薄毛予防

放置は厳禁!誰もがなり得る脂漏性脱毛症を徹底解説

監修者 阿部有寛(院長)

 

ちゃんと毎日お風呂に入って髪を洗っているのに、「頭皮のベタつきがとれない」「フケやかゆみが止まらない」といった悩みを感じているあなた。もしかすると「脂漏性皮膚炎」かもしれません。

そのまま放置を続けた場合、症状はどんどん悪化していき、「脂漏性脱毛症」を発症してしまう可能性があります。脂漏性脱毛症は年齢や性別に関係なく発症するため、いま現在、頭皮のベタつきや脂っぽさ、フケ湿疹などの症状を感じている方は注意が必要です。

この記事では、脂漏性脱毛症の原因や治療法、アフターケアについてできるだけ分かりやすく紹介していきます。
症状の改善から再発に対する悩みまで、全てを解決いただける内容になっておりますので、ぜひ最後までお読みください。

「脂漏性皮膚炎」を放置すると「脂漏性脱毛症」になる

「脂漏性脱毛症」とは、頭皮の皮脂が何らかの原因で過剰に分泌されることにより抜け毛が増えてしまう脱毛症の1つです。また、皮脂の過剰分泌が原因で、頭皮にニキビや湿疹などの異常が起きている状態を「脂漏性皮膚炎」と呼びます。

つまり、脂漏性皮膚炎を治療せずに放置することで、脂漏性脱毛症は発症してしまいます。

脂漏性脱毛症は年齢や性別に関係なく発症するのが特徴であり、特に思春期以降に症状が現れる方が多く、高温多湿で紫外線が強くなる夏の時期は状況が悪化する方も少なくありません。
 
 
 

「脂漏性脱毛症」の原因はカビ菌の異常繁殖

脂漏性脱毛症の直接の原因は脂漏性皮膚炎の放置です。つまり、脂漏性皮膚炎が起こらなければ脂漏性脱毛症が発症することは無いと言えるでしょう。

脂漏性皮膚炎が起こる根本的な原因は「マラセチア菌(常在菌)」の異常繁殖です。
マラセチア菌とは、全てのヒトの皮膚表面に存在するカビ菌の一種で、皮脂のバランスが安定した肌であればこれといった悪影響はありません。
しかし、皮脂や汗をエサにして繁殖するため、皮脂量が増加すると繁殖力を強めて脂漏性皮膚炎を引き起こしてしまいます。

ここからは、マラセチア菌の繁殖に繋がる皮脂の過剰分泌について、日常生活で起こりやすい3つの主な原因を解説していきます。
 
 

菌の繁殖の原因1:ホルモンバランスの変化

ホルモンバランスが変化する主な理由として、加齢、過度なストレス、妊娠、出産が挙げられます。
ホルモンバランスが崩れて男性ホルモンの働きが活発になると、皮脂の過剰分泌が起こります。

また、女性の場合は妊娠や出産時にプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が促進されるのですが、プロゲステロンには男性ホルモンと似た働きがあり、同様に皮脂の分泌を活発化させてしまいます。
 
 

菌の繁殖の原因2:生活習慣の乱れ

睡眠不足や栄養バランスの悪い食事は、過剰に皮脂を分泌させてしまいます。
睡眠は、起きている時間が長いほど交感神経を活性化させ皮脂の分泌を促します。また、寝不足が続くとホルモンバランスが整わないため、こちらも皮脂の過剰分泌を促進させます。
高カロリーや高脂質の食事は、過剰に皮脂を分泌させることに直結するため、脂身の多い肉類や揚げ物をよく食べる方は要注意です。他にも過度な飲酒や喫煙は、皮脂のバランスを保持することに悪影響を及ぼすと言われており、1日を通して健康的な生活を送ることが、マラセチア菌の繁殖を抑えるために大切です。
 
 

菌の繁殖の原因3:間違ったケア方法による増加

自身の頭皮に合っていないシャンプーを使い続けたり、洗髪後に髪を乾かさず放置したりを繰り返すことも菌の繁殖に繋がります。
頭皮のベタつきが気になると、つい洗浄力の強いシャンプーを使いたくなりますが、実は必要な分の皮脂まで洗い流してしまうため、頭皮は過度な乾燥状態に陥ります。すると、頭皮は乾燥を防ぐために過剰な皮脂を分泌させ、結果的に頭皮は脂性肌の状態となりマラセチア菌は増殖してしまうのです。そのため、1日に何度も髪を洗う習慣がある方は注意が必要です。
 
 
 

脂漏性脱毛症になりやすい方の特徴

脂漏性脱毛症になる可能性が高い方の特徴は、ずばり脂漏性皮膚炎の症状がみられる方です。

脂漏性皮膚炎は、頭皮環境の悪化から起こる病気で自然に完治することは難しく、最適な治療を行うには皮膚科を受診する必要があります。
そこで、まずはご自身が脂漏性皮膚炎であるかを見分けるために、以下の代表的な症状を確認していきましょう。少しでも心当たりがある方は、直ちにかかりつけの皮膚科医にご相談ください。
 
 

症状1:かゆみ、フケ

まず1つ目の代表的な症状は、かゆみやフケです。

毎日シャンプーをしているのに頭がとにかくかゆい、掻くとふけが出てくるといった症状がある場合は、脂漏性皮膚炎の可能性があります。
フケが出ることによってしっかり洗えてないのではと不安になり、1日に何度も髪を洗ってしまう方がいますが、それは大きな間違いです。頭皮の洗いすぎは逆効果であり、本来頭皮の乾燥を保護するために必要な皮脂まで根こそぎ洗い流してしまいます。

また、フケと聞くと白くてパラパラしたものをイメージしがちですが、脂漏性皮膚炎の症状として起こるフケは、黄色っぽくベタベタしたものが特徴です。このフケが大量発生することで、毛穴は詰まり頭皮環境の悪化をさらに促進させてしまいます。
このようなフケが頭皮に見受けられる場合には、直ちに皮膚科を受診しましょう。
 
 

症状2:湿疹、ニキビ

頭皮に炎症が起きると、かゆみや痛みを感じることが多くなると思います。かゆみに耐えられずつい掻きむしってしまったり、シャンプー時に爪を立てて洗ってしまったりを繰り返すと、傷ついた頭皮に悪性の菌が付着して湿疹やニキビを引き起こします。
このような症状が見受けられる場合にも、脂漏性皮膚炎を発症している可能性が高いため注意が必要です。
 
 
 

脂漏性脱毛症の治療方法

脂漏性脱毛症は一般的に知られている男性型の脱毛症とは異なり、抜けた髪の毛が二度と生えて来なくなるというものではありません。脂漏性皮膚炎を完治させ、頭皮環境を通常通りに戻せば脱毛症状も自然と治まります。
より早い改善を行うためにも、ぜひ正しい方法で治療を行っていきましょう。
 
 

治療方法1:シャンプーを変える

通常市販されているシャンプーは、髪をサラサラにしたり艶を出したりすること目的として作られているものが多いため、脂漏性皮膚炎で頭皮環境が悪化してしまっている方にはおすすめできません。髪を保湿する成分であるシリコンなどは、頭皮に付着するとさらなる悪化を起こす可能性があるため注意が必要です。

シャンプーによる治療を考えている方は、脂漏性皮膚炎の症状に特化した薬用シャンプーを使用しましょう。薬用シャンプーにも様々な商品がありますが、洗浄力や保湿成分、抗菌・殺菌成分などそれぞれにこだわったものが販売されています。

ただし、症状が進行するにつれてシャンプーのみでの改善は難しくなる可能性がございます。
確実な治療を行うためには、次に紹介する皮膚科での治療をおすすめします。
 
 

治療方法2:薬を処方してもらう

脂漏性皮膚炎は頭皮(皮膚)の病気ですので、皮膚科を受診すれば保険適用で治療が受けられます。
この症状の治療にはステロイド薬や抗真菌薬といった外用薬が用いられ、1日に1~2回、約2週間ほど使用することで症状が落ち着くことがほとんどです。迷ったらとにかく皮膚科を受診しましょう!
 
 
 

治ってからのアフターケア

脂漏性脱毛症は脂漏性皮膚炎が完治すれば自然と治るものです。脂漏性皮膚炎は多くの場合しっかりと治療すれば完治しますが、再発する事も多々あります。特に成人の方は再発の可能性が高いため注意が必要です。
ここでは、完治後のアフターケアを食生活と周囲環境の2つに分けてご紹介します。
 
 

食生活を変える

揚げ物などの脂っこい食事は頭皮の皮脂を過剰に分泌させてしまうため、例え脂漏性皮膚炎が完治したとしても摂り過ぎには注意が必要です。特に外食やコンビニ食には、脂分や塩分が非常に多く使用されているため、過度な摂取は控えるようにしてください。また、他にもコーヒーアルコール、辛い食べ物なども頭皮や肌に刺激を与えやすいので、治りかけの時期にはなるべく控えることをおすすめします。

 

生活環境を変える

ここでの生活環境とは身の回りの生活スタイルのことを指します。
例えば、職場などの人間関係でストレスを感じると、ホルモンバランスが崩れて皮脂量が増えてしまう場合があります。ストレスを完全に無くすことは難しいですが、自分なりのストレス発散方法を見つけることで、過度に溜め込み過ぎないようにしていきましょう。
他にも、睡眠時間の改善、寝具の見直し、お風呂は夜に必ず入る、飲酒の頻度を減らす、禁煙するなどの生活リズムを整えることで、過剰な皮脂の分泌を抑えることができます。
無理のない範囲で構いませんので、小さなことから少しずつ変化を与えてみてください。

 

まとめ

脂漏性皮膚炎の方は、脱毛症へと移行する可能性が大いにあります。
また、すでに脂漏性脱毛症を発症している方も決して治らない病気ではありませんので、1日でも早く治療に取り組み、悩みや不安を解消していきましょう。

 
 
 
 

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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