貧血で抜け毛は起きる?貧血抜け毛の特徴と対処法を徹底解説

薄毛予防
貧血で抜け毛は起きる?貧血抜け毛の特徴と対処法を徹底解説
監修者 阿部有寛(院長)

貧血とは、酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンが少なくなっている状態です。貧血によってヘモグロビンが少なくなると、髪の毛に届く酸素の量も減ってしまい、毛母細胞が上手く働かなくなり、髪の成長が止まってしまい抜け毛につながります。

とくに「月経」や「出産」など体内から血がなくなるタイミングや、過度なダイエットをしたときは、貧血による抜け毛になりやすいです。一方で、貧血による抜け毛は普段の生活習慣から意識しやすいのが特徴です。

そこで今回は、貧血によって抜け毛となる理由やなりやすい人、対策について解説していきます。日常からできる貧血対策で、髪の毛をケアして薄毛・抜け毛が気にならないような生活を目指しましょう。

貧血が原因で抜け毛は起きる可能性があります

貧血と抜け毛には密接な関係性があります。抜け毛の理由にはさまざまな要因がありますが、貧血もその中のひとつです。特に貧血の中でも割合が多い、鉄欠乏性貧血では抜け毛になるケースが多い傾向にあります。

「貧血による抜け毛が治らないか」といわれても、必ずしも治らないわけではありません。むしろ、貧血へ対策することで、貧血が改善し、抜け毛や薄毛が良くなるとされています。

ここでは、貧血が抜け毛につながる理由や対処法について解説します。

 

貧血が原因の抜け毛は、髪の栄養不足の可能性が高い

貧血による抜け毛は、髪の毛に十分な量の「血液」や「酸素」などの栄養が届かなくなることでおきやすいです。一般的に髪の毛が合成されるには、「鉄分」や「タンパク質」などの栄養素と「酸素」が髪の毛母細胞に届く必要があります。

貧血とは、酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンが少なくなっている状態です。ヘモグロビンが少なくなると、髪の毛に届く酸素の量も減ってしまい、毛母細胞が上手く働かなくなり、髪の成長が止まってしまい抜け毛につながります。

とくに鉄欠乏性貧血では、血液中の鉄分が不足しています。鉄分はヘモグロビンの合成に関わる大事な栄養素であり、鉄分の不足はヘモグロビンが少ないことにつながり、結果として貧血状態になるのです。

参考:https://www.med.oita-u.ac.jp/syuyou/ida.html

 

貧血が治れば抜け毛も治まることがほとんど

貧血による抜け毛の場合は、貧血が良くなれば「鉄分」や「酸素」が髪に届くようになり、髪の成長を促してくれます。

抜け毛の原因になる貧血は、所謂鉄が身体にとって不足している状態になっています。この鉄分不足は一般的に「食事」や「生活習慣」などを改善・対策することで症状を改善することが可能になります。

貧血の症状が治れば自然と抜け毛も治まりますが髪の毛には生え変わるサイクルがあるので、貧血の対策をしてから効果が出るまでに3ヶ月程度かかると考えておく必要があります。

 

貧血による抜け毛を引き起こしやすい人の6つの特徴

貧血によって髪の毛が抜けやすい人にはいくつかの特徴があります。貧血自体は女性に多く、さらに月経が乱れている方や出産直後の方は貧血になりやすいです。

どのような人が貧血による抜け毛になりやすいかを理解しておけば、今後の生活で意識して注意できるようになるでしょう。ここでは、貧血による抜け毛になりやすい人の特徴について詳しく解説していきます。

 

20歳以上の女性

20歳以上の女性は思春期の年代と比べると貧血による抜け毛が起きやすい傾向にあります。なぜなら、20歳を超えると以下のような貧血のリスクがあるからです。

・月経や出産
・婦人科疾患、消化器内科疾患
・喫煙や飲酒

思春期でもホルモンバランスが乱れやすく、貧血になるリスクもあります。ただ、20歳を超えると仕事や結婚・出産など生活が変化しやすい傾向にあり、体や心への負担が増えやすくなります。そのため、20 歳を超えるとさまざまな要因から、貧血による抜け毛が起きやすいです。

 

出産直後の女性

出産直後は栄養不足に陥りやすく貧血になりやすい傾向にあります。なぜなら、出産前後で赤ちゃんに栄養を渡す必要があるからです。

母親には通常よりも多くの血液が必要になり、通常時と比べて約1.5倍の血が流れているとも言われています。出産前は赤ちゃんに優先的に栄養が運ばれて、母親の分は必然的に少なくなります。

また、出産時にも出血するため、ヘモグロビンが流れてしまい貧血傾向になるうえに、出産後の授乳で赤ちゃんに栄養を渡すため体内の鉄分が少なくなるのです。

出産前後で気づいたら貧血になっているケースもあるため、妊娠がわかった段階から栄養不足に向けて準備していくのが良いでしょう。

 

過度なダイエットをしている方

痩せるために過度なダイエットをしている方も貧血に注意が必要です。
ダイエットの基本は「食事」と「運動」ですが、食事の量を著しく減らしてしまうと、摂取すべき鉄分やタンパク質を摂れなくなります。

また、激しい運動では、筋肉が酸素を欲しがるため血流量が増え、ヘモグロビンも活発になります。その結果、ヘモグロビンの量が少なくなることも多いです。

他にも、汗と一緒に鉄分が流出してしまうと、血液中のヘモグロビンは少なくなるでしょう。

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過度なストレスを抱えている方

ストレスを抱えすぎると、自律神経が乱れてしまいます。自律神経は内臓の調子や体温をコントロールし、無意識に身体の調子を整えています。自律神経が乱れると、胃や腸で栄養の吸収が充分に進まず、満足な量を食べても必要な量の栄養素を得られなくなるのです。

また、胃酸が分泌されなくなり食べ物が消化されにくくなります。食べ物が胃に長く滞在すると食欲も湧かなくなり、小食になりやすいでしょう。ご飯を食べなくなることで鉄分が不足することもあるため、ストレスが溜まっている方は注意が必要でしょう。

 

過度な飲酒・タバコを日常的に摂取している方

飲酒のしすぎは「巨赤芽球性貧血」を引き起こす可能性があります。巨赤芽球性貧血はビタミンB12や葉酸の不足によって起きる貧血です。

お酒に含まれるアルコールは葉酸の吸収を阻害したり、肝臓に影響を与えてビタミンの代謝や貯蔵する機能を働かないようにしたりします。お酒によるビタミンB12や葉酸が不足して貧血を引き起こしてしまうのです。

また、お酒を飲みすぎて満腹になってしまい食事をとらない人もいます。食事を摂らないと十分な栄養素が不足し、貧血につながります。
一般的には、中型のアルミ缶ビール(約360ml)を2本以上摂取すると、身体に異常をきたす可能性があるため注意しましょう。

タバコに含まれるニコチンは血管を硬くするため、血の流れが悪くなります。
いくら新鮮な酸素があっても、通り道が狭くなっていると目的地である毛母細胞まで届きません。タバコを1本吸うと約20mgのビタミンCを消費します。ビタミンCは鉄が体内に吸収されるのを助ける効果があり、貧血の予防に役立っています。

毎日、過度な飲酒や喫煙をしている方は自分の生活習慣を見直してみてください。

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造血細胞自体の異常などの疾患を持っている方

造血細胞自体の異常とは「赤血球」や「白血球」「血小板」を作るもとになる造血幹細胞が何らかの原因で上手く働かない状態です。

酸素を運搬する役割のヘモグロビンは、赤血球内のタンパク質のことを指しています。造血幹細胞が働かないと赤血球が作られないため、ヘモグロビンによる酸素や栄養素が運ばれなくなり、再生不良性貧血があらわれるのです。

造血幹細胞の異常を見つけるのは難しいですが、白血球が少なくなると「免疫機能が落ちる」「発熱や咳が出る」といった症状があらわれ、血小板が減ると「血が止まりにくい」「あざができやすい」などの症状が見られます。このような症状がある場合は、再生不良性貧血を疑ってみましょう。

 

貧血による抜け毛はまず貧血を改善することが重要

貧血による抜け毛には多くの原因がありますが、多くは鉄分の不足による鉄欠乏性貧血が考えられます。鉄分は食事の内容を少し意識するだけで多くの食材から摂取できます。しっかり鉄分をとることで改善が期待できるのです。

ここからは、貧血による抜け毛への具体的な対策について解説していきます。

 

日常的な貧血対策を心掛ける

貧血による抜け毛を改善するためには、まずは貧血を改善する必要があります。
貧血を改善するには日常的に貧血対策を習慣付ける必要があると言えるでしょう。ここでは日常的にできる3つの貧血対策についてご紹介していきます。

➀鉄分を多く含む食材を食べる

貧血の改善には、ヘモグロビンの量を増やす必要があります。ヘモグロビンの合成には鉄分が必要です。しかし鉄分は体内で作れないため、食事から摂る必要があります。

鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられ、ヘム鉄の方が体内への吸収率が高く、20〜30%程度とされています。一方、非ヘム鉄は5%程度とされており、ビタミンCやタンパク質と一緒に摂取することで吸収率を高められます。

【ヘム鉄が多く含まれる食材】
「あさり」「レバー」「シジミ」「牛肉」

【非ヘム鉄が多く含まれる食材】
「小松菜」「ホウレン草」

これらの食材で1日に必要な鉄の量(成人男性7.5mg、女性10.5mg)を摂取していくのがおすすめです!

参考:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html

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②コーヒーや緑茶の摂取は避ける

コーヒーや緑茶などに含まれるタンニンは、鉄分の吸収を悪くする働きがあります。そのため、食前や食後1時間はタンニンを含む飲み物を飲まないようにしましょう。

タンニンは「緑茶」「紅茶」「ウーロン茶」「コーヒー」などに含まれています。水分が欲しい場合は水か、時間をずらしてお茶やコーヒーを飲むようにしてみてください。

③適度な運動をする

負荷が高すぎない適度な運動は、鉄の吸収率を高めてくれます。軽く身体を動かすことで内臓の臓器に刺激が加わり、活発に働くようになります。

胃腸がしっかり働くことで、栄養を吸収するだけでなく消化も行われるのです。「満腹でご飯がいらない」という状況が少なくなり、栄養素が不足しにくくなります。
また、運動によって血管が収縮するため、血液の循環が良くなり、全身の血流量も増加します。

簡単な運動は「散歩」や「ジョギング」「スクワット」などがおすすめです。初めは「家の周りを5分だけ」や「10回1set」など自分にとって無理のない範囲にするのが良いでしょう。次第に慣れてきたら距離を伸ばしたり、回数を増やしたりしてみてください。

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抜け毛が起きている貧血は貧血外来を受診する

貧血に加えて抜け毛が気になっている方は、貧血外来にて専門の医師に相談しましょう。専門の医師はさまざまな要因から貧血の原因を見極めて、ひとりひとりに合わせた治療法を提案してくれます。普段の生活から貧血は対策できますが、専門医に相談することでより早く抜け毛の改善に近づけるでしょう。

出産や月経後で抜け毛症状が増えたときやかかりつけのクリニックがある場合は、産婦人科や婦人科もおすすめです。

貧血は軽視されてしまうこともありますが、知らない間に髪の毛が抜けていることもあります。自分だけで考えるのではなく、貧血の専門家から意見を聞いて対策していきましょう。

 

貧血が治った後も抜け毛が続く場合はFAGA治療を検討する

鉄分不足が改善し貧血の症状が改善されると、貧血による抜け毛はほとんどの場合治まります。

しかし貧血の症状が治っても抜け毛が良くならない場合には、抜け毛の原因が貧血だけではない可能性が高いと言えるでしょう。男性のように遺伝や男性ホルモンが原因で抜け毛が起きてしまうのではなく、女性の抜け毛は様々な要因が複雑に絡まって起きるため自分だけでは判断が難しい場合が多いです。

FAGAの治療薬は市販されている薬もありますが、最大限効果を発揮させるには「頭皮の状態」や「薬の効きやすさ」などを考慮して、使用する必要があります。

自分の抜け毛の状態を知るためにも、まずは専門のクリニックで診療を受けましょう。抜け毛は早い段階から治療するほど、早くから回復しやすいです。

初めはクリニックに行くことに抵抗があるかもしれませんが、より早く、より効果的に抜け毛を治したい方はクリニックの活用を検討してみてください。オンラインなどの無料カウンセリングが充実しているクリニックも多いので、最初は軽い気持ちで相談だけでもしてみることをおすすめします。

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さいごに

貧血によって鉄分が減少し髪の栄養不足が生じると抜け毛が増えやすいです。

出産直後やダイエットをしている方、過度な飲酒や喫煙をしている方は抜け毛になりやすい傾向にあります。貧血による抜け毛には食事で鉄分の摂取や、簡単な運動で改善が見込めるため、抜け毛に悩んでいる方は貧血対策を試してみてください。

もし貧血対策をしても抜け毛が改善しない場合は、他の原因があるかもしれません。1人で悩まずに、抜け毛や薄毛に関する診療を行っているクリニックを受診してみましょう。

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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