公開日:2022/03/29更新日:2022/12/16

グルテンフリーダイエットは痩せる?実はダイエット法ではなく健康法です

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「グルテンフリーダイエットってよく聞くけどいったいなに?」
「ダイエットに効果あるのかな?」

このような疑問をお持ちではないですか?
国内外の有名人が実践していることで大きな注目を浴びている「グルテンフリーダイエット」。

実は、「グルテンフリー」自体ははダイエットを目的としたものではありません。
そもそもグルテンフリーとは小麦製品を食べない食生活をすることです。
小麦アレルギー対策のための食事法です。

高カロリーな小麦を食べないことで結果的に痩せる方が多いのでグルテンフリーダイエットという言葉が生まれました。
なので、グルテンフリー自体はダイエットを目的としていないのです。
ですが、アレルギー対策や腸内環境が整うことで肌荒れも改善することが期待できます。

この記事では、グルテンフリーダイエットの基本とメリット・デメリットついて詳しく解説します。

この記事のポイント
  • グルテンフリーダイエットとは
  • グルテンフリーダイエットで痩せる理由
  • グルテンフリーのメリット
  • グルテンフリーのデメリット

この記事を最後までご覧いただければグルテンフリーの本当の目的と体重を落とす以外の効果がわかるはずです。
グルテンフリー自体は様々なメリットがあるので、自分の目的にあわせて、実践するのがお勧めです。
あなたも体の中からキレイになるためにぜひご覧ください。

グルテンフリーダイエットとは

グルテンフリーダイエットとは

グルテンとは、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質です。
グルテンフリーは一般的に、グルテンを含む小麦・大麦・ライ麦などを避けた食事や食品を指します。

そんなグルテンフリーはもともと、セリアック病や小麦アレルギーなどの疾患・症状を持つ患者さんに対して普及しました。
セリアック病と小麦アレルギーの詳細は以下の通りです。

● セリアック病
グルテンに対する遺伝性の疾患です。
グルテンを摂取すると腸の粘膜に炎症を起こし、栄養の吸収不良を生じます。

● 小麦アレルギー
小麦がアレルゲンとなり、腹痛、下痢、皮膚症状、くしゃみ、呼吸困難など、様々な症状が現れます。

日本で「グルテンフリーダイエット」という言葉が使われる場合、痩身目的であることがイメージされます。
しかし、本来のダイエット(diet)は「日常の食べ物や食事」を意味しており、痩身の意味はありません。
実際にグルテンフリーダイエットには、痩身効果の科学的な根拠はなく、あくまでも「食事療法もしくは健康法の1つ」として認識すべきと言えるでしょう。

グルテンフリーダイエットのきっかけはセレブから

グルテンフリーダイエットのきっかけはセレブから

グルテンフリーは特定の疾患・症状に対する食事療法として普及しましたが、アメリカで健康食として広く流行し、日本でも知られるようになりました。

そんなグルテンフリーダイエットの流行のきっかけとなったのが、セレブたちの発信です。
ミランダ・カーさん(モデル)、ジョコビッチ選手(プロテニス選手)といった有名人が自身の健康法としてグルテンフリーダイエットを実践したことで、多くの人々が興味を持つこととなりました。

ディーン・フジオカさん(俳優)、ローラさん(モデル、タレント)をはじめとする有名人らが実践したことで、日本国内においてもグルテンフリーダイエットの存在感が高まっています。

なぜグルテンフリーダイエットで痩せるのか?

なぜグルテンフリーダイエットで痩せるのか?

グルテンフリーダイエットは「食事療法もしくは健康法の1つ」ですが、人によっては痩身効果を得られるケースもあります。
グルテンフリーダイエットによる痩身は、あくまでも副次的な効果と考えられますが、ここではその理由として考えられるものを3つご紹介します。

小麦製品には高カロリーなものが多い

マフィン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、ビスケットなど多くの洋菓子に小麦が使用されています。
これらの洋菓子はカロリーが高めで、間食などでよく口にされる方は、カロリーを摂りすぎている恐れがあります。

小麦製品は、洋菓子に限らず、総体的に高カロリーな傾向にあります。
実際に、小麦粉は100gあたりおよそ370kcalで、白米よりもやや高カロリーな食品なのです。

グルテンフリーダイエットを実践すると、カロリーの高い小麦製品を口にする機会が減り、結果的に痩身効果を得られる可能性が考えられます。

小麦に含まれる糖質を減らすことができる

糖質を含む炭水化物の1日の摂取量は、年齢・性別などによって異なりますが、摂取カロリー全体の50~65%程度となります。
摂取カロリーが適正範囲内でも、栄養バランスが偏り、糖質を摂りすぎる可能性はあるため、注意したいポイントと言えるでしょう。

糖質の摂りすぎは、インスリンの過剰分泌につながり、余ったブドウ糖の中性脂肪合成を促進します。
これにより肥満や生活習慣病などにつながる恐れがあります。

特に、小麦粉は70%前後が糖質の食品であるため、小麦食品の食べ過ぎはそのまま糖質の摂りすぎに直結します。

グルテンフリーダイエットを実践することで、糖質の摂りすぎを防ぐことが期待でき、結果的に痩身効果が得られる可能性が考えられます。

小麦製品は咀嚼回数がへりやすい

小麦食品は粉食であり、パンや一部の洋菓子のように柔らかいものが多いです。

また、うどんやスパゲッティなどの小麦食品は、柔らかさに加えて喉ごしの良さも大きな特徴となります。

このような特徴から、粒食のご飯などと比較した場合、咀嚼回数が減りやすく、早食いやどか食いになりやすい可能性が考えられます。
咀嚼回数が少ないと満腹中枢の活性化が遅くなり、脳に満腹のサインが伝わらず、食べ過ぎにもつながる恐れがあるのです。

なお、厚生労働省の「平成21年国民健康・栄養調査」では、早食いと肥満の相関関係が示されています。
肥満(BMI25以上)の男性における調査を見ると、痩せ・普通体型の男性よりも早食いの割合が高い結果となっています。

グルテンフリーダイエットによって主食がご飯などに変更されることで、咀嚼回数が増え、早食いを抑える効果も期待できるほか、小麦食品よりも満腹感を得やすくなる可能性が考えられます。

グルテンフリーのデメリット

グルテンフリーのデメリット

グルテンフリーダイエットのデメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

①グルテンのおいしさが味わえない
グルテンは小麦食品独特の食感を作り出し、おいしさを生み出す要素の1つです。
近年は米粉のおいしい代用食品も増えていますが、小麦食品と比較して、どうしても味や食感が異なる部分はあります。

②カロリー不足の恐れがある
小麦の主成分は、人体にとって大きなエネルギー源である炭水化物(糖質)です。
グルテンフリーダイエットによって小麦製品を食べなくなり、さらにお米などの炭水化物(糖質)もあまり口にしない場合は、カロリー不足となる恐れがあります。

③一部の栄養素が不足する可能性がある
小麦類には食物繊維やビタミンBなどの栄養素も含まれています。
グルテンフリーダイエットによって小麦製品を食べなくなると、これらの栄養素が不足し、体調不良につながる恐れもあります。

他のダイエットとの違い

他のダイエットとの違い

グルテンフリーダイエットとその他のダイエットとの違いは、以下の通りです。

● 糖質制限ダイエットとの違い
糖質制限とはその名の通り、糖質を含む一切の食材を制限します。
一方、グルテンフリーダイエットでは小麦・大麦・ライ麦などを避けるだけで、米や米粉を使用した食品、そばなどは口にすることが可能です。

● ベジタリアン・ヴィーガンとの違い
ベジタリアンとは、肉や魚を口にしない菜食主義者を指します。
ヴィーガンは肉や魚に加えて、乳製品や卵も一切口にしないため完全菜食主義者とも呼ばれています。
一方、グルテンフリーダイエットは、肉、魚、卵、乳製品の摂取に何の制限もありません。

糖質制限ダイエットやベジタリアン・ヴィーガンは、栄養バランスの維持が難しいです。
これらと比較すると、グルテンフリーダイエットは口にできる食材が多く、栄養バランスも維持しやすいと言えるでしょう。

グルテンフリーダイエットで食べていい食材とダメな食材

グルテンフリーダイエットで食べていい食材とダメな食材

糖質制限ダイエットやベジタリアン・ヴィーガンなどと比較して、口にできる食材が多いグルテンフリーダイエット。
それでは具体的にどのような食材を食べることができ、逆にどのような食材は避けるべきなのでしょうか。
以下、グルテンフリーダイエットで食べていい食材とダメな食材についてチェックしていきましょう。

グルテンフリーで食べていいもの

グルテンフリーダイエットで食べても良い食材には、以下のようなものがあります。

● 主食
ご飯、フォー、そば粉100%のそばなど

● 副菜
肉、魚、卵、乳製品、野菜、果物など

● 飲みもの
水、牛乳、コーヒー、ウイスキー、ワインなど

● スイーツ系
果物、ゼリー系、おはぎ、大福、アイスなど

なお、調味料については、とろみつけとして小麦が直接使用されている場合と、グルテン調味料が原料として使用されている場合があります。
具体的には、みりん、だし、ドレッシング、ブイヨン、ケチャップ、マヨネーズ、ソースなどにグルテンが含まれている可能性があります。
そのため調味料は「グルテンフリー」と明記されたものを選んだほうが安心です。

グルテンフリーで食べてはいけないもの

グルテンフリーダイエットで食べてはいけない食材には、以下のようなものがあります。

● 主食
パン、うどん、ラーメン、そば粉100%ではないそば、ピザ、マカロニなど

● 副菜
天ぷらや唐揚げなど揚げ物の衣、ワンタン、餃子など

● 飲みもの
麦茶、ビール、発泡酒、麦芽飲料(一部のコーヒーやココア)など

● スイーツ系
マフィン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、ビスケットなど

● 調味料
醤油、シチューやカレーのルー、麦味噌など

このようにグルテンを含む食材は、主食、副菜、飲みもの、スイーツ系、調味料に至るまで数多く存在します。
使用できなくなる調味料があるため、好みの味つけができなくなる可能性もあるでしょう。
食材だけでなく、好きな味付けもできなくなる点は、大きなストレスとなり得ます。

このように、グルテンを含む食材を全て排除するのは、とても大変です。
そこで、一部の調味料は使用OKとするなど、可能な範囲でグルテンフリーダイエットを実践するのも良い方法です。
治療目的ではなく健康目的の方は、あまり神経質にならず、無理なく続けられる方法を優先してください。

グルテンフリーで高カロリー食品への依存を断ち切れる

グルテンフリーで高カロリー食品への依存を断ち切れる

パン、うどん、ラーメン、ドーナツなど小麦製品が大好きな方は多いことでしょう。
実はその裏に、グルテンの持つ依存性・中毒性が関係しているかもしれません。

グルテンが分解される際、ポリペプチドと呼ばれる物質が生成されますが、これが体内に吸収されることで中毒症状が発生するのです。
その結果、高カロリーな小麦製品を摂りすぎ、ダイエットの妨げになっている可能性が考えられます。

小麦製品が好きで日常的に食べている方は特に、グルテンフリーダイエットの実践で、グルテン依存・中毒状態を断ち切り、ダイエットを成功させるきっかけとなることも期待できます。

グルテンフリーダイエットはあくまで健康習慣ととらえよう

グルテンフリーダイエットはあくまで健康習慣ととらえよう

グルテンフリーダイエットを痩せる目的ではじめ、グルテンを含む食品を全て排除するなど、極端に実践することは危険と言えます。
栄養バランスの偏りやカロリー不足、さらにはリバウンドの恐れもあるからです。
グルテンフリーダイエットはあくまでも健康習慣の1つと捉え、無理のない範囲で実践してください。
少しでも体調に不安などのある方は、自己判断せず、医師・専門家の指導下でグルテンフリーダイエットを実施しましょう。