公開日:2023/12/06更新日:2023/12/21

食欲が止まらない原因はストレス?対処法と過食による病のリスク

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「食べているのに食欲が止まらないのはなぜだろう……」
「食べ過ぎてしまうのはストレスのせい?」

このようなお悩みはないでしょうか?

食欲が止まらない原因の一つに、ストレスがあります。
ストレスがなぜ過食の原因につながるかといえば、食欲を左右するホルモンと密接な関連があるからです。
食欲の増進や過食を止められない場合は、ストレスをため込むような生活習慣になっていないか見直すことが大切です。

この記事では、食欲とストレスの関係、注意したい生活習慣、食欲増進にストップをかける対策などについて説明します。

ストレスをためると食欲が増す理由

ストレスをためると食欲が増す理由
ストレスをたまると食欲が増すのは、ストレスに反応する神経伝達物質やホルモンが原因です。

疲労や睡眠不足、気分の落ち込みなどでストレスを感じると、食欲を増進する神経伝達物質「ノルアドレナリン」が分泌されます。
また、ストレス反応で増える「コルチゾール」というホルモンもあり、慢性的にストレスを抱えた状態が続くと分泌量が増して食欲も増大します。

問題はそれだけではありません。
ストレスによってこれら食欲を促す「ノルアドレナリン」や「コルチゾール」の分泌量が増えると、食欲を抑えるホルモン「セロトニン」が相対的に減ってしまいます。
ストレスにはこのように食欲を調整するホルモンのバランスを乱す作用があるわけです。

車に例えるのなら、ノルアドレナリンやコルチゾールが食欲のアクセルで、セロトニンがブレーキ。
つまりストレスをためているときの食欲はブレーキがききにくく、アクセルは踏み込んだ状態になるため、食欲を抑えられなくなるのです。

食欲増進に注意!ストレスがたまりやすい生活習慣

食欲増進に注意!ストレスがたまりやすい生活習慣
ストレス増加の原因は生活習慣に隠れているケースが少なくありません。
睡眠や食生活に問題ないか振り返り、心当たりがある場合は対策を立ててストレス軽減に努めましょう。

睡眠不足

睡眠を十分にとらなければ疲労も回復しません。
慢性的に寝不足の状態が続くと、疲労が蓄積され、ストレスとなって身体にのしかかります。

また、睡眠不足は、食欲を増進させるホルモン「グリレン」が増え、反対に食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少することもわかっています。

このように睡眠は食欲と切っても切れない関係にあり、過食を防ぐには睡眠時間の確保が大切です。

少食・偏食(無理なダイエット)

痩せたい願望が強すぎて無理な食事制限をしていないでしょうか?

必要な栄養素が不足する糖質制限や絶食、極端なカロリー制限は体を飢餓状態に追い込むため、大きなストレスがかかります。

人は、最低でも基礎代謝に必要なエネルギーを食べ物から摂取しなければならず、必要な摂取カロリーを下回ると栄養不足に陥ります。

栄養不足になれば体の調子もおかしくなり、ストレスにも弱くなるでしょう。
結果的に反動が起こって過食に走りやすくなるリスクにも注意が必要です。

運動不足

「ずっと家にこもっている」「仕事中はほぼ座りっぱなしで体を動かさない」
このように、運動不足の状態は体に不調をきたしやすく、ストレスの原因にもつながります。

そもそも骨や筋肉は適度に動かしてこそ適正な機能を保てます。
ほとんど体を動かさない状態は極めて不自然であり、足腰の違和感や心身の不調につながってもおかしくありません。

また、ほとんど外出しない日常は日光を浴びないことからセロトニン不足に陥り、睡眠の質低下にもつながります。

SNS疲れ

食事中もスマホを手放せなくなったり、SNSにつないでいつまでも時間を過ごしたりするようなことはないでしょうか?
このようなスマホ中毒やSNS疲れも、ストレスを引き起こす要因です。

SNSで情報を追っている間は、神経を酷使します。
神経を酷使するということは、脳を休ませずひたすら働かせることを意味します。

スマホやSNSをチェックしている間は気がまぎれるかもしれませんが、その間脳に大きなストレスがかかっていることも忘れないでください。

部屋が散らかっている

日常の空間である部屋が散らかっていると、ストレスがたまりやすくなります。

部屋に不要なものがたくさん置かれていたり、掃除もされず汚かったりすると、以下のような状況を生みます。

  • 物が目について脳が疲れやすくなる(視覚から脳へたくさんの情報が入るため)
  • 探し物が見つからずイライラする
  • 「掃除しなきゃ」「片付けなきゃ」のプレッシャーを受け続ける

これらはいずれもストレスを生む原因です。
散らかった部屋で過ごして落ち着くという人はほとんどいないでしょう。
部屋が汚く欲しいものもすぐ見つからないとイライラが募りやすくなり、食欲を増進させるコルチゾールの分泌量も増えてしまいます。

ストレスを軽減して止まらない食欲をストップ!対処法


食べ過ぎは万病のもと。
ストレスが原因で食欲が止まらずつい食べ過ぎる傾向にあるのなら、そのまま放置せず、以下のストレス発散方法で改善を試みてください。

リフレッシュする

まずはストレスを極力ためないことが大事。
そのためにも適度なリフレッシュを心がけましょう。

趣味や好きなことを楽しんだり、友人や知人と食事に出かけたりするなど、気分転換になるような時間をつくるとリフレッシュになります。

お部屋の中をアロマオイルの香りで満たしたり、入浴剤を使って湯舟に浸かるなど、リラックス状態をつくることもストレス発散におすすめ。
自分に合うリフレッシュ方法を見つけてください。

睡眠の改善

食欲をコントロールするには、ストレスホルモンの分泌を抑えるための良質な睡眠が欠かせません。
睡眠を改善するためのポイントは以下の通りです。

睡眠を改善するためのポイント
  • 早寝を心がける
  • 同じ時間に起床する
  • 昼寝するなら30分以内
  • 朝日を浴びてセロトニンを摂取
  • 適度に運動する
  • 栄養バランスのよい食事を心がける
  • 就寝前のアルコールやカフェインの摂取は控える
  • アロマ、アイマスク、自分に合う枕などアイテムを活用して寝室環境を整える

食生活の改善

食事の内容や食べる時間を変えることで、止まらない食欲が改善に向かう場合もあります。

食生活の改善方法は何も難しいことはなく、栄養バランスのとれた食事を心がけるだけ。
糖質や脂質は控えめに、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルを積極的に摂取することで、必要な栄養素をバランスよくとり入れて体の調子を整えることができます。
自律神経を乱してストレスを生み出す偏食を避けるだけでも、大きな改善につながるはず。

また、食事の内容だけでなく、食べる時間やタイミングにも気を配ってください。
とくに重要なのが、夕食の時間。
胃に内容物が残ったままで眠りについても快眠は期待できません。
良質な睡眠を確保したいなら、消化に必要な4時間前を見込んで夕食を済ませましょう。

スポーツジムに通う

適度な運動はストレス発散になり、食欲の増進を防ぎます。
有酸素運動や筋トレ、ストレッチなど運動の方法はさまざまですが、おすすめはスポーツジムに通うことです。

スポーツジムはトレーニング器具やプールなど設備が充実していますし、気持ちよく汗を流せるエクササイズ教室なども利用できます。
定期利用がお得なジム会員になれば運動習慣が定着するので、慢性的にストレスがたまっている人ほどおすすめです。

断捨離

ストレス発散に、断捨離もおすすめです。
部屋の中の不要な物がなくなるだけで気分がスッキリしますし、イライラの解消にもつながります。
部屋を整理して視覚から入る情報がセーブされることで、脳の疲労回復にもつながるでしょう。

情報の断捨離もストレス解消に有効な手立てです。
「よく考えたら、この情報いらないかも」「SNSに疲れた」と感じたら、思い切ってSNS断捨離しましょう。
ログアウトしたりアカウント削除したりすると断捨離が進みやすくなりますよ。

食欲抑制のツボを押す

食欲抑制のツボというのがありますので、食欲が止まらない場合は以下のツボを押してみてください。

食欲抑制のツボ
  • 神門(しんもん)…耳上部のくぼみの際にあるツボ。ストレスを和らげ自律神経の正常化に有効
  • 胃点(いてん)…耳の穴の入口付近にあるツボ。食欲調整効果あり
  • 飢点(きてん)…耳の前の小さな突起の付け根部分のくぼみにあるツボ。食欲抑制効果あり

ストレス緩和のツボを押す

ストレスを緩和するツボもあります。
足の甲にある「太衝(たいこう)」です。
足の親指と人差し指に間の、骨と骨が交差する指側のくぼみにあります。
自律神経に関与するツボで、ストレス緩和に有効です。

過食が原因となる病気や症状


食欲が止まらないと過食が続き、それが原因でさまざまな病気を引き起こすリスクがあります。
以下で紹介する病気や症状に心覚えがあるなら、早めに医療機関を受診しましょう。

摂食障害

摂食障害とは、異常な食事量や食べ方など食生活のいちじるしい乱れが引き起こす心身の不調です。
通常の食事のとり方が困難になることから、摂食障害と呼ばれます。

食べ過ぎたり、反対に食欲が低下して食べられなくなったり、人によって症状はさまざまです。
過食や拒食がやめられなくなっている場合は摂食障害の可能性を疑ってみる必要があります。

肥満(メタボリックシンドローム)

言うまでもなく食べ過ぎると肥満体質になります。
私たちの身体は脂肪を蓄積する仕組みになっており、基礎代謝量以上のカロリーを摂取すればその分脂肪が増え、体重も増えてしまいます。
肥満体質になると、高血圧や糖尿病、動脈硬化など生活習慣病を引き起こすリスクにも注意が必要です。

脂質異常症

脂質異常症とは、過食が原因で血中の脂質が増えすぎる病気です。
食欲が止まらず、脂っこいものや甘い物をとり過ぎている人は要注意。
脂質異常症になって血管を痛めないためにも、過食をとめる対策が不可欠です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃酸の逆流によって食道の粘膜がただれ、炎症を起こす病気です。
食べ過ぎて嘔吐を繰り返すようなことが頻繁に起こると、逆流性食道炎になります。
過食が原因の嘔吐が多い場合は逆流性食道炎の可能性を疑い、医師の診断を受けたほうがよいかもしれません。

過食がおさまらない場合は医療機関を受診しよう


過食がおさまらず不調をきたしている場合は、医療機関を受診し、病気が隠れていないか調べましょう。

受診する診療科目は、症状によって異なります。
過食もしくは拒食を繰り返す摂食障害の場合は、心の病気のサインかもしれないので心療内科やメンタルクリニックの受診を検討してください。
食べ過ぎによる脂質異常症や逆流性食道炎、メタボリックシンドロームなどは消化器内科の受診が適切です。

受診科目が不明の場合は、症状に応じて適切な診療科を案内してもらえる総合病院の受診をおすすめします。

まとめ


食欲が止まらない原因と対処法について説明しました。
最後に本記事のおさらいです。

  • ストレスがたまると食欲を増進するコルチゾールやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌され、過食傾向になる。
  • ストレスがたまりやすい生活習慣(睡眠不足・偏食少食・運動不足・SNS疲れ・散らかった部屋)に要注意
  • 食べ過ぎを防止するストレス改善方法は「リフレッシュ」「睡眠・食生活の改善」「スポーツジムに通う」「断捨離」「食欲抑制・ストレス緩和のツボを押す」

止まらない食欲のせいで過食が続くと、摂食障害や肥満、脂質異常症、逆流性食道炎などのリスクが発生します。
食べ過ぎて心身に不調を来している場合は、早めに医療機関を受診して体を本来の状態に戻すことが大切です。

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