薄毛予防

ヘアスプレーではげるって本当?髪を労わる正しい使い方や対策を紹介

監修者 阿部有寛(院長)

 

仕事柄ヘアスプレーを使う機会が多い方、おしゃれをしてヘアセットする際にヘアスプレーを使用している方は多くいらっしゃるでしょう。同時に、「こんなにヘアスプレーを使っていて髪にダメージは起きないだろうか?」「将来髪のダメージではげてしまったらどうしよう」などといったヘアスプレーの髪へのダメージを心配する不安の声も聞きます。

結論から申し上げますと、ヘアスプレーを使っただけではげる可能性は極めて低いといえます。

しかし、これはワックスなどのスタイリング剤にもいえることですが、ヘアスプレーが頭皮や髪についたまま洗髪で完全に落ちていない期間が続くと、頭皮環境が悪化したり、ヘアダメージが蓄積したりして、間接的に薄毛を加速させてしまう可能性はあります。

そのため、自分でも気が付かない間に薄毛に繋がってしまうような要素を作らないためにも、ヘアスプレーの正しい使用方法や使った後の髪のケアが大事になるのです。いくつかのポイントを把握しておくと、頭皮を労わり丈夫な髪を育むことにも繋がります!

そこで、今回は「ヘアスプレーと薄毛の関係性や間接的に薄毛を加速させないためのヘアスプレーの使い方と対策方法」について解説していきます。

ヘアスプレーをよく使用しており、「髪を労わりたい」「将来はげたくない」と思っている方の参考になる記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!

ヘアスプレーではげる可能性は極めて低い

ヘアスプレーの使用のみで髪が抜けてはげてしまう可能性は、極めて低いと言えます。なぜなら、ヘアスプレー自体に抜け毛の要因となる成分が配合されているわけではないからです。

生え際の後退や頭頂部の薄毛など、男性に多い薄毛の症状である「AGA(男性型脱毛症)」は、遺伝や男性ホルモンが原因で起こるとされています。また、他にも皮脂の過剰分泌によって頭皮環境が悪化して抜け毛が増える「脂漏性脱毛症」や、大量のフケによって毛穴がふさがれ髪が抜ける「粃糠性脱毛症」などがありますが、どれもヘアスプレーが直接的な要因とはなりにくいです。

一方、ヘアスプレーには、界面活性剤(コポリマー)・油分・香料などが配合されており、この成分自体が抜け毛の要因とはなりにくいですが、頭皮につき洗髪で落とせていない期間が続くと、炎症を起こしたり湿疹ができたりして、頭皮環境が悪化して丈夫な髪が育ちにくくなることがあります。

同様に髪にもヘアスプレーがついたままになると、化学物質によりダメージを起こし、髪がもろくなって切れやすくなることもあります。髪が細く柔らかくなったり、切れ毛が増えてしまうと、髪のボリュームがなくなったようにも見えることもあるのです。

このように、ヘアスプレー自体は薄毛の直接的な原因になりにくいものの、使い方によっては間接的に薄毛を加速させてしまう要因になることも考えられます。そのため将来はげないように気を付けたい方は、ヘアスプレーの使い方に注意する必要があると言えるでしょう。

参考文献:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf”>男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

 

髪のために注意したいヘアスプレーの使い方と対策方法

ヘアスプレーのみではげる可能性は極めて低いものの、使い方や洗髪に気を付けなければ、頭皮環境を悪化させてしまい、太く丈夫な髪が育ちにくくなる可能性もあります。今後もヘアスプレーでスタイリングしていくためには、しっかりと注意点を把握しておきましょう。

ここでは、はげないために注意したいヘアスプレーの使い方や、対策方法について詳しく解説していきます。

 

ヘアスプレーが頭皮に直接つかないようにする

ヘアスプレーを使用する際に第一に注意してほしいのが、ヘアスプレーが頭皮に直接つかないように吹きかけてほしいという点です。

ヘアスプレーが頭皮についてしまうと、頭皮のべたつき・かゆみ・湿疹などが起こる可能性があり、フケや炎症の原因となってしまいます。

髪につけたヘアスプレーの量が多く液だれして頭皮につくことや、前髪を立ち上げるときに生え際についてべたべたすることもあります。また、ショートヘアや刈り上げ、ツーブロックにしている方は、髪が短いため頭皮が見えてやすくヘアスプレーがつくこともあります。

ヘアスプレーを頭皮につけているつもりはなくても、気が付かない間についてしまっていることが多いので、ヘアスプレーを吹きかける距離や使い方を見直す必要があるでしょう。このようにしてヘアスプレーが頭皮についた状態が長期間続いてしまうと、頭皮環境が悪化して健康な髪が育ちにくくなることもあるのです。

ヘアスプレーは髪から20cm程度離して使用しましょう。ある程度距離を離してヘアスプレーすることで頭皮につきにくくなり、髪に満遍なくついて髪型がキープされやすくなります。

また、ヘアスプレーを出すときはボタンを押しっぱなしにして連続で出すのではなく、シュッとポイントでつけると頭皮にもつきにくくなります。それでもヘアスプレーが頭皮についてしまった場合はそのままにせず、ティッシュで優しく拭き取るようにしましょう。細かいことですが毎日のスタイリングのときに意識するだけでも、頭皮を清潔に保ち労わることができるのでぜひ取り入れてみてください!

 

洗髪時にスプレーのすすぎ残しが無いようにする

ヘアスプレーを使用したときは、洗髪時のすすぎ残しが無いように注意することが大切です。ヘアスプレーが頭皮について、毛穴の中に粒子が入り込んだまま洗い流せていない状態になると、頭皮環境が悪化して元気な髪が育ちにくくなります。

しっかりとヘアスプレーを落とすためには、髪を洗う前に37~40度のお湯で満遍なく髪を濡らし、シャンプーで入念に泡立てます。ヘアスプレーの油分によって泡立ちにくい場合は、お湯で流してもう一度泡立てましょう。

それでも泡立たないようなハードなヘアスプレーは、シャンプーをつける前にコンディショナーをつけてヘアスプレーと馴染ませてから流し、シャンプーをつけると泡立ちやすくなります。

指の腹でしっかりと頭皮と髪を洗ったら、時間をかけて十分にすすぎましょう。側頭部や襟足部分はすすぎ残しが多いところなので、手のひらでお湯を溜めるようにして流すと落ちやすいです。スプレーによる頭皮や髪のべたつきが落ちにくい場合は、ハードスプレーではなく、ソフトタイプやミドルタイプを使用すると洗い落としやすくなります。

また、朝シャンも髪や頭皮のことを考えると控えたほうが良いと言えるでしょう。髪にスプレーや汚れが付いたまま寝てしまうことで頭皮環境が悪化し炎症やべたつきといった症状に繋がるため、できたら夜に洗髪をして清潔な頭皮で就寝することをおすすめします。

洗髪は毎日する作業です。積み重ねで頭皮環境を悪化させる要因になってしまわないように、ヘアスプレー汚れのすすぎ残しがないようしっかり洗うことを心掛けてください!

 

ハードスプレーで髪を引っ張りすぎないようにする

ハードスプレーを使用する場合は、髪を強く引っ張ってスタイリングしないようにしましょう。

最近では、オールバックや七三分けなどのぴっちりと固める髪型が流行っていますが、髪を引っ張りハードスプレーでガチガチに固めてしまうと、牽引性脱毛症になる可能性もあります。

牽引性脱毛症とは、生え際や側頭部の髪を後ろ引っ張ることによって毛根に負担がかかり、血行不良になることで髪が抜けてしまう脱毛症です。ポニーテールをする女性に見られることが多いですが、髪を引っ張ってスタイリングする男性に起こる場合もあります。

また、ハードスプレーでガチガチに固めているということは、大量にヘアスプレーがついているので、頭皮につきやすい状態とも言えます。そのため、ハードスプレーで固めている方はスタイリングの時になるべく髪を引っ張らないようにし、ヘアスプレーをつけすぎないようにしましょう。

しっかりと固めたい場合は、大量につけなくても固まるヘアジェルを使用するのも方法のひとつです。ご自身のスタイリングの仕方を今一度振り返ってみましょう。

 

使用頻度や1度の使用量が多くなりすぎないようにする

ヘアスプレーを毎日使っている方や、一度の使用で髪の毛ががちがちになるまで吹きかけている等、ヘアスプレーの使い過ぎで髪や頭皮に負担がかかっている可能性はあります。

ヘアスプレーを使うだけでは髪は傷まないものの、長期的にしっかりと固め続けることで洗い落とすときや、髪の絡まりをほどくときにダメージしやすくなるのです。しっかりと洗い落とそうとゴシゴシと洗髪することで、キューティクルが剥がれやすくなったり、乾燥しやすくなったりすることもあります。

そのため、洗髪でしっかりと落とすのはもちろんのこと、休日はヘアスプレーを使用しないようにするなどしてヘアスプレーを使い過ぎないように心掛けましょう。また、ヘアトリートメントでダメージケアするのもおすすめです。

 

さいごに

ヘアスプレーの使用のみではげる可能性は極めて低いものの、頭皮や髪についたまま洗髪できちんと落とせない期間が続くと、頭皮環境が悪化したり髪が傷んだりして、間接的に薄毛を加速させてしまうことも考えられることがわかりました。

ヘアスプレーを使用しながらはげないようにするためには、髪から20cm以上離してスプレーすることや、洗髪時にしっかり泡立てて洗い入念にすすぐことが大切です。また、オールバックや七三スタイルの方は、髪を引っ張ってヘアスプレーをする場合もあるかもしれませんが、抜け毛の原因となることもあるので注意が必要です。

毎日のスタイリングや洗髪の時に少し気を付けるだけで、頭皮や髪を労わりはげないように取り組むことができるので、ぜひ本記事を参考に対策してみてくださいね!

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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