薄毛予防

自律神経と抜け毛の関係性は?ごっそり髪が抜けたらとにかく早く対処

監修者 阿部有寛(院長)

 

眠れない・疲れが取れない・頭痛やめまいが頻繁に起きる…
こうした症状が出ている場合、自律神経が乱れている可能性があります。

よく「ストレスで抜け毛が増え、薄毛になってしまった」という話を聞いたことがある方は多いと思いますが、実際にところストレスなどが原因で自律神経が乱れることによって抜け毛が起きる可能性は十分あります。

自律神経は身体の機能を正常に保つために必要な器官であるため、乱れてしまうと身体に様々な悪影響を及ぼしますが、髪の毛も自律神経の乱れの影響を強く受けます。

この記事では、自律神経と抜け毛の関係を解説していき、自律神経の乱れによって起きてしまう脱毛症のための対策や対処法までご紹介していきます。

自律神経の乱れで抜け毛が起きます

自律神経は身体の機能を正常に保つために必要な器官であるため、自律神経が乱れてしまうと身体に様々な悪影響を及ぼします。疲労の回復ができなくなったり、めまいや不眠、頭痛などの不調が慢性的に起きてしまいます。また、抜け毛のように見た目を大きく変えてしまうような症状も出てしまう可能性は高いです。


 
 

自律神経と抜け毛の関係性

自律神経が乱れることで血行不良とヘアサイクルの乱れが起きて脱毛症状が現れます。

自律神経は本来、交感神経と副交感神経を交互にバランスを取ることによって身体の様々な機能を正常に保っていますが、自律神経が乱れると、このバランスが崩れて交感神経が優位に働き続けてしまうため、心と身体は常に緊張状態となります。

その結果、血行不良が起きて髪に十分な栄養が行き渡らなくなり、髪が細くもろく変化して抜けやすくなってしまいます。また、自律神経が乱れることによって正常だったヘアサイクルが乱れ、十分な成長期間を過ごさないまま抜け落ちてしまって薄毛になってしまう可能性が考えられます。
 
※参考:自律神経失調症 – e-ヘルスネット – 厚生労働省
 
 

ストレスが原因で自律神経は乱れる

自律神経はストレスの影響を非常に大きく受けます。仕事のプレッシャーや過労、人間関係、環境の変化など、人々は毎日いろいろなストレスを抱えて生活していますが、こうしたストレスが蓄積していったときに自律神経のバランスは崩れ始めます。

また、同時にストレスを抱えた状態だと生活習慣も不規則になる場合が多く、睡眠不足やストレスによる暴飲暴食などによって身体への悪影響を加速させます。

自律神経が乱れることで精神的にも身体的にも様々な身体の負担をもたらしますが、自律神経による抜け毛は髪の毛がごっそり抜けるのが特徴であり、見た目の印象を大きく左右してしまいます。
 
 
 

自律神経の乱れが原因で起きる3つの脱毛症

自律神経の乱れによって起きる抜け毛は主に3つあり、脱毛症に分類されます。
抜け毛の進行具合や抜け毛のタイプも異なるので、自律神経が乱れて現在抜け毛が始まっている方はご自身の抜け毛がどの脱毛症の可能性が高いか判断する必要があります。早めに対処しなければ、どんどん抜け毛は加速していってしまいます。
 
 

円形脱毛症

円形脱毛症は自律神経の乱れで起きる可能性があると言われている脱毛症です。
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 においては、ストレスと円形脱毛症の関係として下記のような記述があります。

「強い精神的ストレス後に脱毛症状を生じた症例を経験する機会がある一方で,全くその関与を自覚しない患者もかなり多い。 円形脱毛症患者 31 名の精神科的面接調査で,74%の患者が 一生の中で一度以上は何らかの精神疾患の診断を受け ているが、抑うつ状態と脱毛の病型には関連性を認めなかった。

※引用:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版
 
根拠がはっきり証明されている訳ではないですが、ストレスで円形脱毛症を発症する可能性は高いと言えます。

円形脱毛症の特徴は、抜け毛のスピードと髪の抜け方にあります。
AGAはじわじわと髪質が細く変化し抜け毛がゆっくりと増えていくことが多いですが、円形脱毛症はごっそりと一気に髪が抜けていくのが特徴です。また、抜け毛のタイプもM字型やO字形のようにではなく、10円玉サイズの小さな薄毛から、頭全体に至るものまで様々です。

小さな円だけだったら目立ちませんが、複数に増えたり全体に円が広がったりしてしまうとかなり目立ってしまいますので、早めの対処が必要でしょう。円形脱毛症の疑いがある場合は皮膚科を受診するようにしてください。

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版
 
 

休止期脱毛症

休止期脱毛症は自律神経の乱れによって起きる脱毛症のことを指します。
本来人間にはヘアサイクルという髪が生まれてから生え変わるまでの「ヘアサイクル」というものが存在しますが、成長期の髪の毛がすぐに休止期に移行してしまうことによって一時的に抜け毛が急激に増えていくのが特徴です。

ヘアサイクルが乱れて抜け毛が起きるのはAGAと同じなので混同しがちですが、休止期脱毛症はAGAよりも抜け毛の範囲が広く、一気に髪が抜けるのが特徴です。また、AGAは一度発症してしまったら治ることはありませんが、休止期脱毛症は自律神経が正常に戻れば脱毛症状は自然に治っていくとされています。

しかし、ストレスなどの自律神経の乱れの原因を排除できない場合や、つむじ・生え際などから一気に髪が抜けている症状がかなり気になる場合などは、早めに皮膚科や薄毛治療が専門科目にあるクリニックを受診したほうが良いでしょう。
 
※参考:幹細胞:ストレスが発毛に影響を及ぼす仕組み
 
 

びまん性脱毛症(女性)

びまん性脱毛症の「びまん」とは「一面に広がる」という意味で、生え際や頭頂部の一部分だけでなく頭部の髪全体が薄くなる脱毛症のことを指します。女性に最も多く見られる脱毛症ですが、稀に男性にも発症する場合があります。

びまん性脱毛症は、特に自律神経の乱れによって起きるホルモンバランスの崩れが大きな影響を及ぼします。ストレスや環境の変化、加齢によって自律神経が乱れている状態になると、体内のエストロゲン(女性ホルモン)のバランスが崩れてしまい、それが頭皮環境を悪化させ、全体的に髪の毛が薄くなっていきます。

こちらも休止期脱毛症と同様に、薄毛治療が診療科目にあるクリニックに行くか、皮膚科を受診することをおすすめします。
 
 
 

AGAの人の自律神経が乱れた場合、薄毛の進行を加速させる

自律神経の乱れによって様々な脱毛症になることをお話してきましたが、自律神経が乱れたからと言ってそれが直接原因でAGAを発症することはありません。AGAとは男性型脱毛症のことであり、主に男性ホルモンの影響を強く受けて髪が抜ける脱毛症のことを指します。

そのため自律神経による脱毛とAGAは別物ですが、AGAを既に発症している方の自律神経が乱れてしまった場合、より薄毛の加速させてしまう可能性は考えられます。

特にストレスや睡眠障害などによって自律神経が乱れた際に起きる血行不良の影響は、髪に十分な栄養を届けることができなくなって髪が細くもろくなってしまったり、毛母細胞の活動が低下し新たな髪が生えなくなってしまったりといった状態に陥ります。AGAを既に発症し、治療を行っている方でも自律神経の乱れには気をつける必要があります。
 
 
 

自律神経の乱れで抜け毛が起きているなら、まずは医療機関を受診する

自律神経が乱れていると感じたら、抜け毛が起きる前にまず医療機関を受診しましょう。
しかし何科を受診したら良いかわからない方も多いのではないでしょうか?

既に脱毛症状が出ているのであれば皮膚科か薄毛の専門クリニック、まだ脱毛症状は出ていないのであれば最もつらい症状の診療科を受診し、少しずつ自律神経を正常な状態に戻すことが大切です。


 
 
 

まとめ

自律神経の乱れは見た目に大きく関わる脱毛症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

また、既にAGAを持つ人が自律神経の乱れを経験すると、その薄毛の進行を加速させてしまいますので、なるべく自律神経が乱れないように気にかけながら生活していく必要があります。

本来自律神経が乱れる原因となっているストレスを取り除くことができれば1番良いのですが、大人にとってストレスの排除はなかなか難しいことだと思います。
自律神経の乱れで抜け毛が起きてしまわないように、日々ご自身の身体と心と向き合って、少しでも自律神経の乱れを感じた場合は、早めに診療科に足を運んで対処していきましょう!
 
 
 
 

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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