「コーヒーを飲みすぎると薄毛になる」という噂を聞いたことはありませんか?
何の信憑性もない噂であっても、薄毛の話となると特に男性は気にしてしまうものですよね。そもそも、なぜこのような噂が広まったのかというと、どうやらコーヒーに含まれるカフェインが大きく関係しているようです。
そこで、この記事では「カフェインと薄毛」に関する真実をわかりやすく解説していきます。最後までお読みいただければ、今後カフェイン摂取で薄毛に悩む心配はなくなるでしょう。
何かしら新たな発見が得られる内容にまとめておりますので、日ごろカフェインをあまり摂取しないという方もぜひ一度読んでみてくださいね!
カフェインが薄毛に直接的な影響を与えることはありません
早速まずは、「カフェインを摂りすぎると薄毛になるのか?」についての答えを発表いたします。
結論、現時点では、カフェイン摂取による薄毛への直接的なリスクを証明する根拠は存在しません。つまり、カフェインが薄毛に直接的な影響を与えることはないとされています。
それではなぜ、このよう噂が広まったのでしょうか?
「カフェインを摂り過ぎると薄毛になる」という噂が広まった理由
現時点では、カフェインが薄毛へ直接的に関与する根拠は存在しないということをお話ししましたが、なぜ「カフェインを摂りすぎると薄毛になる」という噂が広まってしまったのでしょうか。
そこには大きく2つの理由が考えられます。
良質な睡眠を妨げる
薄毛の予防、治療において不眠であることは致命的です。睡眠の質が低下すると、髪の毛の成長に必要不可欠な成長ホルモンの分泌が止まってしまい、身体の不調だけでなく抜け毛の増加や薄毛の進行にも影響を与えます。
人間の身体では、疲労を感じると「アデノシン」という物質が産生されます。アデノシンは眠気を起こす睡眠物質の1つであり、アデノシン受容体に結合することで覚醒作用のある「ヒスタミン(神経伝達物質)」の放出を抑えて眠気を誘発します。
しかし、カフェインを摂取するとアデノシン受容体にカフェインが結合され、本来行われるはずであるアデノシンとの結合を阻害してしまうため、ヒスタミンの放出が十分に抑制できず眠気を感じにくくなります。
眠気を感じられないままベッドに入っても、なかなか寝つけず良質な睡眠をとることはできません。さらに、質の悪い睡眠は成長ホルモンの分泌を減少させてしまうため、抜け毛や薄毛の症状に繋がるのです。
また、アデノシンには毛乳頭細胞へ作用して毛髪の成長を促す「FGF-7」を増やす働きがあるとされています。しかし、カフェインの過剰摂取によりアデノシンの働きが抑制されると、FGF-7の減少を招き髪の毛の成長を妨げてしまう可能性もあります。
カフェインの血中濃度は摂取後30分~2時間ほどで最大となり、効果が半減するまでには2時間から8時間かかると言われています。
※反応が現れる時間には個人差があります
睡眠の質を低下させないためにも、夕方以降のカフェイン摂取はできる限り控えた方が良いでしょう。
※参考:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター 『カフェインと睡眠』
亜鉛の吸収を妨げる
過剰なカフェインの摂取は、髪の毛の合成や頭皮環境の安定をサポートする「亜鉛」の吸収を阻害します。亜鉛には、髪の主成分であるケラチン(タンパク質)を合成する働きがあり、不足すると新たな髪の毛が育たずヘアサイクルの乱れに繋がります。
また、代謝や免疫機能に働きかけ身体を健康に保つ役割も担っているため、吸収を阻害されることは抜け毛や薄毛の原因になりかねません。毎日エナジードリンクやコーヒーを多量に摂取されている方は、亜鉛を補うためにサプリメントなどを取り入れてみるのもおすすめです。
コーヒーは髪に良い効果を与えます
ここまでカフェインが薄毛に与える影響をお伝えしてきましたが、カフェインは必ずしも身体に悪いという訳ではありません。
例えば、カフェインが持つ利尿作用にはデトックス効果があると言われています。また、カフェインの代表格ともいえるコーヒーには、髪の毛に与える良い効果が多く存在します。
実際にカナダ保健省では、1日に1杯〜4杯飲むことを推奨しており、毎日1杯〜3杯程度の量であれば薄毛に影響することはほとんどないと考えられています。
そこで、ここからはコーヒーに秘められた、髪の毛へ与える2つの嬉しい効果についてご紹介していきましょう。
※参考:厚生労働省 『食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~』
ポリフェノールによる血行促進
コーヒーには「ポリフェノール」が豊富に含まれています。ポリフェノールの種類は8000以上あり、代表的なものを挙げるとカテキン、イソフラボン、アントシアニンなどが該当します。
コーヒーに含まれるポリフェノールは「クロロゲン酸類」と呼ばれ、血行促進効果があると言われています。血行促進効果によって血液の流れが良くなると、髪に必要な栄養をしっかりと届けることができるため頭皮環境の安定に繋がるのです。
なお、AGA(男性型脱毛症)の治療薬として知られるミノキシジルにも血行促進効果があり、コーヒーのポリフェノールはこれと類似した働きがあると言われています。
利尿作用で薄毛ホルモンDHTを体外へ排出
「DHT(ジヒドロテストステロン)」とは、AGA(男性型脱毛症)の主な原因とされる男性ホルモンのことを指します。
近年の研究によると、コーヒーにはDHT(ジヒドロテストステロン)の働きを抑制する効果があると報告されており、その理由はカフェインが持つ利尿作用が関係しています。
コーヒーに含まれるカフェインの働きにより利尿作用が促進されることで、薄毛の原因ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)を体外へ排出することが期待できます。ただし、コーヒーを大量に飲めば良いというものではありませんので、1日1杯〜3杯を目安にほどよい摂取を心がけましょう。
さいごに
何よりも大切なのは、カフェインを摂取し過ぎないことです。毎日の生活に適量のカフェインを取り入れることで、抜け毛や薄毛予防にも良い効果をもたらしてくれます。
コーヒー愛好家の方は、くれぐれも適量を守って嗜んでいただきながら薄毛の進行も抑制していきましょう!