「髪が細くやわらかくなって、以前よりボリュームが減ってしまった」
「洗髪時の抜け毛がひどく、すぐに排水溝が髪で詰まってしまう」
といったように、以前に比べると明らかに抜け毛が増えて、このままだと本当に薄毛になってしまうのではないかと不安に感じていませんか?
中には、外にいる時間が長いことで頭皮が黒く日焼けしており、紫外線が原因で抜け毛が増えているのではないかと考える方もいるでしょう。もし紫外線で抜け毛が起きるのであれば、何か対策をしなければと思うはずです。
結論から申し上げますと、紫外線に当たっただけで抜け毛が起きる可能性は極めて低いと言えます。しかし、長期間に渡って頭皮や髪に紫外線が当たり続けると、健康な髪が育ちにくくなり、もろい毛となって抜けてしまう可能性は考えられます。紫外線によって間接的に抜け毛の状態を加速させないためにも、しっかりと対策を打つ必要があるのです。
今回は、紫外線が原因で抜け毛が起こる可能性が極めて低い理由や、紫外線が髪や頭皮に与える悪影響について解説していきます。すでに抜け毛が起きている場合の対処法についても紹介していますので、外で紫外線を浴びる機会が多く、抜け毛が増えている方は是非参考にしてください!
紫外線だけが原因で抜け毛が起きる可能性は極めて低い
紫外線だけが原因で抜け毛が起きる可能性は極めて低いと言えます。
なぜなら、抜け毛はヘアサイクルの乱れにより、髪の成長期間が短くなることで起こるため、紫外線に当たっただけ髪が抜けることはほぼないと言えるのです。
一方で、紫外線は頭皮環境を悪化させたり、髪にダメージを与えたりすることで毛がもろくなり、間接的に抜け毛が起こりやすくなる場合もあるため、注意が必要です。
ここでは、抜け毛が起こる仕組みと、紫外線による頭皮や髪の悪影響について詳しく解説していきます。
抜け毛はヘアサイクルが乱れることによって起きる
抜け毛はヘアサイクルが乱れることによって起こります。
なぜなら、髪の細胞が生まれて元気に成長するには、ヘアサイクルの安定が欠かせないからです。
ヘアサイクルとは一定の期間で髪が生え変わる周期のことで、新しい毛の細胞が生まれて伸びていき、毛の成長が止まって自然に抜けていくのを繰り返しています。
以下の正常なヘアサイクルをご覧ください。
正常なヘアサイクルの場合は、新しい毛の細胞が生まれ成長する「成長期」、成長しなくなる「退行期」、成長が完全に止まり抜けていく「休止期」が一定期間の周期を保っています。
しかし、何らかの原因で成長期の期間が短縮されると、毛の成長途中で退行期に移行して、太く丈夫に育つ前に成長が終わり抜けてしまうのです。
抜け毛が以前より増えていると感じる方は、このようにヘアサイクルが乱れている可能性があります。
紫外線を浴びすぎると頭皮や髪に悪影響を及ぼす可能性がある
抜け毛はヘアサイクルの乱れによって起こるものの、紫外線を長期間に渡って浴びすぎると、頭皮や髪に悪影響を及ぼす可能性があります。
なぜなら、紫外線を浴びると頭皮環境が悪化してしまい、丈夫な髪が成長しにくくなったり、髪がもろくなったりすることで抜けやすい髪になることが考えられるからです。
紫外線を浴びると頭皮が黒くなって日焼けするイメージを持つ方が多いと思いますが、目に見えない紫外線の波長には皮膚表面だけでなく深部まで達するものがあり、毛を作る組織にダメージを与えることもあります。
一方で、どのような方でも一定量の紫外線は浴びており、紫外線を浴びたことが直接的な原因となって抜け毛が増えることは少ないと考えられますが、紫外線を浴びすぎたことが間接的に、頭皮に影響を及ぼして抜け毛となっている可能性はあります。
そのため、長時間紫外線にあたることが多い外で仕事をする方や、休日にランニングをするなどのアウトドアタイプの方は、紫外線を浴びすぎている可能性があります。それに加えヘアサイクルが乱れている場合は、紫外線ダメージによって間接的に抜け毛が加速してしまうことがあるので注意が必要です。
紫外線が髪や頭皮に与える4つの悪影響
ここでは、紫外線が髪や頭皮に与える4つの悪影響について詳しく解説していきます。
紫外線による抜け毛以外にも、頭皮の皮がめくれたりかゆみが出たりしていないか、白髪が増えたり髪がもろくなっていないか、ご自身の頭皮や髪の状態を確認しながらお読みください!
紫外線によるバリア機能の低下で皮がめくれてフケが出る
紫外線によるバリア機能の低下で、頭皮の皮がめくれてフケが出る場合もあります。
なぜなら、紫外線を受けることで肌が炎症を起こし、乾燥が進んでしまうからです。
私たちの肌はバリア機能と言って、外部の刺激や細菌などの異物から体を守る機能がありますが、紫外線ダメージを受けると肌が水分を保てなくなります。乾燥した頭皮は皮がめくれ、進行すると細かいフケが出て、毛穴を塞いだり詰まらせたりして、健康な髪が育つのを邪魔してしまいます。
自然に治るだろうとそのままにしておくと、深刻化するケースもあるので、フケが治らない場合は皮膚科で診察を受けましょう。
白髪が増える可能性がある
紫外線を浴びすぎると、白髪が増える可能性があります。
なぜなら、紫外線が髪の色を作る細胞(メラノサイト)にダメージを与えてしまうからです。
通常、髪は毛母細胞が細胞分裂して髪が作られた際に、メラノサイトから色素をもらうことで黒い髪が生えていきます。しかし、紫外線のUV-Aは波長が長いため毛根部分まで届き、メラノサイトにダメージを加えることで、色素が供給されにくくなるのです。
加齢やストレス、病気などでも白髪になりますが、紫外線を長期間浴び続けることでさらに色素が作られなくなることもあります。
頭皮に赤みが出てかゆみや痛みの原因に
紫外線を浴びすぎると頭皮に赤みが出て、かゆみや痛みの原因になることがあります。
理由は、紫外線のUV-Bと呼ばれる短い波長が肌の細胞を傷つけたり、炎症を起こしたりすると頭皮に悪影響が出てしまうからです。
強いかゆみが出て頭皮をかいてしまうと、肌ダメージとなって細くやわらかい髪しか生えにくくなったり、抜け毛が増えたりする可能性もあります。炎症がひどい場合は触ったりかいたりせずに、保冷剤などで冷やして、肌を鎮静させると症状が治まりやすくなります。
また、炎症が強く水ぶくれができるなど、やけど状態になっている場合は、そのままにせず皮膚科で診察を受けましょう。
紫外線ダメージで髪がもろくなる
紫外線ダメージによって髪がもろくなる可能性もあります。
なぜなら、紫外線を受けると髪のタンパク質が流出しやすくなったり、キューティクルが空洞化したりして髪が細く柔らかくなってしまうからです。
髪の約85%はケラチンと呼ばれるタンパク質でできているため、紫外線ダメージでタンパク質が出てしまうとハリコシのない弱い髪になってしまいます。
また、キューティクルは外部の刺激から髪を守り、艶やかで健康な毛を保つために重要な役割を持っていますが、紫外線ダメージが加わることで髪の水分が出やすくなり、弱い毛になることもあります。
もろい髪は外部の刺激に耐え切れずに切れ毛や抜け毛となって、髪をボリュームダウンさせてしまう可能性も考えられます。
中でも、カラーやブリーチ、パーマを頻繁にしたり、毎日アイロンを使ったりしているなど、ハイダメージの髪に紫外線ダメージが加わると、さらに髪が細く柔らかくなる場合もあるので注意が必要です。
長時間外にいて紫外線を浴びた場合は、トリートメントでケアをしましょう。
抜け毛が起きている場合の3つの対処法
「シャンプーでの抜け毛が気になる」「枕につく抜け毛が多い」といった方は、抜け毛の状態が進行して薄毛にならないために、早めに対処することが重要です。
ここでは、抜け毛が起きている場合の3つの対処法をご紹介していきます。
帽子や日傘で紫外線対策をする
抜け毛が起きている場合は帽子や日傘を使用して紫外線対策をしましょう。
頭皮や髪に直接紫外線が当たらないようにすることで、ダメージを未然に防げるのです。
帽子や日傘を選ぶときは、紫外線の大幅カットが期待できるUVカット99.9%以上のものがおすすめです。布自体に特殊な物質が織り込まれていたり、フィルムが張られることで紫外線対策ができるのです。
気を付けていただきたいのは、頭のサイズに合った帽子を選ぶことです。サイズが小さくきつい帽子を長時間被っていると、頭皮の血流が悪くなり、健康な髪の成長を妨げてしまう可能性があります。帽子を選ぶときは、頭の周囲よりも1cmほど大きめのものを選ぶと失敗が少なく済みます。
また、夏に長時間帽子を被っていると、頭が蒸れて雑菌が湧きやすくなる場合もあるので、吸湿速乾素材が使用された通気際に優れている帽子を選ぶと髪を労わることができます。
このように、紫外線が直接当たらないよう、未然に帽子や日傘で防止しましょう。
生活習慣の乱れを正す
抜け毛が起きている場合は、生活習慣の乱れを正すことも大切です。
なぜなら、食生活の乱れや運動不足、睡眠不足や過度なストレスは、元気な髪を育てるのを阻害してしまう可能性があるのです。
私たちの髪は食事で栄養を摂り、体内に吸収・分解されて、血液となって頭皮に運ばれていることで育っていますが、必要な栄養が足りなければ、髪は弱くなって抜けやすくなります。
また、「運動不足は髪に関係あるの?」と思う方もいるかもしれませんが、運動不足によって血行不良が起きると、髪に栄養が運ばれにくくなる場合もあるのです。
睡眠中は成長ホルモンが分泌されることで髪が成長しますが、睡眠不足が続くと髪が作られにくくなります。
そして過度なストレスを受け続けると自律神経が乱れて、髪が抜けやすくなる場合もあります。
このように生活習慣の乱れを正すことが体の健康へと繋がり、髪が元気に育っていくので、今一度ご自身の生活習慣を見直してみましょう。
薄毛治療を受けて抜け毛を抑える治療薬を服用する
抜け毛が起きている場合は薄毛治療を受けて、抜け毛を抑える治療薬を服用する方法があります。
抜け毛を抑制させる「フィナステリド内服薬」「デュタステリド内服薬」を用いることで、抜け毛ホルモンを抑えることができるのです。
この2つは、日本皮膚科学会による「男性および女性男性型脱毛症ガイドライン2017年版」において、使用を強く勧めるAランクとなっており、薄毛改善や安全性が認められているお薬です。
薄毛治療と聞くと、かなり薄毛になっている人が行うというイメージを持つ方もいますが、まだ薄くなってはいないけれど抜け毛が起きている方も効果が期待できる治療法です。
薄毛治療やAGA治療を行っている皮膚科や、薄毛治療専門クリニックで診察を受けてお薬を処方してもらえます。抜け毛が多いと感じている方はひとりで悩みを抱えると辛くなり、ストレスに感じるケースも多く見られるので、多くの薄毛の方を診察してきた医師に相談して治療を進めるのも良いでしょう。
まとめ
今回は、紫外線と抜け毛の関係性について解説してきましたが、いかがでしたか?
抜け毛はヘアサイクルの乱れが原因で起こるため、紫外線だけが要因となって抜け毛が増えているわけではないことがわかりました。
しかし、紫外線は頭皮が黒く日焼けするだけではなく、波長が頭皮の中まで入り髪を作る組織にダメージを与えたり、髪を構成する組織をもろくして抜けやすい髪にしてしまう可能性はあります。
紫外線を浴びる機会が多い方は、頭皮の皮がめくれていないか、かゆみや赤みが出ていないか、髪がぱさついて細くなっていないか確かめてみましょう。
抜け毛が多いと感じる場合は、帽子や日傘で紫外線対策をしたり、食生活や睡眠不足など生活習慣を見直したりして、健やかな髪が育つようサポートしていくことが重要です。
薄毛治療を受けて抜け毛を根本的に抑制させる方法もありますので、抜け毛でお悩みの方はひとりで抱え込まずに専門家の医師に相談してみましょう。