗えます。
Amazon:Amazon | キュレル シャンプー ポンプ 420ml(赤ちゃんにも使えます) | キュレル | シャンプー 通販
楽天:【楽天市場】【あす楽対応】【花王】 キュレル シャンプー ポンプ 420ml 【医薬部外品】:薬のファインズファルマ楽天市場店 (rakuten.co.jp)

洗髪をしすぎない

頭皮を乾燥させないためには、洗髪をしすぎないようにしましょう。頭皮を清潔に保つことは重要なので、毎日髪を洗うことは大事ですが、洗浄力の高いシャンプーで1日に何度も洗髪をしたりしてしまうとシャンプーの洗浄成分によって、頭皮の保護に必要な皮脂が洗い流されてしまって乾燥を引き起こしてしまう可能性があります。

頭をさっぱりさせたいからと1日に2回洗髪する方もいますが、かえって頭皮が乾燥しやすくなってしまい、フケや痒みの原因になるパターンも多いです。そのため、洗髪は1日1回にして、皮脂を過剰に洗い流さないようにしましょう。寝癖がついたり、汗をかいたりしてどうしても洗髪したくなったときは、シャンプーを使用せずにお湯で流すだけにすると、頭皮の潤いを保てます。

頭皮オイルマッサージを行う

頭皮の乾燥を防ぐために頭皮オイルマッサージをしましょう。
頭皮に使用できるオイルをつけてマッサージすることで、頭皮に潤いを与えられます。また、マッサージすると血行が促進されやすくなり、髪に必要な栄養が運ばれやすくなります。

マッサージをするときは頭皮専用オイルもしくは、全身の肌につけられるマルチオイルを選びましょう。洗髪前の頭皮につけてマッサージし、終わったらしっかりとシャンプーしてオイルを洗い流します。1週間のスペシャルケアとして取り入れるのがおすすめです。

【オススメの頭皮オイル】
大島椿
天然椿油100%で頭皮に潤いを与えます。
Amazon:Amazon | 大島椿 60mL おまけ付 椿油100% ヘアオイル スタイリング剤 マルチオイル しっとり 肌 頭皮 全身 洗い流さないトリートメント メンズ レディース | 大島椿 | ヘアオイル 通販
楽天:【楽天市場】【公式】大島椿 椿油100% 60mL [マルチオイル ヘアオイル 無香料 無着色 無鉱物油 洗い流さないトリートメント 頭皮ケア スキンケア 椿オイル 大島椿油]:大島椿公式ショップ楽天市場店 (rakuten.co.jp)

高温のドライヤーや温度の高すぎるお湯での洗髪は避ける

高温のドライヤーや温度の高すぎるお湯での洗髪を避けると、頭皮の乾燥を防げます。ドライヤーの熱風は約100度~200度あるため、頭皮に当て続けると水分が蒸発してさらに乾燥しやすくなるのです。

そのため、ドライヤーをするときは頭皮から20cm程度離して乾かすと、熱による乾燥を防げます。
スカルプモードなど60度程度の低温にできるドライヤーの場合は、温度を低めに設定しましょう。

また、洗髪時のお湯の温度が高すぎると、頭皮の潤いを保つ皮脂が余分に洗い流されてしまい、さらに乾燥が進む場合もあります。お湯の温度は、約37~39度に設定しましょう。

十分なタンパク質が摂取できる食事を心がける

十分なタンパク質が摂取できる食事を心掛けることも、頭皮の乾燥対策に繋がります。顔の肌と同様に、頭皮も食事で摂った栄養によって作られるので、栄養バランスが大切です。

肌は主にタンパク質から作られており、頭皮のハリや弾力、潤いを保つために欠かせません。タンパク質が足りないと、乾燥が進み頭皮環境が悪化する可能性もあります。
また、髪もタンパク質によって作られているため、抜けにくい丈夫な髪を育てるためにもタンパク質は必要です。

そのため、タンパク質が多く含まれる肉類・魚介類・鶏卵・牛乳などを積極的に摂取しましょう。タンパク質が摂れているか不安な場合は、プロテインドリンクで補うのもおすすめです。

乾燥を補うビタミン、ミネラルを積極的に摂取する

ビタミンやミネラルを積極的に摂取すると、頭皮の乾燥を補うことができます。
ビタミンは頭皮の潤いやハリを保つ作用に加えて血流促進効果もあり、悪化してしまった頭皮環境を整えることができます。ビタミンが多く含まれる野菜・果物・うなぎ・いわし・わかめ・玄米などを積極的に食べるようにしましょう。

また、ミネラルはカルシウムや亜鉛、鉄などのことで、肌の古い細胞が新しく生まれ変わるターンオーバーを整えて、血行促進することで頭皮の健康を保てます。ミネラルは体内では作られないため、食事で摂ることが大切です。ミネラルが多い牡蠣・牛乳・昆布・かつお・ほうれん草を食べるようにしましょう。食事で補うのがどうしても難しい場合はサプリメントを活用するのもおすすめです。

ストレスの原因を明確にしできるだけ距離を置く

頭皮の乾燥を防ぐためには、ストレスの原因を明確にして、そのストレスからできるだけ距離を置くことが大切です。

ストレスによって自律神経が乱れると副交感神経が有利になり、バリア機能が低下して頭皮が乾燥しやすくなることもあるのです。また、頭皮の血行が悪くなって、髪に必要な栄養が運ばれにくくなり、細く柔らかい毛となって抜けてしまうこともあります。

ストレスを全てなくすことは難しいですが、ストレスから少し距離を置き、自分の好きなことをする時間を設けると、ストレスが和らぎ乾燥しにくい頭皮を作ることができます。

頭皮用ローションで保湿をする

頭皮用ローションで保湿すると、頭皮が乾燥しにくくなります。
頭皮用ローションは、頭皮に水分を与えて保湿するもので、顔につける化粧水のような役割があります。頭皮のオイルマッサージとは異なり、頭皮用ローションは付けた後に流す必要はありません。

洗髪後の濡れている頭皮に頭皮用ローションを満遍なくつけて、指の腹でなじませて使用します。ローションが頭皮に浸透したら、ドライヤーで髪を乾かすときに頭皮も一緒に乾かしましょう。

【オススメの頭皮用ローション】
NOV スカルプローション
頭皮に潤いを与え、肌荒れ予防ができる薬用の頭皮用ローションです。
Amazon:Amazon.co.jp: ノブスカルプローション : ビューティー
楽天:【楽天市場】常盤薬品 NOV ノブ 薬用スカルプローション 80ml:激安コスメビレッジ (rakuten.co.jp)

良質な睡眠を取る

良質な睡眠を取ることも、頭皮の乾燥対策に繋がります。一見、睡眠と頭皮は関係ないかのように思われますが、乾燥と抜け毛には深い関係性があります。

睡眠中は成長ホルモンが分泌されることで、日中頭皮に受けたダメージを補修したり、整えたりして健やかな頭皮へと育まれています。しかし、睡眠不足や質の悪い睡眠が続いてしまうと、頭皮環境が悪化して乾燥したり、弱い毛しか作られずに抜け毛となることもあります。

そのため、なるべく6時間以上の睡眠を取ることや、質の良い睡眠を心掛けましょう。
夜に何度も起きてしまったり、朝なかなか起きられない場合は睡眠の質が悪い場合があります。寝る30分~1時間前はなるべくスマートフォンのブルーライトを浴びずに脳を休めたり、就寝3時間前までには食事や入浴を済ませておくことで、質の良い睡眠を取りやすくなります。

頭皮の日焼けに気をつける

頭皮の乾燥を防ぐためには、日焼けに気をつけましょう。日焼けして肌の皮がめくれた経験がある方もいると思いますが、同様に頭皮も日焼けすると乾燥したり炎症を起こす可能性があります。

特に分け目つむじは髪で頭皮が隠れていないので、もろに日焼けの影響を受けてしまい、乾燥が悪化しやすい部分でもあります。
また、紫外線を受けた頭皮は髪を作る毛母細胞がダメージを受けて、丈夫な髪が作られにくくなり抜け毛となりやすい可能性もあります。
そのため、長時間外にいる場合は帽子をかぶる、日傘をさすなどして、頭皮が日焼けしないように気をつけましょう。

さいごに

今回は、頭皮の乾燥と抜け毛の関係性について解説してきましたがいかがでしたか?
抜け毛が起こる原因には様々なことが関係するため、乾燥のみで抜け毛が起こるわけではないことがわかりました。

一方で、丈夫な髪が生まれしっかりと育つためには、土台となる頭皮環境が重要なため、乾燥が進むとフケやかゆみに繋がり、髪が抜けやすくなる1つの要因を作ってしまう可能性は考えられます。

頭皮の乾燥を防ぐためには、日々の生活の中で乾燥対策を行うことが大切です。このようにして頭皮環境を改善することが抜け毛を抑える第一歩になります。是非日常から髪のために感想予防をしていきましょう!

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
Recommend
こんな記事も読まれています!
記事URLをコピーしました