公開日:2023/09/13更新日:2023/12/06

空腹が気持ちいいと感じる!3つのメリットとその理由を徹底解説

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ダイエットで食べる量を制限することに慣れると、空腹に気持ちよさを感じるようになります。このとき、身体の中ではどんなことが起きているのでしょうか。
この記事では、空腹時に「気持ちいい」と感じる理由やメリット・デメリット、記事の後半では「空腹のまぎらわせ方」を紹介します。
ダイエットを成功させるためには、空腹感を上手くコントロールすることが重要です。この記事を最後まで読んで、空腹を感じたときにどう対応すればよいのか準備しておきましょう。

空腹が気持ちいい状態とは

空腹が気持ちいい状態とは
空腹を感じると、最初は怒りっぽくなったりイライラしたりするものの、何とも言えない気持ちよさを感じることがあります。このとき、身体の中ではどのようなことが起きているのでしょうか。ここでは空腹の気持ちよさの正体を解説します。

空腹とは

空腹は胃の中の状態を反映する感覚ではなく、血糖値が下がることによって感じるものです。
よくある間違いとして「胃の中に食べ物がなくなるとお腹が減る」というものがあります。しかし、これは明らかな間違いです。食欲は脳の視床下部という場所で管理されています。例えば、身体活動に必要なエネルギーが不足しているとわかれば「食事を摂りなさい」食事を摂り血糖値が上昇すると「もうやめてよし」のように脳が指示を出します。
エネルギーが不足していることを血糖値の低下から察知した脳からの信号が「空腹感」なのです。

空腹の気持ちよさを生み出すエンドルフィン

空腹状態が長く続くと、体内では「アドレナリン」の分泌量が上昇します。これは本来、身体に備わっている防衛本能であり、下がり過ぎた血糖値を上げる作用があるのです。アドレナリンは神経伝達物質の一つであり、過剰に分泌されるとイライラしたり怒りっぽくなったりします。お腹が減って機嫌が悪くなる人がいるのは、このホルモンが原因です。

アドレナリンが分泌され続ける状態が続くと、今度はそれを下げるために「βエンドルフィン」というホルモンが分泌され始めます。βエンドルフィンは神経伝達物資の中でも「快楽物質」と呼ばれ、このとき高揚感や幸福感を得られるようになります。これが「空腹に伴う気持ちよさ」の正体です。

本物の空腹と偽物の空腹の違いとは

本物の空腹と偽物の空腹の違いとは
実は空腹には「偽物の空腹」があります。ここでは「本物の空腹」と「偽物の空腹」との間にはどんな違いがあるのか詳しく見ていきます。

本物の空腹

本来、空腹とは胃の中が空になって血糖値が下がり、エネルギーが不足している状態のことを指します。個人差はあるものの、最後の食事から5〜6時間後に感じる空腹は、本物の空腹だと考えてよいでしょう。
ここで、空腹時のおよそ2倍まで血糖値が上昇すると、空腹感は収まります。ただし、食事を摂り始めてから脳が満腹感を覚えるまでには20分かかるとされています。そのため、食事の際には一口30回は噛むようにしましょう。よく噛めば満足感を得ることができます。

偽物の空腹

一方、偽物の空腹はエネルギーが足りているにも関わらず、脳が感じる欲求から来る空腹感を表します。たとえば、お腹いっぱいなのにデザートを食べたくなったり、美味しそうな匂いを嗅いだり食欲をそそる写真を見るとお腹が空いたように感じるのは「偽物の空腹」のしわざです。
このとき、身体のエネルギーは足りているにも関わらず、過去にそれらを食べた記憶から脳が錯覚的に食欲を感じます。身体に不必要なカロリーを摂取することにつながるため、偽物の空腹をしっかり見分けることがダイエットには重要です。

空腹が身体にもたらす4つのデメリット

空腹が身体にもたらす4つのデメリット
空腹を感じることにより、身体にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは「脂肪がつきやすくなる」「血糖値が上昇する」「胃腸の動きが悪くなる」「精神的に不安定になりイライラする」といったデメリットについて紹介します。

脂肪がつきやすくなる

空腹が続くと身体に脂肪がつきやすくなり、肥満の原因になります。
お腹が空いているときに身体はエネルギーが不足していると感じており、体内は低血糖状態になっています。この状態が長く続くと、身体は「生きるために」次に摂取する糖質や脂質を効率よく取り込もうとするのです。
ダイエットのために食べるのを我慢した結果、身体は太りやすい状態になっており、ここでドカ食い大食いをするとリバウンドの原因になるでしょう。

血糖値が上昇する

空腹を感じた後の食事では、血糖値の上昇を引き起こす可能性があります。
空腹感は身体からのSOSであり、このとき身体はエネルギーを求めています。そのため、このタイミングで摂取される糖質は吸収されやすくなっているのです。
例えば、長時間の断食後にドーナツを食べたりジュースを飲んだりすると、それらの糖分は一気に血液に吸収され、インスリンの分泌量も増加してしまいます。
朝食を抜いて

胃腸の動きが悪くなる

空腹時には胃腸の機能も低下してしまいます。これによりさまざまな病気のリスクが増えてしまうのです。
一定期間食事を摂らないと、胃は酸を分泌し続けてしまいます。すると、胃の内部は大きくダメージを受ける可能性があるでしょう。また、この状態が長期化すると、胃潰瘍や胃炎になるリスクも高くなります。他にも、胃が正常に働くためのエネルギーが不足したり、消化酵素の生成が遅くなることで食べ物の消化・吸収が上手く行われないこともあるでしょう。
例えば、仕事が忙しく昼食を摂る時間がない日が続いた結果、胃酸が胃の内側を傷つけ炎症を起こす恐れもあります。

精神的に不安定になりイライラする

お腹が空くとイライラしたり、集中力が切れることもあるでしょう。これは前述したように、アドレナリンの作用が影響しています。
体内に摂取された糖のうち、20~30%は脳で消費されると言われています。つまり、低血糖で脳に糖が足りなくなると、怒りや不安といった精神面の不調が現れるのです。
空腹が感情を変化させるメカニズムには諸説あるものの、お腹が空いてイライラしているときには「脳が正常に働いていない」と考えてよいでしょう。

空腹状態が身体にもたらすメリット

空腹が身体にもたらすメリット
一方、空腹によってもたらされるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットについて紹介します。

脂肪が燃えやすくなる

空腹を感じているときは脂肪が燃えやすいタイミングです。
体内にエネルギーがない状態では、身体は自分でエネルギーを作ろうとします。

このとき、身体は脂肪からも栄養を吸収しようとするため、脂肪が分解されやすくなるのです。
ダイエットをするなら空腹時、特に食前に運動を取り入れるとよいでしょう。

空腹時に脂肪が燃えるメカニズム
  • 1.空腹のサインが出される
  • 2.血糖値の低下に反応する
  • 3.蓄積された中性脂肪が分解される

免疫力が高まる

人間の身体の免疫機能にかかわる「オートファジー」という機構は、空腹時に活性化することがわかっています。
オートファジーは日本語では「自食作用」という訳で知られており、細胞内のタンパク質が不足したときに、自分自身を分解し必要なタンパク質を確保する作用があるのです。他にも、ガンやアルツハイマーの予防など、さまざまな疾患の発症に関連していることがわかっています。
適度な空腹を保つことによって、身体の免疫力を高めることができるでしょう。

アンチエイジングになる

空腹時における体内の変化から、アンチエイジング効果を得られる可能性もあります。
若返り遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子は空腹時に活性化され、体内の遺伝子の傷付いた部分を修復してくれるのです。
このとき、細胞内のミトコンドリアが活発になるため、細胞は生き生きとしてアンチエイジング効果を期待することができるでしょう。

空腹とダイエットの関係

空腹とダイエットの関係
ダイエットを成功させるためのカギになるのは、空腹感を上手くコントロールすることです。そのために、適度な食事量を守るために役立つポイントを解説します。

食べ過ぎチェック

普段から食事の量を意識していないと、自分が食べ過ぎているかどうかが分かりません。ここでは、食べ過ぎのセルフチェック方法を紹介します。
この方法では、舌を観察します。まずは鏡で舌を見てみましょう。舌には舌苔(ぜったい)という苔のようなものが付着しています。この舌苔の色や状態によって、胃腸の調子を把握することができます。
舌苔が白っぽかったり黄色いときは、食べ過ぎが原因で胃腸に負担がかかっていると考えてよいでしょう(以下、表参照)。

舌の色 ピンク色 白っぽく舌苔に厚み 黄色
胃腸の状態 正常 胃の詰まり
機能低下
胃の詰まり
腸の詰まり

適度な食事量とは

ちょうどいい食事量とは「胃1個分ほどの大きさ」とされています。
前提として、胃の大きさは握りこぶし1〜2個分です。ただし、胃は筋肉でできているので食べれば食べるほど大きく伸びてしまいまいます。
「胃に入るからまだ食べる」ではなく、一回の食事で食べる量は咀嚼後の量として、握りこぶし1〜2個分になるように意識するとよいでしょう。

空腹をまぎらわせるコツ

空腹をまぎらわせるコツ
空腹感がひどく我慢できないときには、空腹をまぎらわせるコツを試してみましょう。

歯磨きをする

口の中を清潔にしておくことでスッキリ感を覚え、空腹感がおさまることがあります。また気分転換にもなります。
h3軽い運動をする
空腹感をまぎらわせるためには、ストレスにならない程度の軽い運動も有効です。あまり激し過ぎると疲れの原因になるので、ストレッチや散歩などの運動を選ぶとよいでしょう。

ガムを噛む

ガムを噛むことで空腹感を抑えることができます。ガム自体にカロリーがあるため、食べ過ぎには注意が必要です。ただ、間食をするよりはカロリーを低く抑えることができるため、上手く使って空腹感を乗り越えましょう。

まとめ

まとめ
空腹が気持ちいいと感じるのは、アドレナリンを抑えるために分泌されたエンドルフィンの影響であると解説しました。空腹には偽の空腹があるため、お腹が空いたからといって好きなだけ食べていては食べ過ぎになります。空腹には「気持ちいい」だけでなく、「脂肪が燃えやすくなる」「免疫力が高まる」「アンチエイジングになる」といったメリットもあります。記事の後半で紹介した「空腹のまぎらわせ方」を参考し、空腹感を味方につけてダイエットを進めるとよいでしょう。

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