薄毛予防

ヘアカラーが薄毛の原因に!髪への負担別ヘアカラーの選び方

監修者 阿部有寛(院長)

髪色が変わると雰囲気や印象がガラッと変わるので、髪の毛のカラーリングを楽しむ方は多くいらっしゃると思います。しかし、ヘアカラーやヘアブリーチをしていると気になるのが髪へのダメージですよね。

このダメージはいったいどこまで影響を及ぼすのか考えたことはありますか?
結論からお伝えすると、ヘアカラーによるダメージが原因で薄毛になってしまう可能性は十分にあるといえるでしょう。

ヘアカラーのダメージが薄毛にまで影響を及ぼしてしまうと思うとゾッとしますよね。強いカラーリング剤を使い続けていたり、日常的に髪や頭皮のケアをしたりしていないと、取り返しのつかない状態に陥ってしまう危険性があります!

この記事では、ヘアカラーと薄毛の関係性を解説していきます。今後薄毛対策をしながら、自分の髪や頭皮の状態に合ったカラーリングを選択できるようにお話していきますので、「おしゃれのためにヘアカラーは続けたいけど、薄毛にはなりたくない…」といったお悩みをお持ちの方はぜひ最後までお読みいただければと思います。

ヘアカラーで薄毛になってしまう可能性は0ではない

ヘアカラーをしたからといって、直接それが薄毛の原因になることはありません。しかし、カラーリングをする薬剤によっては髪や頭皮にダメージを与えてしまい、間接的に薄毛の要因へ繋がる可能性があります。

 

ヘアカラーの刺激により頭皮環境が悪化

一般的にヘアカラーと呼ばれるものは、カラーリング剤(染料)を髪の内部に浸透させていくことで髪色に変化を与えています。

敏感肌の方はこのカラーリング剤が頭皮に付着すると、痛みを感じたり、赤みなどの炎症を起こしてしまったりする場合があります。頭皮にヒリヒリとした感覚を感じた経験のある方は、頭皮に優しいカラーリング剤を使用している美容院に行くか、事前に美容師さんへ相談してみる、または染める前にパッチテストをやってもらうなどの対策を行うのが望ましいでしょう。

カラーリング剤は「酸化染毛剤」と言い、永久染毛剤に分類されます。一般的に染料(1剤)と過酸化水素(2剤)を混ぜ合わせてできたものであり、過酸化水素で髪のメラニンを抜き、染料で髪の内部に色を付けていくイメージです。

この過酸化水素が髪に与えるダメージは大きいため、美容院ではヘアカラーをする際に濃度や配合を調整して髪が傷みすぎないように工夫されていますが、市販のカラーリング剤を使用する場合、誰でもしっかり髪を染めることができるように、過酸化水素の濃度を最大にしているものが多いです。

ダメージをなるべく抑えたい方は、ご自身でカラーリングをするよりも、美容院でカラーリングをした方が髪や頭皮への負担は減らすことができるでしょう。

 

切れ毛、枝毛、髪のボリュームダウン

カラーリング剤の種類によっては、髪の毛の1番外側をコーティングしているキューティクルにダメージを与える可能性があります。キューティクルにダメージが強く表れると、髪のツヤやコシが失われ老けた印象を与えてしまいます。

また、カラーリング剤は外側だけでなく、浸透していく際に髪の内部にもダメージを与えます。このようなダメージの大きいカラーリングを頻繁に行っていると、ダメージが髪に蓄積されて枝毛や切れ毛が起こり、髪は次第にボリュームダウンしていきます。

枝毛や切れ毛は長い髪の毛先で起こるイメージがありますが、実は前髪や頭頂部でも同様に起こります。弱った髪の毛は少しの刺激でも抜け落ちてしまうことが多く、そのままケアをせずに放置してしまうと抜け毛や薄毛に繋がってしまうのです。

 

頭皮環境の悪化と髪のダメージが薄毛の原因に

髪の毛のダメージによって髪質が細くなりツヤやコシが失われると、それだけで老けた印象を与えてしまいます。髪のボリュームダウンは薄毛になったと感じる方も多いので、ご自身の髪をよく観察し、明らかな髪のボリュームダウンや髪質の変化などのダメージが気になる場合には、カラーリングを控えたほうが良いでしょう。

また、カラーリングによって頭皮環境が悪化することで、髪の毛は健康に育たず薄毛に繋がる可能性が高まります。

人間にはヘアサイクル(毛周期)という髪の毛が一定期間で生え変わる周期が存在し、健康な人でも自然と髪が抜け落ちて、新たな髪が生えてくるというサイクルを繰り返しています。しかし、頭皮環境が悪化するとヘアサイクルに乱れが生じるため、髪の毛は十分に成長できず抜け毛が増えて薄毛の進行を加速させてしまいます。

髪の毛の状態によっては取り返しのつかないことになる可能性もありますので、ご自身の髪や頭皮の状態に合わせてカラーリングの頻度や種類を選択する必要があるでしょう。

※参考:『頭髪用製品とその作用』

 

髪への負担を考えて選びたい、4種類のカラーリング剤

髪を染める際の重要なポイントは大きく2つに分かれます。

1. 髪や頭皮へのダメージ
2. 髪が綺麗にカラーリングされるか(色持ちや理想の染色ができているか、白髪などのポイントが染められるかなど)

同じカラーリングでも、工夫次第では薄毛に繋がるリスクを防ぐことが可能です。ここでは、医薬部外品であるヘアカラー、ヘアブリーチ、化粧品に分類されるヘアマニキュア、ヘアマスカラの4つのカラーリング剤をご紹介いたします。

上記の図は髪へのダメージと染まりやすさを比較した表です。ご自身の髪の毛のダメージや頭皮の状態を確認しながら、自分に合ったカラーリング剤を選択していきましょう。

 

【ヘアカラー(永久染色剤)】ダメージは大きいが、種類が豊富で自分次第でケアも可能

ヘアカラーは永久染毛剤に分類され、 染毛成分がキューティクル及び毛皮質の奥深くまで浸透、科学的に固着することによって、長期的に髪を染色したまま保つことができます。

持続時間には個人差があり、その方の髪質などによっても変わってきますが、他の染色剤よりも最も色持ちが続くのが永久染毛剤です。同じ永久染毛剤の仲間にはヘアダイや白髪染があります。

一方、カラーリング剤の中でも酸化染色剤を含んでいるものは、特にアレルギー性接触皮膚炎を起こす可能性が高く、ヘアカラーをした1~2日後に薬剤と接触した頭皮に痒みや赤みなどが発症する可能性があります。

こうした頭皮環境の悪化は薄毛にも繋がってしまう可能性が高いため、肌が弱いと感じる方は使用を控えたほうが良いでしょう。

 

【ヘアブリーチ(脱色剤)】ダメージは最大。しかしヘアカラーよりもさらに理想の髪色に

ヘアブリーチとは髪の毛に元々ある色素を抜く「脱色剤」を指します。髪を派手な色などに染める場合、より髪の毛に色が入りやすくするために色素を一旦抜いてからカラーリング剤を使用することで、通常のヘアカラーよりもさらに理想の髪色に近づけることが可能です。

ヘアブリーチはヘアカラーと同様にキューティクルにもダメージを与えます。色をより入りやすくするために何度もブリーチを重ねた髪の毛は、キューティクルが開きっぱなしになりダメージを受けやすい状態です。

ダメージを受け続けた髪の毛は、髪質が非常に細くごわつきが出るほか、切れ毛が増えてボリュームもダウンするため、相手に老けた印象を与えてしまいます。また、髪や頭皮環境が悪化したまま何もケアせずに放置してしまうことで薄毛の原因に繋がる可能性も考えられます。

ヘアブリーチをした際は、髪や頭皮のケアをいつもより念入りに行ってあげましょう。

現在は、ケアブリーチといったダメージを最大限軽減させることができるブリーチ剤も存在します。通常のヘアブリーチよりは高額になりますが、経済的に問題がなければ髪の毛のために使用を検討するのも良いでしょう。

美容師さんも髪の状態を見てヘアブリーチできるか判断してくれると思いますので、ヘアブリーチを行う際は必ず相談することをおすすめします。

 

【ヘアマニキュア(半永久染毛料)】髪を労わりながら雰囲気だけを変化させたい

ヘアマニキュアは髪の毛の表面だけをカラー剤でコーティングするものです。髪や頭皮を傷めずにカラーをすることが可能なため、髪のダメージが気になる方や、敏感肌の方はヘアマニキュアを選択してみてもいいかもしれません。

しかし、ヘアカラーと違い、元の髪色が黒に近いと染まったかわかりにくいところが難点です。髪の毛の色をはっきり変化させたいと考えている方には物足りなく感じるかもしれません。

また、ヘアマニキュアをした後にヘアカラーに変える際、ヘアマニキュアによる表面のコーティングによってカラー剤が浸透しにくくなる場合もあるので気をつけましょう。

 

【ヘアマスカラ(一時染毛料)】気になる箇所をピンポイントで染めたい

ヘアマスカラは、まつげにつけるマスカラのような形状で一時的に髪の毛を色づけするものです。シャンプーで簡単に落とすことができるので、白髪が気になる根元部分などにサッと塗ってカラーリングすることができます。

髪全体にカラーをするというよりは、部分的に染めたい場合に使用するのが良いでしょう。ダメージもほとんどないため、カラーをしたい場所が限られている方や、ダメージが気になるが白髪染めをしたいという方はヘアマスカラを選択するのが良いでしょう。

※参考:『ヘアケア製品(染毛剤,シャンプー,リンス)による皮膚障害』
※参考:『日本ヘアカラー工業会』

 

ヘアカラーによる薄毛の対策方法

続いては、ヘアカラーが原因となって起こる薄毛についての対策方法をお話していきます。

まずはご自身の髪の毛の状態を確認しつつ、カラーリング剤を選択していくのが一番です。薄毛になってしまわないように対策を取りつつ、今後もヘアカラーを楽しめるように知識をつけていきましょう!

 

対策①:ヘアカラーの頻度を減らす

ヘアカラーの頻度が高ければ高いほど髪のダメージは加速していきます。ダメージが蓄積するにつれて、髪は細くなり薄毛に近づいてしまうので、髪のダメージが目立つ場合や髪のボリュームが減ってきたと感じる場合は、ヘアカラーのペースを落としてあげた方が良いでしょう。

「ヘアカラーの頻度を減らしてしまうと色落ちや根元の色が目立って汚く見えないか心配。」と感じる方は、美容師さんに色落ちしたときのことを考えて染めてもらうか、地毛の髪色と馴染むようなカラーリングをしてみるのもおすすめです。

 

対策②:頭皮や髪のダメージケア

ヘアカラー、ヘアブリーチのような、髪や頭皮に負担が大きいカラーリング剤に関しては、美容院によって様々な工夫がされており、ケアカラー、ケアブリーチ等を独自で開発しているところも多いです。通常のヘアカラーやヘアブリーチよりお値段が高額にはなってしまいますが、ダメージカットをして薄毛対策をしつつ綺麗にカラーリングをしたい方にはおすすめの方法です。

また、通常のカラーリングをしつつ、美容院でダメージケアのトリートメントをお願いするのも髪を守るためには必要です。もしくは毎日ブラッシングやトリートメントを使い、摩擦によるダメージを減らすためにナイトキャップを被ったりすることで、髪や頭皮の補修をすることができます。

手間はかかりますが、ホームケアで髪を労わることで薄毛の対策ができるのであれば、積極的に取り入れるべきと言えるでしょう。

ケラチンとは?髪の毛とケラチンの関係を徹底解説

 

対策③:薄毛専門クリニックでの予防治療

薄毛治療のクリニックと聞くと、「まだ薄毛ではないのに治療をする必要はあるの?」「薄毛治療をしているなんて恥ずかしい…」と思ってしまう方も多いかもしれませんが、予防の観点から薄毛治療のお薬を服用することで、事前に薄毛の進行を防ぐことが可能です。

女性が服用できるお薬には主に上記の3種類があります。薄毛だけでなくホルモンバランスを整えてニキビを予防するほか、女性特有の疾患などに適用されるお薬も含まれています。

ヘアカラーをしながらダメージを補修しつつ、根本から薄毛にならない身体をつくりたい方は、今のうちから服用することを検討するのも良いでしょう。

 

さいごに

薄毛を気にするのであれば、できる限り髪や頭皮のダメージを減らすためにカラーリングは控えた方が良いと言えるでしょう。しかし、この記事でお伝えしたように、工夫次第でヘアカラーの変化を楽しむことは可能です。

今後は美容師さんと相談しつつ、髪や頭皮を労わりながらヘアカラーをしていただくことをおすすめします!

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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