薄毛予防

体毛が濃い人はハゲる要素をより多く持っている可能性が高いです! 

監修者 阿部有寛(院長)

 

「体毛が濃い人は将来ハゲる」という話を聞いたことはありませんか?

胸毛やヒゲなど体毛の濃さは男性らしい印象を与えますが、体毛が多いのにハゲるなんて矛盾している気もします。

しかし、結論からお伝えすると、体毛の濃さとハゲやすさにはどちらも「男性ホルモン」が関係しており、体毛の濃い人はハゲる要素を持っている可能性が高いと言えます。

体毛の濃い人が必ず薄毛になるわけではありませんが、体毛の薄い人に比べて薄毛を発症した時の重症度は高く、薄毛の進行をそのまま放置しておくと、体毛は濃いのに頭だけハゲてしまう恐れもあります。

体毛が濃くて薄毛が心配な方は、この記事を読んで知識をつけることで早めの対策を取ることが可能です。
ここでは、体毛が濃いことと薄毛の関係性について詳しく解説し、体毛の濃さにまつわる疑問についてもお答えしていきます。

体毛の濃さと薄毛は遺伝の影響を大きく受ける

体毛の濃さと薄毛は、どちらも男性ホルモンである「テストステロン」の影響を受けます。そして、この男性ホルモンは遺伝の影響を強く受けるといわれています。

テストステロンは代表的な男性ホルモンなので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

体毛の濃さは毛穴の数に対する本数や毛の太さ、長さなどによって左右され、それらの違いはすべて遺伝によって決まるとされています。

また、薄毛の発症しやすさにおいても遺伝が大きく関係していることがわかっており、体毛の濃さと薄毛の発症しやすさは共に遺伝による男性ホルモンの影響を受けて複雑に絡み合っています。

体毛の濃い人は「テストステロン」の分泌量が多い

体毛の濃い人はテストステロンの分泌量が多いです。

体毛の増加にはテストステロンの働きが関係しており、男性にヒゲや胸毛などが生えるのは、テストステロンが持つ体毛の発毛促進作用によるものです。

また、テストステロンとは、男性らしい身体をつくるために欠かせない男性ホルモンの一種であり、男性が心身ともに健康的に過ごすために必要不可欠と言えるでしょう。

 

毛穴の数に対する毛量は遺伝によって決まる

私たちの全身には約500万個の毛穴があり、その内10万個程度が頭皮の毛穴と言われています。
毛穴の数はお腹の中にいた胎児の段階で既に決まっており、大人になってから毛穴の数が増えたり減ったりすることはありません。

ではなぜ、体毛の濃さには個人差があるのでしょうか。
その理由は、毛穴の数に対する毛量が遺伝によって決まるからです。

私たちの体はすべての毛穴から毛が生えている訳ではなく、毛が生える毛穴と生えない毛穴が存在します。
また、1つの毛穴から複数本生えてくる場合もあり、毛深い人は遺伝的に毛が生える毛穴の数や本数が多いことがわかっています。

 

毛深い人は薄毛になりやすい要素を多くもっている

テストステロンは男性に多くのメリットをもたらす半面、薄毛の原因物質とされるDHT(ジヒドロテストステロン)の素にもなります。

テストステロンは「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくことでDHTに変化します。DHTが増加すると、髪の毛の成長を抑制する信号が発信され、ヘアサイクルが乱れて抜け毛の増加や薄毛の進行に繋がります。

体毛の濃い人はテストステロンの分泌量が多い、すなわちDHTの素をたくさん持っていると言えますが、テストステロンの分泌量が多いからと言って必ずしもDHTが多く生成されるわけではありません。

しかしながら、テストステロンの分泌量が少ない人と比較すると、薄毛になりやすい要素を多く持っていることには変わりがないため、薄毛予防は可能な限り行っておいた方がよいでしょう。

 

薄毛の人は「DHT」の分泌量が多い

DHTは薄毛の原因物質であるため、「薄毛の人=DHTの分泌量が多い」と言えるでしょう。

DHTもテストステロンと同様、男性らしい身体作りに必要不可欠なホルモンの1つです。
DHTは性分化に大きく関係しており、胎児のころには男性器を発達させる役割があります。また、思春期に起こる声変わりもDHTの作用によるものであり、男性の成長にとって非常に大切な役割を担っています。

しかし、一方で20歳を過ぎた辺りからはAGA(男性型脱毛症)の原因物質として頭部に悪影響を与えます。

年齢を重ねるごとにDHTの生成量は増加すると言われており、基本的に年齢と比例して薄毛が発症する確率は上がっていきますが、DHTの分泌量には個人差があるため、若い方であっても薄毛になる可能性はあります。

 

5αリダクターゼの活性度が低ければ薄毛にならない

男性の薄毛症状のほとんどはAGAによるものと言われており、AGAの発症原因であるDHTが生成される量には、テストステロンと5αリダクターゼの活性度が関係しています。

体毛の濃さはテストステロンに影響されますが、体毛が濃くても5αリダクターゼの活性度が低ければDHTは増加しないため、必ずしも体毛の濃い人が薄毛になるとは限りません。
反対に体毛が薄い人であっても、5αリダクターゼの活性度が高ければAGAが発症する可能性は十分にあると言えるでしょう。

※参考:「男性および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

 

体毛の濃さと薄毛の関係性

体毛の濃さを司るテストステロンは、薄毛の原因物質「DHT」を作り出す素となるホルモンでもあります。つまり、【テストステロンの分泌量が多い=体毛が濃い=薄毛になるリスクが高い】ということです。

しかし、テストステロンの分泌量が多ければ100%薄毛になるというわけではなく、「5αリダクターゼの活性度」というもう1つの要素が重要なカギを握っています。

 

体毛の濃い人がAGAになると薄毛の重症度は高い

体毛の濃い人はテストステロンの分泌量が多い、すなわち薄毛の原因物質とされるDHTを生成しやすい人でもあると言えます。また、5αリダクターゼの活性度については遺伝の影響が大きく、両親が活性度の高い遺伝子を持っていれば子供にも遺伝しやすいと考えられています。

従って、両親や祖父母に薄毛の人がいる場合、子供も5αリダクターゼの活性度が高く、DHTを過剰に生成しやすい体質の可能性があるといえるでしょう。

これらの理由から、テストステロンの分泌量が多く、5αリダクターゼの活性度が高ければDHTを生成しやすい体質であることは確かであり、体毛の濃い人がAGAを発症すると薄毛の重症度は高くなる可能性があります。

薄毛を悪化させないためにも、もともと体毛が濃い、且つすでに薄毛症状が出始めているのであれば、早期のAGA治療開始をおすすめします。

 

「ハゲは遺伝する」は本当!遺伝する理由と薄毛に抗う方法を解説

 

薄毛と体毛の濃さに関するQ&A

体毛の濃さと薄毛の関係性にまつわる話は、根拠のあるものから不明なものまで様々です。
ここでは体毛と薄毛に関係する質問に根拠を踏まえながら回答していきます。

 

Q. 脱毛したら薄毛になる可能性を低くできますか?

A. 体毛を脱毛しても薄毛になる可能性を低くすることはできません。

体毛が濃い人が脱毛を受けて体毛を薄くしても、薄毛になる可能性を低くすることはできません。なぜなら体毛を濃くしているのはテストステロンの作用であって、体毛を脱毛してもテストステロンの分泌を抑えられるわけではないからです。

脱毛にはエステ脱毛や医療脱毛がありますが、どちらの脱毛においても毛根にある毛母細胞にダメージを与える、または破壊することで毛を生えにくくする施術です。毛母細胞が破壊されれば体毛は薄くなりますが、分泌されるテストステロンの量には何も影響がありません。

 

Q. AGA治療薬を服用するとさらに体毛が濃くなるのは本当ですか?

A. 本当です。AGA治療薬のミノキシジルを使用すると体毛が濃くなる可能性があります。

AGA治療薬のミノキシジルには血行促進作用があり、毛母細胞に栄養を行き渡らせて発毛を促す効果が期待できます。

ミノキシジルには薄毛部分に直接塗布する外用薬と体内で作用する内服薬がありますが、特に内服薬は血液によって全身に浸透するため、外用薬よりも頭髪以外の体毛に影響する可能性が高いです。

ただし、ミノキシジルを服用することで体毛だけが濃くなり、髪の毛に効果が現れないということはほとんどありません。ミノキシジルを服用して体毛が濃くなったということは、治療の効果が出ている証拠と考えて良いでしょう。

※参考:「ミノキシジルの発毛効果について」

 

発毛効果を実感したいなら、とにかくミノキシジルを使ってください

 

Q. 脇毛や髭など毛の濃い場所によってハゲやすさは変わりますか?

A. 体毛の濃い場所によってハゲやすさが変わることはありません。

体毛は外部の刺激から肌を守る役割を持つため、肌への刺激が多い環境下では防衛本能によって毛量が増え、体毛が濃くなる場合があります。
本来、体毛の濃さには遺伝やテストステロンの分泌量が大きく関係しますが、その他にも肌を外部の刺激から守るためといったような後天的な理由で部分的に体毛が濃くなる場合もあるのです。

そのため、脇毛だけ濃い人、髭だけ濃い人、胸毛だけ濃い人など、体毛の濃い場所によってハゲやすさが変わるということはないと考えて良いでしょう。

 

Q. 女性でも体毛が濃いとハゲてしまいますか?

A. 男性型多毛症によって体毛が濃くなっている場合にはハゲる可能性があります。

男性型多毛症(女性における多毛症)とは、男性ホルモンの影響を強く受けて、体毛が男性のように毛深くなってしまう症状のことを指します。

具体的には、何らかの原因で男性ホルモンの分泌量が増え、口髭が生えてきたり、頭頂部の髪が薄くなったりするといった症状が挙げられます。
男性型多毛症の原因は元々の体質が関係している場合が多いですが、中には体内で男性ホルモンが病的に増加してしまい発症に繋がるケースもあるようです。

男性型多毛症の症状が現れた場合、男性ホルモンを分泌する副腎皮質や卵巣に何らかの異常が起きている可能性が考えられます。症状に気づいたらできるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。

※参考:「病気の顔貌と容貌」

 

まとめ

体毛と薄毛はどちらも男性ホルモンと密接な関係にありますが、体毛が濃いからと言って必ずしも薄毛になるわけではありません。

しかし、体毛が濃い人はテストステロンの分泌量が元々多いため、ハゲやすい要素を多く持っていると言えるでしょう。

ご自身の体毛が濃く、将来薄毛の重症化が不安な方や将来のために薄毛予防をしたいとお考えの方は、一度薄毛治療を行う病院やAGA治療専門のクリニックなどで無料相談を受けてみるのがおすすめです。

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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