薄毛予防

薄毛になる男性ホルモンは存在する!男性ホルモンとAGAの深い関係性とは

監修者 阿部有寛(院長)

 

「男性ホルモンが多いと薄毛になりやすい」という話を耳にしたことはありませんか?

結論からお伝えすると、男性ホルモンとAGAには深い関わりがあります。しかし、男性ホルモンが多いからと言って必ずしも薄毛になるとは限りません。

男性ホルモンには様々な種類が存在し、中には薄毛の原因に繋がるものもありますが、一方で薄毛にならないために有効な男性ホルモンも存在しているため、一概に「男性ホルモンが多い=薄毛」とは言えないのです。

薄毛にならないためには、それぞれのホルモンのことを理解し、薄毛の原因となるホルモンが増えないように適切な行動を取る必要があります。

この記事では、男性ホルモンとAGAの関係性について詳しくお話していきます。
また、男性ホルモンが原因で薄毛が発症してしまった場合の対策もご紹介しますので、日ごろから筋トレをされている方など、ご自身の男性ホルモン値に対して不安を感じている方はぜひ参考にしてください。

「男性ホルモンが多い=薄毛」とは限らない

AGAと男性ホルモンには切っても切り離せないような深い関係性があります。

しかし、すべての男性ホルモンが薄毛に繋がっている訳ではなく、薄毛に直結する男性ホルモンもあれば、薄毛の予防や対策になる男性ホルモンも存在します。

 

テストステロン値の高さは薄毛に関係しない

テストステロンは代表的な男性ホルモンの1つであり、男性が健康に過ごすうえで必要不可欠な存在です。
テストステロンの主な作用には下記が挙げられます。

● 骨や筋肉をつくる
● 体脂肪が少なく引き締まった男らしい身体をつくる
● 集中力・記憶力の向上
● 生殖機能の向上・促進
● 心身の健康を保つ など

男性の身体にとって大事なホルモンですが、テストステロンが直接薄毛に関係しているという医学的根拠はなく、分泌量が多いからと言って薄毛になるわけではありません。

むしろ、テストステロン値は薄毛にならないために高い方が良いと言えるでしょう。

テストステロンは20代をピークに減少すると言われていますが、減少傾向には個人差があり、年齢を重ねたからといってすぐに薄毛やシワが増えるとは限りません。
また、テストステロン値が高いことで肌や髪のツヤを保つことができたり、健康的に過ごすことができたりもします。

 

注意すべきは「DHT(ジヒドロテストステロン)」

男性ホルモンの中にDHT(ジヒドロテストステロン)というものがあります。
DHTはテストステロンを元に作り出されるホルモンであり、テストステロンが5αリダクターゼ(酵素)と結合することで、薄毛の原因となるDHTに変換されます。

しかし、DHT単体が薄毛の原因となるわけではなく、毛乳頭細胞の中にある男性ホルモンレセプター(受容体)がDHTを取り込むことによって、AGAに繋がるTGF-β(脱毛因子)を生み出します。

TGF-βが脱毛指令を発することで髪の毛の成長を妨げ、ヘアサイクルを乱して薄毛に陥ってしまうのです。

そんなDHTですが、成長期の男性にとっては筋肉の増大や生殖機能の形成、体毛が濃くなるなどの男性が男性らしい身体になっていくために非常に重要なホルモンです。
しかしながら、ある程度成長を終えた男性には、主にAGAなどの薄毛の促進、皮脂腺を活発にして肌荒れや肌のべたつきを引き起こすなど、マイナスな働きをするとも言われています。

また、薄毛が進行してしまうかは5αリダクターゼの活性度によって異なり、活性度が高い方はテストステロンとより活発に結びついてDHTを生成しやすくなります。

5αリダクターゼの活性度には個人差がありますが、主に優性遺伝の影響を受けやすいと言われています。
そのため、両親や親族に薄毛の方がいるのであれば、5αリダクターゼの活性度は高い可能性があり、AGAを発症する確率も上がります。AGAの原因に遺伝が関係していると言われているのは、こういった理由があるからなのです。

 
こちらもあわせてチェック↓↓
[clink url=”https://www.zenclinic.jp/aga/?p=965″]

 
 

DHTの過剰分泌を抑制する方法2選

薄毛の進行を抑えるためには、薄毛の原因となる男性ホルモン「DHT」の過剰分泌を抑制しておく必要があります。

 

生活習慣を見直す

喫煙者は非喫煙者よりDHTの値が約14%も高いと言われています。このデータからわかるように、たばこは薄毛を加速させる要因と言えるでしょう。
日ごろ喫煙をされている方で、薄毛が気になる方や将来薄毛にならないか不安な方は、できるだけ本数を抑えつつ、徐々に禁煙できるよう行動するのが賢明です。

他にも、DHTは汗や尿によって体外に排出されるため、運動不足の方や代謝が悪い方は余分なDHTをうまく排出できていない可能性があります。
また、血行が悪くなると、ヘアサイクルが乱れてAGAの発症する確率も上がってしまうので、日ごろ運動をする習慣がない方は適度な運動習慣を身につけるようにしていきましょう。

 

5αリダクターゼを抑制する薬の服用

5αリダクターゼの働きを抑制するのに最も効果的なのがお薬の服用です。
下記のお薬は薄毛治療を行うクリニックで購入することができ、運動習慣や食生活の見直し、禁煙といった生活習慣の改善よりも目に見えた効果が得られるでしょう。

【5αリダクターゼを抑制できるお薬の種類】

薄毛予防内服薬【フィナステリド(プロペシア)】
フィナステリドは5αリダクターゼの活性化を抑え、髪の毛が生え変わる周期である「ヘアサイクル」を正常な状態へ戻すための治療薬です。アメリカの医薬品管理局であるFDAでも認可されているAGA治療用の薬剤で、世界中で広く利用されています。

薄毛予防及び、発毛促進内服薬【デュタステリド(ザガーロ)】
デュタステリドとは、グラクソ・スミスクライン株式会社が開発したザガーロに含まれる成分です。もともとは、アボルブの有効成分として開発されましたが、AGAの改善効果が期待できることがわかり、改めてザガーロが開発されました。
デュタステリドはプロペシアと違い、Ⅱ型5α-還元酵素だけでなく5α-還元酵素のⅠ型、Ⅱ型ともに阻害しAGAの原因であるDHTの産生を強力に抑制します。 またレセプターの占有率がプロペシア(フィナステリド)よりも高く、「Ⅰ、Ⅱ型の5α-還元酵素をともに抑制すること」、「占有率が高いこと」からプロペシアよりも強力にDHTの産生を抑制します。

こうしたお薬は個人輸入などでも購入できますが、正しく安全に服用していくためには薄毛治療を行う専門のクリニックで処方してもらうのが良いでしょう。
頭皮注射などの直接的な治療だけではなく、お薬の処方のみでクリニックを利用することも可能です。

薄毛治療が診療科目にあるクリニックは実店舗型とオンライン型の2種類がありますが、処方してもらえるお薬はほとんど同じなため、価格帯やアクセス面を考慮しながら長期的に治療が続けやすいクリニックを選択するのが良いでしょう。

 

まとめ

「男性ホルモンが多い=薄毛」は間違いだということがお分かりいただけたと思います。

AGAは20歳を過ぎると誰でも発生する可能性があり、一度AGAを発症してしまうと何もせずに自然に改善されることはありません。
生きていくうえで必要不可欠な男性ホルモンですが、薄毛になりたくない方は対策や予防を取り入れながら、いつまでも若々しい自分でいられるように生活していきましょう!

※参考:『日本皮膚科学会ガイドライン|男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版』
※参考:『男性型脱毛症治療薬の研究動向』

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
Recommend
こんな記事も読まれています!
記事URLをコピーしました