育毛・増毛

デュタステリドで抜け毛抑制可能!10の論文から医学的根拠に基づく効果を解説

監修者 阿部有寛(院長)

 

AGA治療薬である「デュタステリド」にはどのような薄毛改善の効果があるのでしょうか?
AGAは進行性の脱毛症のため対策をせずに放置してしまうと、髪はどんどん抜け落ちて薄毛の範囲は広がっていってしまいます。
そのため必要なのが抜け毛を抑制するお薬です。

デュタステリドは抜け毛を抑制する薬として販売されており、服用することで髪が抜けていくのを塞き止めることができます。

この記事では、医学的な裏付けと共にデュタステリドの効果を解説し、薄毛に悩む方の改善方法の1つとしてデュタステリドを選択が効果的であることを詳しくお話していきます。

目次

抜け毛の抑制が可能!デュタステリドの効果

抜け毛の抑制が可能なデュタステリドですが、どのような効果を働かせることで抜け毛を塞き止めているのでしょうか。ここでは抜け毛が起きてしまう仕組みを踏まえて、デュタステリドの効果についてお話していきます。

 

デュタステリドはAGAの要因である「5αリダクターゼ」を抑制する効果がある

「デュタステリド」は抜け毛の引き金となる5αリダクターゼの抑制ができるお薬です。
5α-リダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があります。5αリダクターゼの抑制ができる治療薬は他にもありますが、Ⅰ型とⅡ型の両方のリダクターゼを抑制することのできるのはデュタステリドのみです。

 

5αリダクターゼの抑制は抜け毛を止めるために欠かせない

人間の体内に存在する還元酵素である5αリダクターゼは、代表的な男性ホルモンであるテストステロンが薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)という悪玉ホルモンへ変換される時に使われます。
その後、DHTは頭皮にある男性ホルモンレセプターと結合することによって抜け毛を増やす脱毛因子(TGF-β)を生成、脱毛因子の働きでヘアサイクルが乱れて抜け毛が増えて薄毛に陥ってしまいます。

抜け毛が起きないようにするためにはDHTの生成を阻止する必要があります。この生成を阻止するためには第一に5αリダクターゼの活性化を抑制する必要があるのです。

 

同じ抜け毛抑制薬「フィナステリド」よりもさらに高い効果を発揮

そのもう1つの抜け毛抑制薬が「フィナステリド」という治療薬です。
デュタステリドと同様に5αリダクターゼの活動を抑制することによってテストステロンとがDHTに変換されるのを阻害することが可能です。しかし、フィナステリドはⅡ型のみ抑制し、Ⅰ型は抑制することができません。

フィナステリドも「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において高い効果と安全性が保障されており、一般的に副作用も少ないことが証明されています。そのため抜け毛治療薬として使用する事はおすすめできるお薬ですが、より強い抑制効果を求められるのなら、デュタステリドの使用を検討すると良いでしょう。

【注意】
このようにデュタステリドはフィナステリドよりも強力な抜け毛抑制効果があるお薬ですが、その分副作用もフィナステリドより強いとされています。処方をしてもらう際は必ず医師の診断を受けてご自身に合ったお薬を処方してもらいましょう。

 
 

AGAのガイドラインでは最も評価の高いAランクを獲得

「日本皮膚科学会男性型脱毛症診療ガイドライン」は、皮膚科医の立場から科学的根拠に基づいた情報を選び、医師と患者の双方にとって標準的治療法を提示することで、男性型脱毛症診療水準を向上するという目的を持って策定されたものです。日本皮膚科学会と毛髪科学研究会の共同事業として発足し、2010年に発表されたガイドラインを新しい治療薬や治療手段が登場したことによって改定されたのが「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」です。

2017年版では、薬剤を推奨度順に5段階(A、B、C1、C2、D)に分類しており、より薬剤の使用を分かりやすく証明しています。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」においてデュタステリドの推奨度は、【AGA(男性型脱毛症):Aランク】、【FAGA(女性男性型脱毛症):Dランク】と定められています。
ガイドラインにおいて、複数のデュタステリド内服薬に関する試験が実施されており、男性は最も推奨度の高いAランク、一方で女性はフィナステリド同様にDランクと推奨されておらず、服用だけではなく成分は皮膚からも吸収されてしまうので触れることも危険とされているので注意する必要があります。

ガイドラインの実証実験から、デュタステリドの効果は以下の点が証明されています。

・デュタステリドを使用したほうが、使用しないよりも多く毛が生えていた
・フィナステリドよりもデュタステリドの方が強い発毛効果が見られた
・明確に数えることのできる髪の毛の本数と直径、ハリコシのある柔らかくない毛が増加した
・性機能障害の発症危険度が高まる

性機能障害の発症の危険性も高まるなどといった副作用が出る可能性もあることがわかりましたが、デュタステリドを使用することで、発毛効果に関して高い水準の根拠を元に服用を強く勧められていました。
また、これらの実験は20歳以上の男性を対象に行われたため、20代未満の方の服用は推奨されていません。男性の身体をつくる男性ホルモンを抑制するお薬ですので、身体が未発達な20歳以下の方が服用すると身体に害を及ぼす可能性があるためです。

引用:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

 
 

デュタステリドの効果が証明されている10本の論文

AGAガイドラインの他にも、デュタステリドの効果については様々な論文において効果の裏付けがされています。ここでは医学的根拠に基づいたデュタステリドの効果について解説・紹介していきます。

 

①AGA男性における発毛及び小型化の逆転 フィナステリドに対するデュタステリドの優位性

フィナステリドよりも高い発毛効果の証明
18歳から40歳までの男性型脱毛症をランダムに振り分け、男性にデュタステリド(0.5mg)またはフィナステリド(1mg/day)を毎日24週間投与した試験であり、デュタステリド及びフィナステリドの有効性、安全性、忍容性の比較

・1cmあたりの総毛髪数の増加
・デュタステリド群(ベースライン-223頭髪;24週間後-246頭髪)では、フィナステリド群(ベースライン-227頭頭;24週後-231頭頭)と比較して、デュタステリドの方が発毛総数の増加が見られた

引用:アンドロゲン性脱毛症の男性における発毛および小型化の逆転におけるフィナステリドに対するデュタステリドの優位性:無作為化対照非盲検評価者盲検試験

 

②男性型脱毛症の男性患者の治療におけるデュタステリドの長期的な安全性と有効性

デュタステリドの長期服用はまだまだ実証結果が少ないが、この研究では長期的な安全性と有効性が実証されている。併せて副作用の発症結果と発毛の有効性の証明も。
AGA患者の男性120人に5αリダクターゼ阻害剤であるデュタステリド(0.5 mg/days)を52週間継続。長期的な安全性、忍容性、および有効性を判断することを目的とし実施

・鼻咽頭炎、勃起不全、および性欲減退が最も頻繁に報告された副作用
・ほとんどの副作用が軽度であり、いずれも研究の中止には至らなかった
・発毛 (52 週目の平均ターゲット領域の毛髪数)、毛髪の修復 (52 週目での平均ターゲット領域の毛髪幅) および全体的な毛髪の外観 (52 週目での中央値スコアの平均) は、研究中にベースラインから改善
・デュタステリド 0.5 mg は、この研究集団内で長期的な安全性、忍容性、有効性を示した

引用:アンドロゲン性脱毛症の男性における発毛および小型化の逆転におけるフィナステリドに対するデュタステリドの優位性:無作為化対照非盲検評価者盲検試験

 

③5α-レダクターゼ阻害剤であるデュタステリドによる良性前立腺肥大症の男性におけるジヒドロテストステロンの顕著な抑制

フィナステリドと比較した場合のデュタステリドの有効性
AGA患者の男性399人がデュタステリド(0.01/0.05/0.5/2.5/5.0mg)とフィナステリド(5mg)またはプラセボの24週間1日1回投与のランダム化比較試験。

・デュタステリドが Ⅱ型 5αリダクターゼの阻害においてフィナステリドよりも約 3 倍強力であり、1 型 5αリダクターゼの阻害においては 100 倍強力であることが発見された
・2つの薬剤の作用機序を研究した結果、理論的にはデュタステリドが AGA の治療においてフィナステリドよりも効果的であることがわかった

引用:二重5α-レダクターゼ阻害剤であるデュタステリドによる良性前立腺肥大症の男性におけるジヒドロテストステロンの顕著な抑制

 

④男性型脱毛症の男性被験者の治療における、異なる用量のデュタステリドとプラセボおよびフィナステリドの有効性と安全性に関する無作為化実薬対照およびプラセボ対照試験

デュタステリドを使用することにより毛髪の数と幅が増加
男性型脱毛症の 20 歳から 50 歳の男性を無作為に割り付け、デュタステリド (0.02、0.1、または 0.5 mg/日)、フィナステリド (1 mg/日)、またはプラセボを 24 週間投与。主要エンドポイントは、24 週目の毛髪の数 (直径 2.54 cm) 。その他の評価には、毛髪の数 (直径 1.13 cm) と幅、写真による評価 (治験責任医師とパネル)、病期の変化、および健康転帰が含まれる。

・デュタステリド 0.5 mg は、フィナステリドと比較して、24 週目に直径 2.54 cm の毛髪の数と幅を有意に増加させ、発毛を改善できた

引用:男性型脱毛症の男性被験者の治療における、異なる用量のデュタステリドとプラセボおよびフィナステリドの有効性と安全性に関する無作為化実薬対照およびプラセボ対照試験

 

⑤男性型脱毛症の治療における 5α-レダクターゼ阻害の重要性

デュタステリドで抜け毛発生の原因となる悪玉男性ホルモンの阻害が可能
21 歳から 45 歳の 416 人の男性が無作為に割り付けられ、デュタステリド 0.05、0.1、0.5 または 2.5 mg、フィナステリド 5 mg、またはプラセボを毎日 24 週間投与。

・デュタステリドにより、用量依存的に、頭皮と血清のジヒドロテストステロン値が低下し、テストステロン値が上昇しました。

引用:男性型脱毛症の治療におけるデュアル 5α-レダクターゼ阻害の重要性: デュタステリドとフィナステリドのランダム化プラセボ対照研究の結果

 

⑥男性型脱毛症の男性の治療におけるフィナステリドと比較したデュタステリドの有効性と安全性

フィナステリドと比べてデュタステリドの方が毛髪の数と幅が増加
男性型脱毛症の576人を対象にMEDLINE、EMBASE、および Cochrane Controlled Trials Registerを使用して、AGAを治療するためのデュタステリドとフィナステリドのランダム化比較試験を検索

・総毛髪数、正面、頂点などに発毛効果があった
・デュタステリドの方がフィナステリドよりもAGA治療に優位な効果もたらすことが分かった
・性欲の低下、勃起不全などの副作用や安全性に関してはデュタステリドとフィナステリドで差はないことが分かった

引用:男性型脱毛症の男性の治療におけるフィナステリドと比較したデュタステリドの有効性と安全性:系統的レビューとメタ分析

 

⑦毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA)

フィナステリドで効果が実感できなかった人がデュタステリドで発毛を実感できた事例
917 名の AGA 男性を対象にした国際 RCT ではデュタス テリド0.02, 0.1, 0.5 mg/日とプラセボおよび,従来から 使用されてきたフィナステリド1 mg/日の24 週の比較試験が行われた。

・試験後直径2.54 cm あたりの毛髪数増加が フィナステリド1 mg/日で56.5 であったのに対し、デュタステリド0.5 mg/日は89.6
・毛髪直径の増加はフィナステリド1 mg/日で4.0(µm×10−3 )に対し、デュタステリド0.5 mg/日は5.8と有意差が認められた
・65歳男性フィナステリドを4ヶ月使用していた男性が効果を実感できなかったためデュタステリド(0.5mg/day)に変更後発毛が見られたことが分かった

引用:毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA)

 

⑧臨床発毛医学の現状と展望 2018

フィナステリドよりも後に開発された、さらにAGA 改善効果の高いとされるデュタステリド
フィナステリド 1mg,デュタステリド 0.02mg,0.1mg,0.5mg を用いた二重盲検試験

・5αリダクターゼⅠ型は皮脂腺に作用し皮脂分泌過剰を引き起こし薄毛が悪化するとされ、Ⅰ型・Ⅱ型双方の 5リダクターゼを阻害する事でより強力な DHT 転換阻止効果が期待される
・0.1g、0.5g共にフィナステリドよりも優位性が認められた

引用:臨床発毛医学の現状と展望 2018

 

⑨AGA治療におけるミノキシジルと5-αレダクターゼ阻害剤の相対的有効性

フィナステリドとデュタステリドのどちらを選択すべきか
848件、24 週間および 48 週間の治療後の総毛髪数と硬毛数の変化を観測。1 平方センチメートルあたりの毛髪数で定量化

・総毛発数増加の変化:24週目、デュタステリド 0.5 mg/日であり、フィナステリド 1 mg/日よりも有意に効果的だった
・さらにミノキシジルを併用する事で発毛の効果をより得ることができる

引用:男性患者のアンドロゲン性脱毛症治療におけるミノキシジルと5-αレダクターゼ阻害剤の相対的有効性:ネットワークメタ分析

 

⑩男性型脱毛症の治療における経口ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドの比較

日本と韓国でAGA治療薬として承認、フィナステリドよりも高い有効性のあるデュタステリド
経口フィナステリド (1 mg/d) は FDA 承認の男性 AGA 治療薬ですが、経口ミノキシジルと経口デュタステリドはまだ承認されていません。しかし、臨床医は脱毛のためにこれらの2つの薬を適応外で使用することが増えている。

・近年日本と韓国は男性のAGAに関して経口デュタステリド(0.5mg/d)を承認した(2022年11月現在)
・デュタステリドは I 型と II 型の両方を阻害。デュタステリドは、血清および頭皮中のフィナステリドよりも DHT レベルを抑制度が高いことがわかる

引用:男性型脱毛症の治療における経口ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドの比較

様々な試験が行われ、論文が発表されている中で分かったこととして、副作用に関しては同じ抜け毛抑制薬「フィナステリド」と同等であり、5αリダクターゼはⅠ型・2型共に抑制する事が可能なためフィナステリドよりも高い発毛効果が期待できることがわかりました。

 
 

デュタステリドの購入方法と注意点

デュタステリドは市販されてはおらず、購入には必ず医師の診察が必要になります。
ここではデュタステリドでの治療を始めるにあたって、お薬の購入方法や注意点について述べていきます。

 

治療薬の購入は、安全且つ薄毛改善に効果的なAGAクリニックへ

デュタステリドを購入するには、「AGA治療」「薄毛治療」が診療科目にあるクリニックを受診する必要があります。現在では薄毛治療専門のクリニックの他にも、皮膚科や美容皮膚科などで薄毛治療を診療科目として設けている病院も増えています。

クリニックによっても取り扱っている治療薬は異なるため、この記事を読んでデュタステリドを購入したいと考えている場合は、事前にデュタステリドを取り扱っているクリニックかを調べて受診する必要があるでしょう。

今では従来の実店舗型のクリニックに加えて、予約から医師の診察までをすべてオンラインですることのできるオンラインAGA治療クリニックなどもあります。事前にお薬を調べたうえで、無料のカウンセリングなどを受けて、デュタステリドが自分に合っているか医師に相談してから購入をすることをおすすめします。

 

【注意】コストを抑えられるが個人輸入などは危険!

より安くAGA治療薬を入手する方法として、海外からの個人輸入や輸入代行が挙げられますが、この方法は様々なリスクを伴うためおすすめできません。その理由として、国内で正規に流通している医薬品や化粧品、医療機器などは医薬品医療機器等法に基づいて品質や安全性が保障されていますが、個人輸入や輸入代行をする外国製品にはそのような保証はなく、偽物が届いてしまう可能性や正しい服用方法が把握できないなど、健康被害を引き起こす危険性があるからです。

正規品を確実に処方してもらえるクリニックを受診することで、危険を回避するのが最も望ましいでしょう。自由診療のAGA治療はクリニックによって治療費が異なります。同じ薬でもクリニックによって値段に変動がありますので、クリニックを比較するだけではなく、医師の診療を受けてご自身の症状に合ったお薬を処方してもらうようにしましょう。

 
 

さいごに

AGA治療薬「デュタステリド」の効果についてお話してきましたがいかがでしたでしょうか。
抜け毛の改善効果が医学的に証明されているお薬ということで安心感や効果への期待値はかなり高いと思います。
一方で、処方してもらうには必ず医師の診断が必要です。
持病などがある場合や、他にお薬を服用している場合は飲み合わせなどについて医師に必ず相談する必要があります。デュタステリドの効果を踏まえて、薄毛の改善には使用を強くおすすめしますが、必ず医師の診断の元、ご自身に合ったお薬を処方してもらってください。

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