オンライン診療予約

公開日:2022/09/13更新日:2022/12/16

生理にまつわる食欲ってどうしたらいいの?みんなが知りたい食欲のはなし

このエントリーをはてなブックマークに追加

生理前から生理中にかけてドカ食いしてしまう、異常な食欲に襲われるという人もいるのではないでしょうか。
そういった症状はホルモンバランスの変化からくるもので、ある意味仕方のないことなのです。
ダイエットがうまくいかないからと言って自分を責めないでください。
とは言え、ダイエットをしたい人にとっては悩ましい症状。
生理は約1ヵ月ごとにくるものですので、上手に付き合いたいものです。
そこで今回は、生理にまつわる食欲増進の原因と対処法について解説します。

生理前の食欲の原因

生理前の食欲の原因

生理前の異常な食欲の原因は、ホルモンバランスの変化によるPMS(月経前症候群)です。
生理前には生理周期に合わせて、2種類の女性ホルモンのバランスが変化します。
それが「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。
これらのホルモンは、女性ならではの体の仕組みをコントロールしています。
生理前にはプロゲステロンが増加することで情緒が不安定になりやすく、イライラしたり食欲が抑えられなくなったりすることがあるのです。
エストロゲンとプロゲステロン、2種類のホルモンの働きや分泌の時期について詳しく見ていきましょう。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

エストロゲン(卵胞ホルモン)
エストロゲンは、8~9歳頃から卵巣で分泌され始めます。
女性らしい丸みをおびた体つきになるのは、エストロゲンの影響。
ほかには、肌や髪のうるおいを保ったり、骨を丈夫にしたり、自律神経を活発化したりするのがおもな働きです。
この分泌量が増えると初潮を迎え、閉経するまで生理周期に合わせて増減を繰り返します。
生理周期内での分泌量変化で言うと、生理開始の約1週間後から分泌開始。
その約1週間後の排卵時に分泌量のピークを迎え、徐々に減少していきます。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

プロゲステロン(黄体ホルモン)

プロゲステロンは、妊娠に大きくかかわるホルモンです。
排卵されると、子宮内膜を厚くして妊娠の準備を整えます。
妊娠するとそのまま分泌を続け、妊娠しなければ徐々に分泌量が減少し、子宮内膜が剥がれ落ちて生理を迎えるという仕組み。
プロゲステロンは増加すると情緒が不安定になりやすく、食欲増進の原因になるホルモンです。
分泌量は生理の2週間前くらいから増加し始め、生理前~生理中にかけてピークに到達。
生理が終わる頃には減少します。

生理前~生理中の食欲への対策

生理前~生理中の食欲への対策

プロゲステロンが多く分泌される生理前~生理中の異常な食欲にはどのように対応すればよいのでしょうか。
考えられる対処法としては、以下のような方法が挙げられます。
・割り切ってリラックス
・食材を選び、食べ方を工夫する
・低用量ピルを服用する
・軽い運動をする
・炭酸水を飲む
これらは、食欲を否定せずに受け入れる方法や、食欲を紛らわす方法など、さまざまな視点からアプローチした対処法です。
それでは5つの対処法を順に見ていきましょう。

割り切ってリラックス

割り切ってリラックス

ホルモンバランスによる体調変化は仕方のないことと思って、割り切るのもひとつの方法です。
生理が始まると徐々にプロゲステロンの分泌が減少し、食欲も落ち着きます。
さらに、生理が終わるとエストロゲンの分泌が増加して痩せやすい時期に入るのです。
ホルモンバランスの変化を頭に入れて、プロゲステロンの分泌が多い時期は、体調にあらがわずリラックスして過ごす時期と考えましょう。
食べてしまう自分を責めてストレスを溜めてしまうよりも、ホルモン分泌を味方につけてメリハリのある生活を送るほうが、ダイエット効果が上がることもあります。

食材を選び、食べ方を工夫する

食材を選び、食べ方を工夫する

食欲旺盛な時期の食事には、健康や美容に良い食材や栄養価の高い食材を選びましょう。
バナナ・アボカド・ナッツ類・大豆食品・ヨーグルトなどがおすすめです。
特に大豆に多く含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをします。
ホルモンバランスを整える効果がありますので、積極的に取り入れましょう。
また、食事をするときには食べる順番に注意します。
野菜→タンパク質→炭水化物の順番で食べるのがおすすめです。
食物繊維が豊富な野菜を最初に食べて血糖値の上昇を緩やかにし、脂肪がつきにくい食べ方をするのがポイント。
次に肉や魚などのタンパク質を多く含むメインのおかず、最後にごはんを食べると、炭水化物の食べ過ぎを防げます。

低用量ピルを服用する

低用量ピルを服用する

低用量ピルは経口避妊薬として知られていますが、PMSの代表的な治療薬でもあります。
ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、ホルモンバランスの変動を一定に保つことでPMSの症状を抑えることが可能です。
ホルモン配合量によって数種類に分類されています。
薬ですので副作用の可能性もあり、やみくもにおすすめできるものではありません。
しかし、過剰な食欲のほかにも頭痛やめまいなど不快な症状が多く、日常生活に支障をきたしている人もいます。
低用量ピルは毎日を快適に過ごすための選択肢のひとつです。
産婦人科や婦人科を受診すれば、飲み方の指導や体質に合わせた処方をしてもらえます。

軽い運動をする

軽い運動をする

食欲を落ち着かせるためには軽い運動も効果的です。
気分転換になるのはもちろん、運動には交感神経を活発化する働きがあります。
交感神経は自律神経の1種です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、状況に応じてどちらかが優位になって、体や心のバランスをコントロールしています。
交感神経は活動的な状態、副交感神経はリラックスした状態のときに優位です。
適度な運動で交感神経を活性化させると、副交感神経の回復モードをも刺激し、両者のバランスをとることが可能。
自律神経が整うことで食欲も落ち着くことがあります。
簡単にできるウォーキングや、自宅でできるスクワット、ストレッチなどがおすすめです。

炭酸水を飲む

炭酸水を飲む

炭酸ガスを含む炭酸水は少量飲んだだけでもお腹が膨れるため、空腹感を紛らわすことができます。
無糖の炭酸水ならカロリーゼロで、太る心配もありません。
どうしても何か食べたくなったときには、炭酸水を飲んでみましょう。
一時的にお腹がいっぱいになったような感覚になり、満足感が得られます。
食前や食事中に飲むと、胃を膨らませて食べ過ぎ予防にもなるのでおすすめです。
また、炭酸ガスが胃腸を刺激することで消化吸収の働きを活性化することが可能。
便秘解消やデトックス効果が期待できます。
生理前に溜め込んだ老廃物を排出できるので一石二鳥です。
ただし、体を冷やすことになるため、飲み過ぎは厳禁。
1日200mlを目安にしましょう。

体重を増やさない食事のとり方

体重を増やさない食事のとり方

できるだけ体重を増やさないために、おすすめの食事のとり方があります。
生理前~生理中の食欲旺盛な時期には、以下のような点に気を付けると体重増加を防げますので参考にしてみてください。
・食物繊維の多いものを食べる
・よく噛んで食べる
・甘いものを我慢しすぎない
・鉄分をとる
どの項目も一般的なダイエットにも通じる事柄と言えますが、生理前~生理中特有の注意点もあります。
4つのポイントについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

食物繊維の多いものを食べる

食物繊維の多いものを食べる

野菜やこんにゃく、海藻類など、食物繊維を豊富に含むものを食べましょう。
食物繊維には血糖値の上昇を抑える働きがあります。
血糖値が上昇すると、それを下げるために「インスリン」が分泌されますが、インスリンには脂肪を蓄えやすくする働きがあるのです。
血糖値の上昇を緩やかにすることで、インスリンの過剰分泌を防げます。
また、食物繊維には便秘解消効果もありますので、便秘で体重が増加しがちな人におすすめです。
食物繊維は、腸を刺激して便の量を増加させる「不溶性食物繊維」と、水に溶けて便をやわらかくする水溶性食物繊維の2種類。
不溶性食物繊維は野菜や芋類、水溶性食物繊維は海藻やこんにゃくに多く含まれますので、両方をバランスよくとることが大切です。

よく噛んで食べる

よく噛んで食べる

食事はよく噛んで食べましょう。
噛むことで脳の後部視床下部が刺激され、この刺激により神経性ヒスタミンという神経伝達物質が作られ、満腹中枢が活性化すると言われています。
早食いをすると脳が満腹を感じるまで食べ過ぎてしまうのです。
よく噛んで時間をかけて食べることで、少ない量でも満腹のサインが送られ、食べ過ぎを防ぐことができます。
食物繊維を豊富に含む食材は噛みごたえがあるものが多く、自然と噛む回数が増えます。
野菜やきのこ類、海藻類を多く使った料理がおすすめです。
また、茹で野菜よりも生野菜、白米よりも雑穀米などのほうが噛む回数が増えます。
調理法も工夫してみましょう。

甘いものを我慢しすぎない

甘いものを我慢しすぎない

生理中に無性に甘いものが食べたくなるという人もいるでしょう。
我慢のしすぎはストレスになり、反動で食べ過ぎてしまう可能性もあります。
欲求があまりにも強い人は、完全に甘いものを断つのではなく、少量食べることを許してしまうのもひとつの方法。
甘いものでおすすめなのは、カカオ75%以上のチョコレートやナッツ類、甘栗やドライフルーツです。
カカオ75%以上のチョコレートは濃厚な風味で少量でも満足感が得られやすく、普通のチョコレートよりも低糖質で太りにくいのが特徴。
ナッツや甘栗、ドライフルーツはいずれも噛みごたえがありますので少しで満足でき、低脂質で食物繊維が豊富です。

鉄分をとる

鉄分をとる

生理中は出血のために貧血になりやすく、鉄分不足でイライラが増すことも考えられます。
イライラが過剰な食欲につながっていることもありますので注意が必要です。
生理中は特に鉄分を補給できる食事がおすすめ。
鉄分には生理痛を緩和したり、ホルモンバランスを整えたりする働きもあります。
鉄分を多く含む食材は、レバーや赤身の肉、あさり、ほうれん草などです。
もっと手軽に鉄分をとりたい人には、豆乳やきな粉がおすすめ。
2つを混ぜて豆乳ドリンクにしてもよいでしょう。
鉄分はビタミンCと一緒にとると効果がアップします。
鉄分を摂取するときには、ビタミンCを含む食材にも気を付けて、料理を考えてみましょう。

ストレスをためずに食欲をコントロールしよう

ストレスをためずに食欲をコントロールしよう

生理にまつわる食欲はホルモンバランスの変化に起因するものです。
生理周期は約1ヵ月ごとに訪れるので厄介ですが、原因が分かればおのずと対処法も見えてきます。
記事を参考にして自分に合った対処法を選んで食欲をコントロールし、上手に乗り切りましょう。