薄毛予防

私だけじゃない?妊娠中の抜け毛が起きる3つの理由と対処法を解説

監修者 阿部有寛(院長)

 

「妊娠してから抜け毛の量が増えてしまい、以前に比べるとボリュームが減ってしまった」
「シャンプーのときの大量の抜け毛が気になり始めたのは、妊娠してからかもしれない」
といったように、妊娠中の抜け毛の量を心配していませんか?

出産後に抜け毛が増えるとは聞いていたものの、「妊娠中に抜け毛は増えるものなのか」「妊娠中に抜け毛が起こって大丈夫なのか」と疑問に感じる方も多いと思います。そして、出産後さらに抜け毛が増えて、薄毛になったらどうしようと不安に感じてしまいますよね。

結論から申し上げますと、妊娠中にも抜け毛が増える可能性はあります。赤ちゃんを元気に育てるためにお母さんの体が変化するため、その影響を受けて髪が抜けてしまうことがあるのです。一方、妊娠中の抜け毛は体の変化が元に戻るとともに自然に治まると言われていますので、過度に心配する必要はありません。

とはいえ、抜け毛が増えている現状では「早く抜け毛をなくしたい」と焦りや不安を感じてしまうと思います。
そこでこの記事では、妊娠中に抜け毛が起こる原因と対処法について詳しく解説していきます。出産後の抜け毛の期間についても紹介していますので、ぜひ今後の参考にもしてください。

妊娠中に抜け毛が増える可能性はある

「もしかしたら、妊娠中に抜け毛が増えているのは自分だけではないか」と不安に感じていませんか?

世間ではあまり知られていませんが、妊娠中に抜け毛が増える可能性は高く、妊娠中に抜け毛が増えたと感じる方も一定数いるのが現状です。
そのため、妊娠中の抜け毛の症状は特に特別な病気などではなく、多くの妊婦さんが経験するものですので安心してください。

この章では、妊娠中、そして産後の女性と抜け毛の関係性についてお話していきます。

 

妊娠中の抜け毛など髪の不調は妊婦さんの約25%の方が感じる症状

妊娠中の抜け毛など髪の不調は、妊婦さんの約25%の方が感じている症状です。
株式会社MTGが出産経験のある女性300名を対象に行った調査によると、妊娠中に髪の不調を感じた方は24.3%となったことがわかりました。

髪の不調には、髪の乾燥・ツヤがなくなる・髪が細くなる・ハリコシがなくなるなど様々なことが考えられ、このような状態が悪化すると抜け毛が増えやすくなります。
妊娠中の抜け毛は、一般的にまだ広く知られていませんが、一定数の妊婦さんが感じている症状と言えるでしょう。

参考:出産前後の女性の美容意識把握調査を実施。半数以上の女性が産後に肌や髪の不調を感じつつも充分な美容ケアのゆとりがないことが判明。 | 株式会社MTGのプレスリリース (prtimes.jp)

 

妊娠中よりも出産後に抜け毛を感じる人の方が多い

出産後に抜け毛が起こることは、ご存知の方も多いのではないでしょうか?妊娠中に抜け毛を感じている人もいますが、妊娠中よりも出産後に抜け毛を感じる人の方がより多いと言われています。

実際に、株式会社アデランスが行った「産後の抜け毛に対する意識調査」によると、53.2%の人が産後に抜け毛が増えたと回答しました。他にも、出産後に白髪が増えた・髪がパサつく・クセが強くなったと感じる方もいるようです。

出産後はホルモンバランスの変化や慣れない育児、不眠などにより、抜け毛が起こりやすい状態にあるため、妊娠中よりも出産後に抜け毛を感じる人が多いのです。

参考:<産後の抜け毛に関する意識調査>子どもを持つ母親の2人に1人は産後の抜け毛を経験/「抜け毛がいつまで続くのか不安に感じた」と7割以上が回答 | 株式会社アデランスのプレスリリース (prtimes.jp)

 

妊娠中の抜け毛は時間が経てば自然に治まる

妊娠中に起きる抜け毛は、何か特別な治療などをしなくても時間が経てば自然に治まるとされています。

妊娠・出産で女性の身体には多くの変化が起こり、その一つとしてホルモンバランスの大きな乱れが挙げられます。このホルモンバランスの乱れが原因で抜け毛が起きてしまいますが、出産後は乱れたホルモンバランスが徐々に正常に戻っていき、抜け毛もだんだんと治まってくるのです。

ホルモンバランスの乱れには個人差があり、症状が全くでない人もいれば、抜け毛の症状に悩まされてしまう人もいます。

出産後に抜け毛があることは広く知られているものの、妊娠中に抜け毛が起こることを知らない人が多いため「自分だけなのではないか」と不安を抱えているかもしれませんが、時間が経てば自然と抜け毛が治まるため、あまり気に留め過ぎず心穏やかに過ごしましょう。

 

妊娠中の抜け毛の3つの原因

ここでは、妊娠による抜け毛の3つの原因をご紹介します。妊娠でなぜ抜け毛が起こるのかしっかりと把握し、対処していきましょう。

 

ホルモンバランスの急激な変化

妊娠中の抜け毛は、ホルモンバランスの急激な変化によって起こる場合があります。なぜなら、髪が太く長く育つためには、ホルモン分泌量の安定が関係するからです。

妊娠中は、赤ちゃんを元気に育てていくために、様々なホルモンが増加する傾向にあります。中でも、代謝の促進や抗炎症・免疫抑制作用のあるコルチゾールと呼ばれるホルモンは妊娠が進行するに伴って増加していき、妊娠していないときと比べると約3~4倍となります。

このコルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれており、増加し過ぎると体を守る免疫機能が異常をきたして、頭皮環境を悪化させたり髪の成長を妨げたりすることもあるのです。そして弱くなった髪は、少しの刺激にも耐えられず、抜け毛となる場合もあります。

この妊娠中のホルモンバランスの変化は、赤ちゃんを元気に育てるために必要な現象で、自分ではコントロールができないことを覚えておきましょう。

参考:日産婦誌59巻12号研修コーナー (kyorin.co.jp)

 

髪の栄養不足

妊娠中は髪の栄養不足によって、抜け毛が起こる場合があります。
なぜなら、お腹にいる赤ちゃんに栄養を届けることが最優先になるため、お母さんの栄養は後回しになってしまうからです。

栄養バランスを考えて食事を摂っていたとしても、妊娠前と同じ食事では栄養が足りないケースもあります。中でも、妊娠中はごはんなどを中心とした、エネルギー量の確保が必要とされています。このエネルギーの元となる炭水化物には、髪の成分合成をサポートしたり、髪にツヤを与えたりする働きもあるため、妊娠前よりも摂取量を増やすことが大切です。

他にも、髪を構成する主成分であるタンパク質や、髪の成長を促すミネラル、頭皮の健康を保つビタミン類など、自分の髪への栄養がしっかりと運ばれるように、バランスの良い食事を心がけましょう。
(※妊娠中のビタミンAの過剰摂取は、赤ちゃんの器官形成異常が起こる可能性が高いので、摂取量には注意が必要です。)

参考:flD”YŁw02.pwd (mhlw.go.jp)

 

抜け毛を防ぐ食事はこれだ!おすすめ食材ベスト12!!

 

胎動や慣れない妊娠生活によるストレスや不眠

「赤ちゃんが産まれるのは楽しみだけれど、体が重くなったり、つわりで思うように動けなかったりして大変」と感じる妊婦さんは多いのではないでしょうか?
胎動や慣れない妊娠生活によるストレスや不眠で、抜け毛が起こることがあります。
なぜなら、ストレスによって自律神経が乱れたり、不眠によって成長ホルモンの分泌が減少したりすると、健康的な髪が作られにくくなるからです。

自律神経は代謝や体温などをコントロールすることで、副交感神経と交感神経のバランスを保ち、心身の調子を整えています。しかし、出産への不安やホルモンバランスの変化による気分の落ち込みなど、ストレスが続くと交感神経が優位となり、血行不良を起こして髪に必要な栄養が運ばれにくくなることもあります。
そのような場合は、気分転換にお散歩したり先輩ママに話を聞いてもらったりすると、少しはストレス発散になるでしょう。

また、髪は寝ている間に成長ホルモンが分泌することで、元気に成長していきます。しかし、激しい胎動やお腹が大きくなることで質の良い睡眠が取れなくなると、弱い髪しか育たずに抜け毛となりやすいこともあります。そのような場合は、ぬるめのお風呂に入ってリラックスしたり、夜寝られない場合は日中にお昼寝したりするのもおすすめです。

参考:ja (jst.go.jp)

 

どうして抜ける?ストレスと抜け毛の関係性とは

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産後も抜け毛が続く可能性もあること知っておく

妊娠中だけでなく、産後も抜け毛が続く可能性があります。
なぜなら、妊娠中に増加していた女性ホルモンが急激に減少することや、産後の体調不良、慣れない育児などの影響で、抜け毛が起こりやすくなるからです。

妊娠中と同様に、心身への様々な影響が髪を抜けやすい状態にしてしまうのです。
産後抜け毛が増えて驚かないように、ここでは産後の抜け毛の期間と、抜け毛が改善されない場合の対処法について解説していきます。産後の抜け毛で不安を感じないように、知識をつけておきましょう。

 

産後の抜け毛の期間

産後の抜け毛の期間は、個人差があるものの1年程度と言われています。
産後のホルモンバランスの乱れが落ち着き、体調が元に戻り始めることで、ヘアサイクルの周期が正常になるのです。

産後2~3ヶ月経つと少しずつ抜け毛が増え始め、4~6ヶ月後にピークを迎えます。ブラシを梳かしたりシャンプーをしたりすると、髪がごっそりと抜けて驚くことがあるかもしれません。そして、6ヶ月~1年程度経つと少しずつ抜け毛が治まっていき、抜け毛が気にならなくなります。この頃には、新しい髪が生え始めるため、髪表面のパヤパヤとした細く短い毛が目立つこともあります。

このように産後の1年間は抜け毛が起こる可能性がありますが、少しずつ治まって、また髪が生え始めるためあまり心配しすぎないようにしましょう。

 

産後抜け毛が1年経っても改善されない場合は別の抜け毛の可能性を疑う

産後の抜け毛は、個人差があるものの6ヶ月~1年程度経つと抜け毛が治まると言われているため、1年経っても改善されない場合は、別の抜け毛の可能性を疑いましょう。

女性の薄毛には、頭頂部全体が薄くなるFAGA(女性男性型脱毛症)や、ポニーテールなど強く引っ張られることで生え際の毛が抜けていく牽引性脱毛症、円形や楕円形に髪が抜ける円形脱毛症などがあります。

抜け毛の症状の判断は自分では難しいため、専門家の医師の診察を受けると良いでしょう。女性の薄毛治療が診療科目にある皮膚科や薄毛治療専門クリニックで相談ができます。

また、赤ちゃんがいると病院に行きにくい方は、テレビ電話で診察を受けられるオンラインクリニックを選ぶと気軽にお悩みを相談できます。ほとんどのオンラインクリニックは初回カウンセリング無料ですので、気になる方はお問い合わせしてみてくださいね。

 

まとめ

今回は妊娠中の抜け毛について解説してきましたが、いかがでしたか?
元気な赤ちゃんを育てるための妊娠による体の変化によって、抜け毛が起きやすい状態になっていることがわかりました。

また、妊娠中だけでなく、出産後1年程度はホルモンバランスの変化などにより、脱げ毛が増えることを覚えておくと焦らずに済みます。体調が元に戻るにつれて自然に治るのが妊娠中と出産後の抜け毛の特徴なので、あまり不安に感じずに心穏やかに過ごしましょう。

一方で、1年程度経っても改善されない場合は、他の抜け毛である可能性があります。いつか治るだろうとそのままにしておくと、抜け毛が進行していく可能性も考えられるため、自己判断せずに専門家の医師の診察を受けましょう。

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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