GLP-1ダイエットで安全に痩せるために確認すべき副作用と危険性

2024/12/09 2024/12/09

「GLP-1ダイエットに興味があるけど怖い」
「GLP-1薬の危険性を知りたい」

医療の力で簡単に痩せられると話題の「GLP-1ダイエット」。
GLP-1受容体作動薬(以下GLP-1薬)を使用したダイエット方法です。
効果が得られたとしても、使用する薬は本当に安全なのか、健康に悪影響はないのかと不安に感じる方もいるでしょう。

この記事では、GLP-1ダイエットを行うことで考えられる危険性や、GLP-1薬で安全に痩せるために意識しておきたい注意点を紹介しています。
GLP-1ダイエットに興味がある方は、ぜひ最後まで目を通し、理解を深めてみてください。

GLP-1ダイエットで気をつけるべき3つの危険性

GLP-1ダイエットで気をつけるべき3つの危険性
楽に痩せられると話題のGLP-1ダイエットですが、健康への危険性があることは事実です。
GLP-1ダイエットを考える際に気をつけるべきことは、以下の3点です。

  • 副作用がある
  • 服用できない人がいる
  • 個人輸入による危険性

GLP-1ダイエットで使用する薬は、医薬品です。
投与方法や取り扱いに注意が必要なだけでなく、服用に注意が必要な方がいたり、副作用のリスクが伴ったりします。

副作用の出現の有無や程度にはなって個人差が大きいため、医師の指導のもとで使用し、異常を感じた場合にはすぐに相談ができるようにしておかなければなりません
個人輸入で入手すると医師の診察を受けずに薬を使用することとなり、大変危険です。

また、医薬品を正しく使用し重篤な副作用が生じた場合、「医薬品副作用被害救済制度」により、公的な救済が受けられる場合があります。
しかし現在、日本で自費診療によりダイエット目的で処方されるGLP-1薬のほとんどは、国内で肥満治療薬として承認されていません。

医薬品副作用被害救済制度は「承認を受けた使用法での副作用被害」を対象としているため、万が一重大な副作用が起こったとしても、この制度は利用できないという現状があります。

ここからは、GLP-1薬を利用したい場合に知っておきたい危険性についてさらに詳しく解説していきます。

参照元:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度
    厚生労働省 GLP-1 受容体作動薬及び GIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について

気を付ける危険性①副作用がある

気を付ける危険性①副作用がある

GLP-1ダイエットの代表的な副作用は、次の4つです。

  • 低血糖
  • 急性膵炎
  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢・便秘

これらの副作用の出現には個人差が大きいため、必ず医師の指導のもとで薬を使用し、異常を感じた場合はすぐに相談することが大切です。
それぞれの副作用症状について解説します。

低血糖

GLP-1薬には血糖値を下げる作用があるため、低血糖に陥るリスクがあります。
低血糖症状には個人差がありますが、次のような症状が出現した場合はすぐにブドウ糖や砂糖を含む食品を摂取します。

<低血糖症状の例>
空腹感・倦怠感・冷や汗・ふるえ・動悸・不安感
眠気・めまい・脱力感・集中力の低下・抑うつ・生あくび・熱感
意識もうろう・異常行動・けいれん・昏睡状態 など

低血糖は、ときには意識レベルの低下や昏睡状態をもたらし、命に関わることさえあります
低血糖症状が頻繁に起こる場合や、糖分を摂取しても症状が改善しない場合には、医療機関の受診が必要です。

参照元:低血糖 | 糖尿病情報センター 

急性膵炎

急性膵炎とは、すい臓におこった急性炎症のことです。
具体的な症状は、次のとおりです。

  • 上腹部の激しい痛み
  • 背中の痛み
  • 吐き気
  • 嘔吐

重症化すると生命に関わることもあるため、症状が出現したらすぐにGLP-1薬の使用を中止し、医療機関を受診する必要があります。
GLP-1ダイエットを始める前に、医師と相談し、膵炎のリスクを評価することが重要です。

参照元:急性膵炎 – 03. 消化器系の病気 – MSDマニュアル家庭版

吐き気・ 嘔吐

吐き気や嘔吐は、GLP-1薬の使用初期に出現しやすい副作用です。
GLP-1薬が消化管の動きを遅くする作用や、脳の満腹中枢に影響を与えることで生じると考えられています。

薬の使用初期に出現したこれらの症状は、時間が経つにつれ改善することがほとんどです。
吐き気や嘔吐が治まらない場合には、医師と相談し薬の量を調整する必要があります。

下痢・便秘

GLP-1ダイエット初期に下痢や便秘を引き起こすことがあります。
これらの症状は、薬の使用を続けているうちに数日~数週間でおさまることが多いと考えられています。
しっかりと水分補給をすること、食物繊維の豊富なバランスの取れた食事を意識することが有効です。

なお、症状が重度な場合やなかなか治らないときは、医師に相談し対処する必要があります。

気を付ける危険性②服用できない人がいる

気を付ける危険性②服用できない人がいる

GLP-1ダイエットは、誰もが挑戦できるわけではありません。
以下の薬を服用している方は、効果が変化したり、副作用のリスクが高まったりするため注意が必要です。

<併用に注意が必要な薬>
  • 糖尿病治療薬
  • レボチロキシン製剤(甲状腺ホルモン製剤)

また、次のようなライフステージ・健康状態の方はGLP-1薬の使用ができません。

<GLP-1薬の使用ができない人>
  • 重度の胃腸障害がある
  • 膵炎の既往歴がある
  • 胃摘出後である
  • 低血糖リスクが高い
  • 妊娠中・授乳中である など

必ず自身の健康状態について医師に相談したうえで、薬の使用を開始するようにしましょう

気を付ける危険性③薬の個人輸入

気を付ける危険性③薬の個人輸入

個人輸入とは、輸入代行サイトを利用して、個人が医薬品を海外から入手することです。
医師の診察を受けたり、通院したりせずにGLP-1薬を手に入れられますが、危険性が高いためおすすめできません。
薬の個人輸入によるリスクを見ていきましょう。

安全性が保証されていない

個人輸入で入手したGLP-1薬は、安全性が保証されていません。
正規の流通経路を経ていないため、以下のようなリスクがあります。

  • 偽造薬の可能性がある
    外見は本物そっくりでも、実際には有効成分が配合されていなかったり、有害物質が混入していたりする可能性があります。
  • 品質管理が悪いこともある
    適切な保管や輸送が行われている保証がないため、薬の品質が劣化している可能性があります。
  • 純度や成分の含有量が保証されない
    表示と実際の含有量が異なる可能性があり、過剰摂取や効果が不十分となるリスクが高まります。
  • 製造元が不明確である
    製造元が正しく表示されている保証がないため、品質と安全性に問題があることもあります。

これらの理由から、個人輸入された医薬品は健康に深刻なリスクをもたらす可能性があるといえます。
厚生労働省も医薬品の個人輸入について警鐘を鳴らしています。

参照元:厚生労働省|医薬品等を海外から購入しようとされる方へ

個人情報の流出リスクがある

海外サイトを利用してGLP-1薬を購入した場合、スキミングや個人情報の流出の被害を受けるリスクがあります。
また、正規の入手方法ではないため、購入した商品が届かないときの対処が困難です。
購入サイトの事業者情報が本当に正しく掲載されているのかどうか確認できない場合も多く、安易な利用はおすすめしません。

副作用への対応が遅れる

クリニックでGLP-1薬を受け取る場合には、医師の診察を受けたうえで薬を使用するため、副作用を早期発見したり、適切な対処が行われやすくなります。
しかし、個人輸入したGLP-1薬を使用していると、薬による体調の変化をこまめに医師に相談することができません。
また、他に服用している内服薬との相互作用や、GLP-1薬による健康リスクの可能性を把握しないまま開始してしまうリスクも高まります。

重大な副作用が出現し、適切な対処ができなければ、命に関わることも考えられます。
必ず医師の処方と指導のもとで使用するようにしてください

GLP-1ダイエットを安全に行う際の注意点

GLP-1ダイエットを安全に行う際の注意点
ここまで、 GLP-1ダイエットにおける危険性を説明してきました。

GLP-1 ダイエットには確かにリスクがあるダイエット方法です。
しかし、薬の危険性をきちんと理解し、注意点を踏まえたうえで行えば、安全にダイエット効果を出すことができます。
GLP-1 ダイエットを安全に行うための注意点を紹介します。

栄養バランスのよい食事をとる

GLP-1ダイエット中はとくに、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
GLP-1薬の食欲を抑える効果により食事量が減り、体に必要な栄養素が不十分になりやすいためです。
次のポイントを押さえて食事の栄養バランスを整えましょう。

  • たんぱく質を含む食品を摂取する
  • ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物を積極的に取り入れる
  • 良質な脂質を適度に摂取する
  • 玄米や全粒粉のパンなど食物繊維を含む主食を選ぶ

また、食事量や食事の回数が減ると、低血糖症状が起こりやすくなります。
ダイエット中はとくに1日3食、栄養バランスの取れた食事をするように心がけましょう

運動時は低血糖症状に注意する

運動はダイエットに効果的ですが、GLP-1 薬を使用している時に過度な運動を行うと低血糖のリスクが高まります。
運動時に低血糖になることが不安な場合は、運動前に食事を抜くことは避け、冷や汗・めまい・手の震えなどの低血糖症状に注意しましょう
また、万が一低血糖症状が出現した際に糖分を補給できるよう、ブドウ糖や、糖分を含む飲み物を持ち歩くとよいでしょう。

飲酒を控える

GLP-1ダイエット中は、できるだけアルコールの摂取を控えましょう
飲酒をきっかけに暴飲暴食してしまい、生活のリズムが崩れやすくなるためです。

また、暴飲暴食をしてしまった自分を責め、ダイエットへのモチベーションが下がってしまう可能性もあります。
どうしても飲酒をしたいという方は、少量にとどめ、高カロリーのおつまみに注意しましょう。

定期的に受診する

GLP-1 ダイエットを安全に続けるために、定期的に医師の診察を受けましょう。
ダイエットの効果に応じて薬の量を調節したり、副作用症状への対処がスムーズにできるためです。

気になる症状が出現した場合は我慢せず、主治医に相談することが大切です。
小さなことでも早めに医師に報告することで、潜在的な健康問題を早期に発見することにもつながります。
自身の健康管理に積極的に取り組むことが、ダイエットを成功へと導くのです。

GLP-1薬で痩せない人の特徴

GLP-1薬で痩せない人の特徴

GLP-1ダイエットが気になる方は、「GLP-1薬を使ってもなかなか痩せない」という口コミを見るかもしれません。
体質によるものの場合がありますが、間違った方法でダイエットを行っていた可能性があります。
ここでは、GLP-1 薬で十分なダイエット効果が得られない人によく見られる特徴を解説します。

そもそも太っていない

GLP-1薬は、一定以上の肥満の方に対して最も効果を発揮します。
体脂肪が少なかったり、肥満ではない場合には効果は得られにくいでしょう。

自身が肥満かどうか知りたい場合には、BMIを調べてみましょう。

<BMIの計算式>
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)2

一般的にBMIが22だと標準体重、BMIが25以上の場合に「肥満」とみなされます。
実際に、自由診療のGLP-1薬は処方における肥満度の条件はなく、個々人の状況に応じて柔軟に判断がなされます。
GLP-1ダイエットの適応については、必ず医師と相談し、健康状態や体格、生活習慣などを総合的に評価した上で判断してください。

参照元:BMI | e-ヘルスネット(厚生労働省)

暴飲暴食した

GLP-1薬には食欲を抑える効果がありますが、自らの意思で暴飲暴食をしてしまった場合には、摂取カロリーが増え、痩せにくくなってしまいます。
普段の食事は栄養バランスを意識するとともに、高カロリーな食品を必要以上に摂取しないよう注意しましょう。

また、ストレスやホルモンバランスが原因で感情の起伏が激しくなると、過食を抑えられなくなることがあります。
生活習慣を整えたり、ストレス対策をしたりと、普段から心身のバランスを整えることが大切です。

運動を全くしなかった

GLP-1薬によるダイエット効果は、適切な運動と組み合わせることでより得られます。
運動を全くしなかった場合、筋肉量が減少し、基礎代謝が低下します。
基礎代謝が下がると日々の消費カロリーが減少するため、太りやすくなってしまうのです。

また、運動はストレス解消にも役立ちます。
運動をしないことで、ストレスが発散できず、過食につながることも考えられます。

参照元:体を動かす|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省

クリニックで処方を受けられるGLP-1薬

クリニックで処方を受けられるGLP-1薬
自由診療のクリニックで処方を受けられる主なGLP-1薬は複数あり、それぞれ特徴があります。
特徴を簡単に解説します。

リベルサス オゼンピック マンジャロ ビクトーザ サクセンダ ウゴービ
主成分 セマグルチド セマグルチド チルゼパチド リラグルチド リラグルチド セマグルチド
投与方法 経口薬 自己注射 自己注射 自己注射 自己注射 自己注射
投与頻度 毎日 週に1回 週に1回 毎日 毎日 週に1回

リベルサス

リベルサスは、経口投与できるGLP-1薬です。
「セマグルチド」を主成分としています。
2型糖尿病の治療薬として、保険診療でも取り扱われています。
空腹時に水で服用すること、服用後30分は飲食しないことなど、いくつかの条件がありますが、自己注射に抵抗がある方には使いやすい薬であるといえるでしょう。

参照元:リベルサス錠 添付文書

オゼンピック

オゼンピックはGLP-1の注射薬です。
リベルサスと同様に、「セマグルチド」を主成分とする2型糖尿病の薬です。
自己注射をする必要がありますが、週に1回で済むため手軽です。

参照元:PMDA添付文書「オゼンピック皮下注2mg」

マンジャロ

マンジャロは、2つのホルモンの作用を持つ、「GIP/GLP-1受容体作動薬」という新しいタイプの薬です。
2型糖尿病の治療薬として保険診療に使用されています。
週に1回、皮下注射をするという点ではオゼンピックと同様ですが、体重減少効果、血糖値を下げる効果がより強力であるとされています。

参照元:マンジャロ皮下注添付文書 

ビクトーザ

ビクトーザは、「リラグルチド」を主成分とした注射薬です。
2型糖尿病の薬として処方されています。
毎日の自己注射が必要な薬です。

参照元:ビクトーザ皮下注添付文書

サクセンダ

サクセンダも、ビクトーザと同様に「リラグルチド」を主成分とした注射薬です。
日本では未承認ですが、海外では肥満症の治療薬として使用されています。
ビクトーザと比較すると、1回の投与量を調整しやすく、最大投与可能な量が大きいことが特徴です。
参照元:ノボ ノルディスク 減量薬のメリット | Saxenda® (リラグルチド) 注射剤 3mg

まとめ


この記事では、GLP-1ダイエットを行うことで考えられる危険性や、GLP-1薬で安全に痩せるために意識しておきたい注意点を紹介しました。

GLP-1ダイエットにおける危険性は、次の3点です。

  • 副作用がある
  • 服用できない人がいる
  • 個人輸入による危険性

これらのリスクは、正しい知識を持ったうえでダイエットを行えば軽減できます。
事前に正しい情報を把握し、医師の指導のもと用法用量を守ってダイエットに取り組めば、リスクを抑えながらダイエットを行うことが可能となるのです。

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