本当の空腹のサインの見分け方|偽の空腹の特徴とチェック方法3選
「お腹がすいた」と感じたときに、空腹の真偽を意識することはありますか?
実は私たちが感じる空腹には「ニセモノ」があります。
生理的な理由で起こる本当の空腹に対し、精神的な理由から起こるのが偽の空腹です。
偽の空腹感にだまされて毎回食事をしてしまうと、カロリーの摂りすぎになってしまいます。
そこでこの記事では「本当の空腹を見分けるためのサイン」をわかりやすく解説しました。
最後まで読んで偽の空腹との違いを理解し、両者を見分けて不要なカロリー摂取を避けられるようになりましょう。
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目次
本当の空腹のサインとは
空腹とは、どのような状態を指すのでしょうか?空腹のメカニズムから解説していきます。
空腹が起こるメカニズム
空腹感は、血液内を流れるブドウ糖(血糖値)と深く関係しています。
人間が空腹を感じるまでの流れは以下の通りです。
- 1. 体内のエネルギーが消費される
- 2. 血糖値が低下する
- 3. 体内の脂肪を分解して糖を補う
- 4. 血液中に「脂肪分離酸」が増える
- 5. 脂肪分離酸が摂食中枢に送られる
- 6. 空腹を感じる
身体は血液の糖分不足を補うために、体内の脂肪分を分解します。
その際に出た脂肪分離酸が脳に送られ、空腹を感じさせるのです。
空腹のサインにおける個人差
空腹を感じるサインには個人差がみられ、たとえば、「食事」「体型」「代謝量」などによって異なります。
ある研究では「肥満度を表す国際的な指標であるBMI指数が正常値である18.5〜25未満の女性は、空腹感に応じた適度な食事量により適度な満腹感を得ている。一方、男性全体とBMI指数が25以上の女性においては、空腹感と満腹感に相関性はなく、空腹感に応じた食事量を摂取できていない」という結果が出ているのです。
また対象者の空腹時の状態を示す表現には、胃や腹部に感じた知覚だけでなく、気分に関する表現も見られました。
つまり、生理的な空腹感だけでなく、精神的な理由からくるものによって食事をしているケースがあることがわかります。
空腹を感じるきっかけ
空腹を感じるきっかけは、エネルギー不足によるものだけとは限りません。
ここでは「のどの渇き」と「ストレス」から来る空腹についてみておきましょう。
のどの渇き
「空腹感」と「のどの渇き」は似ているとされています。
人間の脳は「空腹でイライラしている状態」と「のどが乾いている状態」をうまく判別できないことがあるのです。
水分を摂ることで、空腹感がおさまってしまうこともあります。
食後すぐに空腹を感じたら、コップ1杯の水を飲んで少し待ってみましょう。
ストレス
「ストレス」は空腹感の原因の一つです。
人間の身体はストレスを感じ続けると、ストレスホルモンとよばれる「コルチゾール」が過剰に分泌され、血糖値が上昇します。
そこで血糖値を下げようとインスリンが分泌されるために血糖値は急降下し、その際に強い空腹感を感じることがあるのです。
日常的にストレスを感じることが多いのであれば、根本的な原因を取り除く必要があります。
偽の空腹とは
ここでは、偽の空腹が起こる原因や特徴を紹介します。
偽物の空腹が起こる理由
一般的な食事を1日3食摂っていれば、2~3時間で空腹を感じることはほとんどありません。
胃の中が満たされているにも関わらず、空腹を感じる理由は大きく分けて2つです。
血糖値の乱高下
まず考えられるのは、食事のバランスの悪さによる「血糖値の乱高下」です。
パンやうどん、パスタといった炭水化物のみの食事は食後血糖値を変動させる原因になります。
上がってしまった血糖値を下げるためにインスリンが過剰に分泌されることで、血糖値が急激に下がり空腹を感じるのです。
また背景にストレスがある場合も、ホルモンバランスの乱れから血糖値の変動が起きやすいとされています。
想像上の空腹感
見た目やニオイによって想起される空腹感もあります。
脳にとって、食事は強烈な快楽の一種です。
大好物を目にしたり好みの味を想像したときに、脳は以前の記憶を呼び起こす、とされています。
当時の幸福感を思い返すことで、偽の空腹を感じてしまうのです。
特徴①食後すぐに感じる空腹
食後すぐに感じる空腹は、偽の空腹の可能性が高いでしょう。
食べ物は基本的に、食後2~3時間は胃の中に留まるとされています。
それまでに感じる空腹は「食べ物から関係ないところからきている」と考えることができるのです。
また、揚げ物やケーキなど油分や糖分が多く含まれるものは、完全に消化するまでに5〜6時間かかることもあります。
食事の内容によっては3時間経っていても、偽の空腹である可能性もあることを覚えておきましょう。
特徴②特定のものへの食欲
特定の食べ物への強い食欲を感じるときは、偽の空腹であると考えましょう。
生理的に生じる空腹では、何を食べるかへのこだわりは薄いはずです。
食べたくなる食べ物としては、甘いお菓子や油っこい揚げ物、スナック菓子などのジャンクフードが多いようです。
特徴③食後の罪悪感
偽の空腹は、食べた後に罪悪感を覚える傾向があります。
本当の空腹であれば、食後に満足感が得られるでしょう。
一方、偽の空腹で食べてしまった後は罪悪感を覚え、それがストレスでまた食べてしまうという負のループに陥ってしまうのです。
お腹が鳴るのは空腹のサインとは限らない
本当の空腹のサインとして、「グー」というお腹の音をイメージするかもしれません。
実は、お腹が鳴るのは空腹時に限ったことではありません。
お腹が鳴る原因
お腹の音は胃の状態とは関係なく、食べ物が移動している音です。
食後、胃に入った食べ物は空気とともに、胃液と混ざり合い小腸へ送られます。
胃と小腸の境目など、器官の狭いところを食べ物や空気が勢いよく通過する時に音が出るのです。
お腹が鳴りやすい人の特徴
お腹が鳴りやすい人には、以下のような特徴があります。
- 食べるスピードが速い
- 食べる量が多い
- 下痢や便秘をしやすい
食べるスピードが速い
食べるスピードが速いと、食事と一緒に空気を飲み込んでしまいます。
これはお腹が鳴りやすくなる原因の一つです。
噛む回数を増やし、飲み込んでから次の食べ物を口に入れるようにしてみましょう。
食べる量が多い
たくさん食べるとそれを消化しようと胃が活発に働くため、食事の2~3時間後に大きな音が鳴ることがあります。
いつもおかわりをする過食気味の方は、一度に口に入れる量を減らしてみましょう。
満腹中枢が刺激され、全体の食事量も減らすことができます。
下痢や便秘
何らかの理由で胃腸の働きが弱っている場合もお腹が鳴りやすくなります。
胃腸の環境が悪くなることで、下痢や便秘を引き起こし、ガスが溜まりやすくなるのです。
発酵食品や乳製品は腸に良いとされているものの、摂りすぎるとお腹が張ったり、ガスが溜まりやすくなるので注意が必要です。
空腹状態が続くと太りやすくなる4つの理由
ここでは、空腹状態が続くとどうなるか、わかりやすく解説します。
まず、空腹状態が続くことで結果的に身体は「太りやすい」状態になります。
身体が太りやすくなり理由は下記の通りです。
- 低血糖になるから
- 筋肉量が減るから
- イライラするから
- ストレスが溜まるから
低血糖になるから
エネルギー不足を知らせる空腹のサインを見逃すと、低血糖状態になって体が太りやすい状態になってしまう可能性があります。
低血糖とは血液中の糖が不足している状態のことです。
低血糖の状態になると体は危険を感じて、少ないエネルギーでも効率的に栄養を補給しようとします。
つまり、脂質や糖質を吸収しやすくなります。
なので少ない食事でも太りやすくなってしまいます。
参考:低血糖とは? | 糖尿病サイト
筋肉量が減るから
空腹状態が続くことで筋肉量が低下します。
身体が足りないエネルギーを補うために筋肉を分解するためです。
筋肉量が減ることで基礎代謝が低下してしまいます。
基礎代謝が低下すれば消費カロリーも落ち、脂肪を燃焼しにくくなります。
結果的に太りやすくなっていきます。
イライラするから
空腹状態を長く放置することで、イライラします。
空腹を感じているときには、怒りやイライラ感を感じやすくなると同時に、喜びなどポジティブな感情は減少する傾向にあるからです。
英アングリア・ラスキン大学のViren Swami氏らが実施した研究では、空腹は怒りやイライラ感などのネガティブな感情と密接に結びついていることが明らかにされました。
参照:Hunger really can make us feel ‘hangry’ – study – ARU
ではなぜ、空腹時は怒りやイライラ感を感じやすくなるのでしょうか。
米マウントサイナイ病院のJennifer・Chorewka氏は
”低血糖は脳機能に直接影響を及ぼす可能性がある。血糖値が下がり始めると脳が正常に機能しなくなって、混乱しイライラしやすくなる”
と説明しています。
参照:“お腹が減るとイライラする”は本当か
つまり、空腹状態が続くことでイライラしやすくなることが明らかにされています。
ストレスが溜まるから
イライラすることでストレスが溜まります。
身体にストレスが溜まると「コルチゾール」というストレス抑制のためのホルモンが副腎皮質から分泌されます。
このコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されると、基礎代謝が低下して脂肪が燃焼しづらくなるからです。
さらに、ストレス発散のためにドカ食いなどの行動につながる可能性もあります。
以上のことから、空腹状態が続くと体が太りやすい状態になります。
過度な食事制限は控えるようにしましょう。
本当の空腹をチェックする方法3選
空腹を感じたときに、本物か偽物かをチェックする方法を紹介します。
空腹を感じたらぜひ、確かめてみてくださいね。
食べたい理由を自分に聞く
空腹を感じて食べたいものが思い浮かんだときは、「なぜそれが食べたいのか」を自分の心に聞いてみましょう。
「何となく」という曖昧な理由が浮かべば、偽の空腹の可能性が高いでしょう。
食べたいものを考える
食べたいものをはっきりと考えてしまう場合は、本当の空腹でない可能性が大きいでしょう。
それはあなたの好きなものであり、身体の状態とは関係ないことが多いからです。
胃の上に握りこぶしを置く
胃に外から触れて、内容物の状態を確認するとよいでしょう。
握りこぶしを作り、胸骨の下あたりに置きます。
これがちょうど胃のすぐ上の位置です。
一点に集中して、お腹の張り具合や中の動きをチェックしてみてください。
本当の空腹に気づいたときの対応
本当の空腹に気づいたときには、バランスの取れた食事を摂り、栄養を補ってやるとよいでしょう。
また、低血糖の症状がみられる場合には、以下の手順で速やかに糖分を摂取してください。
- ブドウ糖を5〜10g、口に入れる
- 砂糖はブドウ糖の倍の10〜20gをとる
- ブドウ糖を含む清涼飲料水やジュース(加糖ブドウ糖液糖などの表示があるもの)を150〜200ml飲む。血糖をあげる効果のない人工甘味料が入っているものは避ける。
- 糖尿病治療薬であるaーグルコシダーゼ阻害薬を服用している場合、砂糖の吸収がされにくくなっているため、普段からブドウ糖を持ち歩き低血糖になったらすぐに摂取する。
参考:糖尿病を治療するために知っておきたいこと〜低血糖症状(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/03-b-16.pdf)
まとめ
空腹感には、エネルギー不足を知らせる本物と精神的な理由から来る偽物があります。
偽の空腹にだまされて食事を摂るとカロリーオーバーを招いてしまいます。
一方、本当の空腹のサインを見逃すと、低血糖をはじめとする重篤な疾患を引き起こすこともあります。
空腹の真偽をしっかり見極めて、適切に対処できるようにしましょう。