薄毛治療

AGA治療は一生続ける必要がある!

監修者 阿部有寛(院長)

 

AGA治療は一生続ける必要があります。
なぜなら、AGAは完治することのない脱毛症だからです。

この文章を読んで驚いた方もいるでしょう。通常何か病気をした際には、症状が治まるまでの期間薬を服用するのが一般的であるため、「薄毛も改善されれば治療をやめることができる」と考えるのは当然のことです。
しかし、AGAは進行性の脱毛症であり、一度発症するとAGA治療を続ける以外で食い止めることは不可能とされています。つまり、AGA治療をやめてしまったら残念なことにまた元の薄毛の状態に戻ってしまうのです。

AGA治療を一生続けるか否かという問題は、ご自身の薄毛治療に対する満足度や治療にかかる費用、身体への負担などを考慮しながら決めていく必要があります。

この記事では、AGA治療を一生続けなくてはならない理由や続ける中で発生する代表的な問題について解説し、そのうえでご自身の生活や環境に合わせた最善の選択ができるように3つの提案をしていきたいと思います。

「薄毛の悩みを持ちAGA治療を検討されている方」や「現在AGA治療をしており今後いつまで治療を継続していこうか悩んでいる方」はぜひ最後までお読みください。

AGA治療は一生続ける必要がある!AGAが根治することはありません

「根治」とは、完全に治りもうこれ以上治療する必要がなくなった状態を指します。
つまり、「AGA治療は一生続ける必要がある」= AGAが根治することはないということです。

ここで1つ例を挙げましょう。植物が育たず枯れ果ててしまった畑に肥料や水を与えて耕し、元気な植物が生えるまでに回復しました。しかし、元気な植物が生えたからと言って肥料や水を与えることをやめてしまえば、たちまち植物は枯れて元の畑に戻ってしまいます。

これはAGA治療も同じです。AGA治療薬を服用することで、抜け毛の抑制や発毛を促進して髪や頭皮の状態を正常に戻すことは可能ですが、治療をやめてしまった場合じわじわと元の薄毛状態に戻っていきます。

ここでは、AGA治療を一生続けなければいけない理由について、AGAのメカニズムや治療の仕組みを踏まえながら解説していきます。
現在AGA治療をしているがこの先いつまで続けるか迷っている方や、薄毛に悩んでいてこれからAGA治療を始めたいが治療に対して不安を感じているという方は、ご自身に最適な方法でAGA治療をしていくための基礎知識を身につけていきましょう。

 

AGAが発症してしまうメカニズム

AGAの発症原因には男性ホルモンと深い関係があります。活性型の男性ホルモンである「DHT(ジヒドロテストステロン)」は、最も有名な男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びつくことによって生成されます。

また、毛乳頭細胞(髪の元になる細胞)には男性ホルモンレセプター(男性ホルモン受容体)があり、この受容体とDHTが結びつくことによって、抜け毛の原因となる脱毛因子を発生させます。5αリダクターゼや男性ホルモンレセプターの働きには遺伝が大きな影響を与えるとされているため、両親や母親の家系に薄毛の方がいる場合はAGAを発症する確率が高くなります。

そしてもう1つ、人間には新しい髪が生まれて成長し、成長を終えた古い髪の毛が自然と抜けていく「ヘアサイクル(毛周期)」という周期があります。【図1】
通常時の頭部では2~6年の周期で生え変わりが行われますが、外的刺激やホルモンの影響を受けてヘアサイクルに乱れが生じると、髪の毛は100日程度の短い期間で抜け落ちてしまいます。本来ゆっくりと時間をかけて成長していくはずの髪の毛ですが、異常なヘアサイクル【図2】によって短期間で抜け落ちることで、弱々しく細い髪の毛が増えて薄毛に繋がっていくのです。

【図1】正常なヘアサイクル(毛周期)

 
【図2】異常なヘアサイクル(毛周期)

 
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AGA治療で抜け毛を抑制し、髪の毛が生える仕組み

AGA治療薬にはいくつか種類がありますが、大きく分けると「抜け毛を抑制する薬」と「発毛を促す薬」の2種類に分類されます。

抜け毛を抑制する薬は、抜け毛の要因となる男性ホルモンの働きを抑えて脱毛症状の進行を止める効果が期待されており、進行性の脱毛症であるAGAに対してこれ以上薄毛の範囲を広げないために服用する薬です。
対して、発毛を促す薬は、乱れたヘアサイクルを正常に戻すことで新たに生えてくる髪の毛を強く丈夫に育てる効果が期待されています。ヘアサイクルが正常に戻り、新しく生まれた髪が十分に成長できる時間を取り戻すことで、発毛が促進されて徐々に毛量が回復する仕組みです。

それぞれの治療薬に関する詳しい効果については【図3】をご覧ください。

【図3】AGA治療で用いられる薬

AGA治療薬によって薄毛が改善される仕組みを理解すると、AGA治療は一生続ける必要があるということをお分かりいただけたかと思います。
抜け毛の要因となるホルモンを抑制することやヘアサイクルを正常に戻すことは、畑を耕し肥料や水を与え続けるのと同じであり、治療をやめてしまうと元の悪い頭皮環境に逆戻りしてしまいます。

このような理由から、AGA治療は本来「薄毛を治すもの」ではなく「薄毛を改善して維持するもの」として捉えるのが望ましいと言えるでしょう。

 

薄毛が改善された状態を維持したいならAGA治療の継続は必須

AGA治療を始めてから効果が実感できるまでの期間には個人差があり、始めて数ヶ月で効果を感じる方もいれば、半年以上の継続が必要な方もいらっしゃいます。また、発毛を促す治療薬を使用しているからと言って、必ずしも髪が生え続けてどんどんフサフサになっていくわけではなく、AGA治療を始めてから約1年~1年半で発毛のピークを迎え、それ以降はその状態をキープしていくパターンが多く見受けられます。

薄毛の治療効果と治療期間については【図4】をご覧ください。

【図4】治療の継続期間と発毛の効果

治療薬によってAGAの進行を防ぎ、ピーク時の発毛を常に維持している状態なので、AGA治療を中断した場合はまた脱毛の原因となるDHTが増え、ヘアサイクルは乱れてじわじわと元の薄毛の状態に戻っていきます。AGA治療を一生続けることは無いとしても、薄毛に戻りたくないと感じている間はAGA治療を継続して行うべきと言えるでしょう。

 
 

AGA治療の継続によって考えられる問題

AGAを改善し、薄毛でない状態を保っていくためには長く治療と付き合っていかなければなりません。
そこで、治療を継続していくにあたりまず多くの方が気になる問題が「経済的な負担」です。AGA治療は決して安価ではないので、毎月の出費が今後いつまで続いていくのかという点で気にされる方は多いのではないでしょうか。
また、基本的なAGA治療の方法として投薬治療が挙げられますが、内服薬を長期間服用することによって「身体への負担」が加わることも問題点として考えられるでしょう。

 

いつまで払い続ける?AGA治療の経済的な負担

AGA治療を続けていくにあたって費用面でいつまで続けるか悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

AGA治療は自由診療であり治療費の価格帯はクリニックによって大きく異なるため、どのクリニックを選択し治療をしていくのかで価格は変わりますが、抜け毛抑制剤と発毛促進剤の両方を処方してもらう場合、月々にかかる治療費用は約15,000~30,000円程度の場合が多いです。

【図5】はオンライン型のAGAクリニックの相場表ですが、参考程度にご覧ください。

【図5】オンライン型AGAクリニックの治療費相場

発毛を実感できる期間は、効果に対する満足感から費用のことはあまり気にならないかもしれませんが、発毛のピークを迎えてこれ以上生えない状態まで達した時、現状維持のためにこれから何年も同じ費用を払い続けるとなると話は変わってくるでしょう。

何歳まで今の髪の毛を維持していきたいかによっても経済的な負担は違うため、現状の髪の毛とお財布事情を相談しながらしっかり考えていきたい問題です。

 

薬の長期服用で身体にかかる負担

AGA治療薬に限った話ではありませんが、長期的な薬の服用は肝臓などの臓器に負担をかけます。
年齢が上がるにつれて代謝は落ちてくると言われていますが、薬の服用によって身体の酵素がたくさん必要になると、代謝が追いつかずに臓器へ負担をかけたり、薬の毒性が増えて副作用が起こりやすくなったりする可能性が高いと言われています。

また、AGA治療薬には服用開始時から副作用が発生する場合があります。
副作用には個人差があるため症状の強さは人それぞれですが、薬を服用し続ける限り副作用が続く可能性は大いにあります。そのため、この先服用を続けるうえで副作用が10年20年と続くかもしれないことは頭に入れておいた方が良いかもしれません。副作用に耐えながらの生活は、想像以上に身体的にも精神的にも負担がかかります。事前にリスクを理解したうえで、いつまで継続するべきなのかを検討しましょう。

【図6】はAGA治療薬で考えられる副作用のまとめです。
性欲減退などの男性機能の不調に加え、肝機能障害といった副作用が起こる可能性もあります。実際に肝機能障害が起こることは極めて珍しいとされていますが、服用時は定期的な血液検査などを行い、常に身体の状態を確認するように心がけましょう。

【図6】AGA治療薬で考えられる副作用

薄毛に対する精神的な悩みは、年齢や環境の変化とともに変わっていきます。30代では周りに薄毛の人が少ないため悩むことが多かったとしても、50代になり自分と同年代で薄毛の人が増えてくると、もう現状維持をしなくても大丈夫と思うようになるかもしれません。

また、副作用や薬の継続服用によって起こる身体への負担も歳を重ねていく中で重要視したいポイントです。いくら薄毛の進行は抑制できたとしても、副作用により身体の不調が続いてしまうことや長期的な薬の服用によって臓器に負担をかけてしまうことは身体に悪影響を与えかねません。

こうした問題を踏まえながら、今後のAGA治療との付き合い方に優先順位をつけ、適切な対応をしていくのがベストな選択と言えるでしょう。

 
 

【今までの治療を無駄にしたくない】⇒ AGA治療を続けるべき

AGA治療を中断すると、残念ながら徐々に元の薄毛の状態へ逆戻りしていきます。今までお金をかけて必死に治療を続けていても、治療をやめることでこれまでの時間が無駄だったと感じてしまう方も中にはいらっしゃるでしょう。

そのため、AGA治療の継続によって薄毛改善の効果を実感しており、まだ薄毛に戻りたくないと感じている方はAGA治療を今後も継続するのが良いと思います。

 

治療費用や治療方法は見直すことができる

AGA治療を続けていく場合であっても、経済的な問題や身体への負担をできる限り減らすことは可能です!
例えば経済的な問題であれば、現在治療を行っているクリニックよりも安く治療ができるクリニックを検討するのが良いでしょう。実店舗型のクリニックを利用している方は、通院いらずで同じ薬をより安く購入できるオンライン型のクリニックに変更するのもおすすめです。
また、現在は様々なAGA治療を行うクリニックが増えてきており、クリニックによって治療費用はかなり異なります。気になるクリニックをピックアップして他のクリニックを検討してみてはいかがでしょうか。
基本的にAGA治療で処方される薬はどのクリニックでもさほど変わらないため、治療にかかる薬代は比較しやすいかと思います。可能であれば、無料カウンセリングを行っているクリニックに相談してみましょう。

なお、現在利用しているクリニックで継続治療を希望の場合は、担当医師に相談して治療内容の見直しを行うことも可能です。発毛効果をより実感したいのであれば、ミノキシジルの配合濃度を相談してみるのも良いですし、逆にいま使用しているお薬の副作用が気になるのであれば、同等の効果が期待できる別の薬に変更してもらうこともできます。

髪の毛の維持は継続しながらも、経済面や身体面を労わっていくことは不可能ではありません。まだ治療効果を無駄にしたくないとお考えの方は、上記の方法でぜひ一度ご自身のAGA治療を見直してみてください。

 
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【薄毛に戻りたくないが身体も労わりたい】⇒ 減薬を検討

「AGA治療をやめて薄毛に戻りたくはないが、身体への負担を考えると長期的な薬の服用は不安…」「できれば身体への負担を優先的に考えたいけど、薄毛に戻って今までの治療が無駄になるのは避けたい…」と思われている方は、AGA治療薬の減薬を検討してみましょう。

ただし、治療開始直後のまだ改善効果を実感できていない状態で減薬するのはおすすめしません。減薬するためには治療を始めてから一定期間過ぎていることが条件であり、医師判断のもと減薬する流れになります。

例えば、抜け毛を抑制する薬と発毛を促す薬の両方を使用して治療を行っている場合、ある程度髪の毛が生え揃った段階で発毛を促す薬は中止し、抜け毛を抑制する薬のみに切り替える方法があります。発毛効果を実感してから髪が生え揃うまでの期間には個人差があるため、できればAGA治療を始めて約1年~1年半以上経過しておく必要があるのです。

発毛促進薬の使用をやめた場合、断薬時以上の発毛を促すことはできません。また、急に使用を停止すると薄毛が進行してしまうリスクもあるため、自己判断での中止や減薬は必ず控えるようにしましょう。

 
 

【身体への負担を1番に考えたい】⇒ AGA治療をやめる

薬の長期服用による身体的負担を一番に考えるのであれば、思い切って治療をやめるのも1つの方法でしょう。AGA治療薬を服用していくうえでの副作用や代謝する際の身体的負担に関しては、個人差はあるものの誰しもが避けることのできない問題と言えます。

長く付き合っていくことが必要なAGA治療において、やめ時を決めるのは難しい決断かもしれません。しかし、年齢に応じた身体の負担を考えた時に、これから先の生活を見据えて身体を労わってあげることは賢明な判断かと思います。

ある程度髪の毛との関わりに満足ができ、今後は身体の健康を第一に考えていきたいという方は、「50歳になったらやめる」「5年治療をしたらやめる」といったような、一区切りの目標を決めて治療を行うことをおすすめします。

 
 

まとめ

「AGA治療は一生続ける必要がある」というテーマでお話をしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
治療を続けていくうえで、経済的負担や身体的な負担はご自身の生活と大きな関わりを持ちます。

まずは自分が一番優先したいポイントを改めて見つめ直し、そのうえで最善の決断をしていきましょう。AGA治療を今後も続けていく場合、費用面や治療について何かご相談があれば無料カウンセリングをご活用ください。あなたのお悩みを解決し、AGA治療とベストな状態で付き合っていけるように全力でサポートいたします!

ABOUT ME
阿部有寛
阿部有寛
医師 
2007年山形大学医学部卒業。 一般内科、複数の企業、研究施設の産業医から、大手の美容クリニック、AGA・頭髪クリニックの医師を経て、一般社団法人日本美容医療研究協会ZENクリニック院長に就任。 【資格】医師免許/日本医師会認定産業医 > 医院長紹介ページを見る
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